ケーブルアンプのリニアリティーの測定

リニアリティーを測定するには、R&S®CLG ケーブルテレビ・マルチチャネル信号発生器でケーブルTVネットワークのフルデジタルチャネル負荷を発生します。R&S®CLGとR&S®ETL TVアナライザを組み合わせて使用すると、IEC 60728-3-1に従ってビットエラー比(BER)や搬送波対干渉雑音比(CINR)を直接特定できます。

ケーブルアンプのリニアリティーの測定

課題

ケーブルTVネットワークの顧客に対して高速データレートを確保するために、メーカーとケーブルネットワーク事業者は、ケーブルアンプの信号品質を最適化する必要があります。重要になるのはアンプのリニアリティーです。デジタル・ケーブルTVネットワークではアンプのリニアリティーが高くなるほど、相互変調成分の妨害電力が小さくなります。つまり、必要な信号の個々の周波数を増幅したときに発生する不要な周波数が少なくなります。フルデジタルチャネル負荷時に、疑似雑音のようにケーブルに最大の干渉が生じます。これは、この場合の相互変調成分の電力がスペクトラム全体に均一に分布するためです。この最もクリティカルな動作状況は、ケーブル容量をすべて使用しているので、実用面では特に魅力的です。

電子計測ソリューション

アンプのリニアリティーの低下を検出するには、フルデジタルチャネル負荷の状態で干渉による影響を受けないテスト信号が必要です。コンパクトな1 HUのR&S®CLGは、これに必要なあらゆるデジタル・ケーブル規格(J.83 A/B/C)に対応したフルデジタルチャネル負荷のテスト信号を発生します。既知のPRBSコンテンツで個々のチャネルを40 dB(代表値)のMERでリアルタイムで連続的に変調することにより、構成変更を行うことなく、周波数レンジ全体で直接BER測定を行うことが可能になります。電力はチャネルごとに個別に設定できるため、ボタンを押すだけでCINR測定用に目的のチャネルを消去することができます。R&S®CLGの固有のCINRは53 dB(代表値)です。外部の30 dBノッチフィルターを使用すると、これを60 dBを大きく上回る値(IEC 60728-3-1要件)まで増加させることができます。EUTの動作点の定義によっては、R&S®CLGの設定可能な合計出力パワーが最大120 dBμVであるため、通常のアンプ/アッテネータの挿入の必要がなくなります。

CINR測定
R&S®ETLを使用した以下に示すテスト構成に従ったCINR測定。外部の狭帯域バンドパスフィルターと組み合わせて(影響は先行する周波数解析機能によって内部でオフセットされている)、約65 dBまでのCINRを確認することができます。
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R&S®ETL TVアナライザと内蔵のR&S®ETL-B203プリセレクタは、このテスト構成を補完します。外部の狭帯域バンドパスフィルターと組み合わせると、統合されたスペクトラム解析機能で、>60 dBのCINRを確認することができます(図を参照)。追加で使用可能なJ.83 A/B/C対応のR&S®ETL-B210リアルタイム復調器により、>40 dB(代表値)のMERおよび<1 × 10–10のBERが達成されます。その結果、例えばIEC 60728-3-1に準拠して、非線形のEUTの非常に小さなBERの問題も検出することができます。EUTの出力パワーによっては、R&S®ETLに内蔵された可変アッテネータにより、BERを測定する際にアップストリームに外部アッテネータを挿入する必要がなくなります。

IEC 60728-3-1に準拠してケーブルアンプ(EUT)のリニアリティーを解析するためのBERおよびCINR測定。
IEC 60728-3-1に準拠してケーブルアンプ(EUT)のリニアリティーを解析するためのBERおよびCINR測定。
CLGおよびETLによって簡素化されたT&Mテスト構成
R&S®CLGおよびR&S®ETLによって簡素化されたT&Mテスト構成