Tokyo 12月 23, 2021
ローデ・シュワルツは独立したテクノロジー指向の企業として、2020/2021会計年度（昨年6月から本年7月 まで）を23.4億ユーロという売上高で終えました。この営業実績は、前年度の水準とほぼ変わらず、市場の 展開に合わせて設定していた目標値を上回るものとなりました。これについて、昨年度の困難な経済的ダイ ナミクスを考え合わせると、皆様に誇れるべきご報告ができたものと考えています。
社員こそ、もっとも大切な財産
困難な経済状況のもとでも安心して働ける企業として、ローデ・シュワルツは革新性に富む社員を成功の礎石と考える姿勢を実践してきました。したがって、どのように将来に向けて共に働いていくかについて、多くの課題をアジェンダの上位に置いています。たとえば、高い技術を誇る企業ながら、勤務時間や勤務場所の柔軟性を高めました。そして、今現在はもちろん、将来の状況の変化にも対応していくよう、この方針をお約束として堅持します。実際、非公開会社としてグローバル展開する当社は従業員数が穏当に拡大しました。この会計年度末の時点で、ローデ・シュワルツでは世界70カ国以上で約13,000名の従業員が活躍しています。
未来技術の追求が、革新を生む
ローデ・シュワルツは多くの技術を切り拓くパイオニアです。たとえば6Gを見据えたモバイル通信のさらなる開発、量子コンピューティングの試験・計測ソリューション、IIoT、人工知能やクラウド技術によって拡大する新分野などに取り組んでいます。ノベーションに対する情熱をもとに、子会社やパートナー企業と力を合わせて未来の技術ソリューション開発を重ねているのです。
新たな3つの事業部体制で、お客様にとっての価値創造を
それぞれに強みをもつ3事業部を通じて、ローデ・シュワルツはお客様が求める明確なニーズにいっそう近づけるように、またさらなる成長の基盤を築けるような体制としています。その一つである電子計測器部門は、ワイヤレス通信や工業部品の製造、研究、さらには自動車産業など様々な市場分野に向けた製品をご提供しています。
また、これまでセキュア通信、モニタリング/ネットワーク試験、放送/メディアの各部門に分かれていたのを統合して、新たにテクノロジー・システム部門を創設しました。ローデ・シュワルツは、この部門にテクノロジー・システムの専門技術とリソースを集約し、プロジェクト・ビジネスが重要な役割をはたす市場分野に応えています。こうした当社のソリューションが、お客様のデジタル主権確立に大きく貢献しています。
もう一つのネットワーク/サイバーセキュリティ部門は、企業や公共機関の皆様に向けて、セキュアなWANやLAN、WLAN用ネットワーク・インフラのほか、データ送信やデバイス、アプリケーションを保護するための製品を提供しています。将来を見据えたネットワークやセキュリティ、暗号化ソリューションによって、デジタル情報はもとより、企業や公共機関の事業プロセスをサイバー攻撃の被害から守っています。
あらためて電子計測器事業の堅調さが明確に
なかでもローデ・シュワルツは、V2Xから5Gに対応した市場トップレベルのソリューションを開発して、車両間や車両と周囲との通信など困難な車載アプリケーションのほか、交通分野の最新ワイヤレス通信規格にも応えてきました。加えて、革新的なレーダー用試験・計測機器とそのシステムによって、この分野でのポジションのさらなる強化がはかれるものと考えています。たとえば、自動車メーカーやサプライヤ、テストハウスでは、路上での現実的な運転シナリオを研究室においてコスト効率よく再現できるユニークな試験ソリューションを有効に活用いただいています。5Gネットワークの世界的な拡大は衰えることなく続いており、とりわけ7 GHzまでの周波数域におけるユーザー機器テストには高い需要が生まれています。
一方でローデ・シュワルツは、オシロスコープ・メーカーとしても市場ポジションを確かなものとしています。10年以上前に市場参入して以来、テクノロジー企業の当社は、常にお客様のニーズを念頭に置いて特別に設計開発した新しい計測器を投入してきました。ほぼすべての産業分野における部品メーカーからの試験・計測ソリューション需要は、デジタル化や接続性への投資が高い水準で続いていること反映しています。また、量子コンピューティング分野においても、ローデ・シュワルツの試験・計測ソリューションの地歩を固めるべく、2021年7月1日付でスイスのトップ試験・計測器メーカーZurich Instruments AG社の買収を滞りなく終えました。
プロジェクト・ビジネスの技術パートナーとして、世界中のお客様の身近で
ローデ・シュワルツは各地に強固な拠点を構えていますので、渡航規制などパンデミックに伴うプロジェクト・ビジネス上の制約にも柔軟に対応できました。特にドイツでは、セキュア通信の市場部門で、国内トップ企業としての地位を固めています。航空交通管制から陸海軍のセキュア通信まで、ローデ・シュワルツは行政機関のお客様にとってセキュリティが必須のアプリケーションに対し、CERTIUM®やSOVERON®、NAVICS®といったクロスプラットフォーム・システムのご提供を通じて、そのデジタル主権確保に重要な貢献を果たしています。
5Gネットワークが世界規模で拡大するなか、ネットワーク・モニタリング・システムの技術的適応を迫られており、モバイル・ネットワーク試験（MNT）市場では適切なソリューションに対する需要が高まっています。こうした状況において、ローデ・シュワルツのソリューションがもつテスト性能は、その最適なQoE（体感品質）やQoS（サービス品質）から、世界中の主要な通信事業者やインフラ関連企業に高く評価いただいています。また、ローデ・シュワルツの工場の一つにはローカル5Gネットワークを設置しており、これを使って実際のインダストリー4.0ユースケースの実践方法を社内で最適化できる体制も整えています。
ローデ・シュワルツは、ネットワーク/セキュリティ・ソリューションの需要拡大にも対応
ネットワーク/サイバーセキュリティ事業部では、公共部門と民間部門のいずれでもネットワークおよびセキュリティ・ソリューション需要が伸びていることが収益に貢献しています。増加するサイバー攻撃やいっそう進む分散構造、リモートワークの広がりによって、デジタルセキュリティやデジタル主権の重要性が高まっているからです。子会社のLANCOM SystemsとRohde & Schwarz Cybersecurity（ローデ・シュワルツ・サイバーセキュリティ）はともに、事業を営むお客様にネットワークやセキュリティ、暗号化ソリューションを提供する欧州で最大規模のサプライヤの1つに数えられています。
LANCOM Systemsは、ドイツ情報セキュリティ庁（Federal Office for Information Security：BSI）が承認した初めてのソフトウェアベースの業務用ルータを提供しており、安全なローカルネットワークの実現を支えています。学校デジタル協定（DigitalPakt Schule）による支援プログラムの一環として、ネットワーク/セキュリティ専門企業のLANCOMは、すでに3,000校を超える学校に最高水準のセキュリティとデータ保護規格を満たしたネットワーク技術を提供しました。また政府部門では、Rohde & Schwarz Cybersecurityから、ドイツのある州の公共機関ネットワークにBSI承認の暗号化技術を提供しています。その他の州でも、それぞれのネットワークを現代化するモデルとして、これを利用する計画が進んでいます。
これからも成長を目指して
グローバル経済が回復基調となったことが、特に会計年度末近くの業績にプラスの影響与えました。ローデ・シュワルツは将来性のある市場でのグローバルな位置取りや自らの堅固な財政基盤のおかげで、さらなる成長を目指すための非常に優れたポジションに立っています。
ローデ・シュワルツについて
ローデ・シュワルツはテクノロジーグループとして、電子計測、テクノロジーシステム、ネットワーク／サイバーセキュリティの分野の最先端ソリューションを提供することで、安全でつながり合った世界の実現を先導する役割を果たしています。創業から85年を超えるこのグループは、全世界の産業界と政府機関のお客様にとっての信頼できるパートナーです。2023年6月30日現在、ローデ・シュワルツは世界中に約13,800人の従業員を擁しています。独立グループは、2022/2023会計年度（2022年7月～2023年6月）に27億8,000万ユーロの純収益を達成しました。本社はドイツのミュンヘンにあります。
R&S®はRohde & Schwarz GmbH & Co. KGの登録商標です。