テクノロジーによるセキュリティー

R&S®QPS クイック・パーソナル・セキュリティースキャナーは、新しい高分解能のセキュリティースキャナーであり、セキュリティーチェックポイントでのスクリーニングの速度、有効性、快適性の向上を目的としています。

課題

10年以上前に米国をはじめ世界中で、セキュリティースクリーニングに高度イメージングテクノロジー(AIT)が導入されて以来、人が隠し持っている脅威や禁止品を高分解能で検出することが課題となっています。

セキュリティーオペレーションの世界では、ますます多様化する脅威や禁止品目を検出できる効率的なチェックポイントオペレーションを可能にする、高性能のテクノロジーが求められてきました。今日、R&S®QPS クイック・パーソナル・スキャナー・テクノロジーが提供するセキュリティースクリーニングは、安全で効果的な高性能の拡張高度イメージングテクノロジー(eAIT)です。

電磁波スペクトラム
70 GHz~80 GHzの周波数バンドを使用することで、R&S®QPSシステムは、X線テクノロジーでは透明になる多くの物体を正確に検出してその位置を特定できます。

ローデ・シュワルツのソリューション

ミリ波テクノロジーの利点

今日のほとんどのボディ・スキャニング・テクノロジーは、後方散乱型または透過型のX線エネルギーか、R&S®QPSのようなミリ波高度イメージングテクノロジー(AIT)を使用しています。X線テクノロジーを使用したシステムでは、

電離放射線による被曝が起きるだけでなく、不透明な物体(禁止品または脅威である可能性があるものを含む)が、結果の画像では透明になるために検出できない可能性が多くあります。不透明な物体が目視できるようになることが、ミリ波イメージングの最大の利点の1つです。これにより、このテクノロジーはさまざまな商業的/科学的用途に適すると見なされています。

ミリ波テクノロジーには別の利点もあります。それは、非電離放射線を使用しているため、最新の携帯電話やWi-Fiルーターよりも、放射される電磁エネルギーがかなり低いことです。

R&S®QPS スキャナーに用いられているeAITは、従来のAITテクノロジーよりもはるかに周波数が高いため、スキャン分解能を大幅に高めることができます。動作周波数レンジは70 GHz~80 GHzで、自動車の駐車支援アプリケーションに用いられている周波数とほぼ同じですが、パワーレベルは数千分の一です。この周波数レンジで実現できるスキャン分解能は1.9 mm前後で、マッチ棒の先端部分と同程度です。このような短い波長を使用することで、R&S®QPSシステムは、現在のテクノロジーよりも高い分解能で、不審物や潜在的なセキュリティー上の脅威を正確に検出してその位置を特定できるので、他のスキャナーに比べて、検出確率(Pd)を高め、誤警報確率(Pfa)を下げることができます。

乗客のスクリーニング
乗客のスクリーニング:R&S®QPSシステムは、部品の移動なしに、人がまばたきする時間より速く、10億個を超える測定ポイントのデータを収集します

高速収集により2.5秒で結果を入手

R&S®QPS スキャニングシステムは、ほぼリアルタイムで動作します。各パネルには、3008個の送信アンテナと3008個の受信アンテナが搭載されています。スキャンプロセスはマルチスタティックプロセスで、各パネル上の3008個の送信アンテナのうち1個だけが特定の時刻に動作し、3008個の受信アンテナすべてが反射信号を捕捉します。各トランスミッターは128個の周波数ステップを高速に送信し、その後に次のトランスミッターが送信を開始するので、1つのスキャンサイクルでパネル1枚当たり10億個以上の高分解の測定値が得られます。1枚のパネルがこれを完了するのにかかる時間は32 ms、前面と背面のパネルがスキャンを完了するのにかかる時間はわずか64 msです。これは、人間がまばたきする時間の5分の1です。

従来のシステムでは、スキャン中に対象者が動くと正常なスキャン結果が得られないおそれがありましたが、このシステムではスキャンがはるかに高速なので、その可能性は低くなります。マルチスタティックプロセスにより、フラットパネルを使用して結果の3次元のレンダリングが可能になります。空間的に多様なアンテナアレイと応答のセットが、デジタルバックエンド処理によって結合され、結果が作成されます。スキャニングプロセス中に収集された数十億個の測定値が結合されて、セキュリティーオペレーター向けのアバターが作成されます。不審物が検出されなければ結果は合格であり、検出された場合はその位置にシンボルが表示されます。

比類のない検出率
比類のない検出率:R&S®QPS eAITテクノロジーは、高いPdと低いPfaにより、セキュリティー上の脅威を検出します。

精密で高速で高解像度のスクリーニング

スキャニングシステムの主要な性能指標は、横方向と距離方向の空間分解能と、利用可能なダイナミックレンジです。スクリーニングシステムの分解能を改善することで、Pdを高め、Pfaを下げることができます。R&S®QPSテクノロジーは、非常に高い周波数レンジと短い波長を使用しているため、今日使用されている他のシステムに比べてはるかに新しい種類の脅威と少量の物質を検出できます。

また、精度の向上により、時間がかかり、対象者にとって迷惑なアラーム解決手順(2次セキュリティー対策)の回数を減らすことができます。このような手順は、誤検知の割合が多いために必要になることが多いのです。

マルチスタティックに対応するための独自の特長は、短距離におけるR&S®QPSのレンジ分解能が向上していることです。デュアルパネル構成により、両側のスキャンをほぼ瞬時に行うことができます。セキュリティーラインの流れを止めないため、アラームのあるスキャン結果を、2次セキュリティー対策用の最大4台のセカンダリステーションの1つに送ることで、システムはライン内の次の対象者の処理を続けることができます。

QPS - セキュリティー技術の革新
開放的なシステムデザインと快適なスキャン姿勢によって、セキュリティーチェックの体験を改善できます。

スクリーニングプロセスの改善と簡素化

R&S®QPSは、外観、動作方法、スキャン方法のすべてが、従来のスクリーニング方法と異なっています。窮屈で狭いボックス型の従来のボディースキャナーは時代遅れです。洗練された省スペースのフラットパネルは、壁で囲まなくてもチェックポイントエリアに組み込むことができます。オープンな設計により、警備員はチェックポイント全体を何にも遮られずに目視できます。従来のシステムでは、警察に呼び止められたときのように両手を上に挙げる必要があったため、対象者が不快に感じることがありましたが、このシステムのスキャン手順ははるかに快適で、対象者の威厳を損なうこともありません。自然な姿勢で腕をわずかに体から離すだけでいいので、身体に障害のある人でも可能であり、文化圏によって倫理的に不適切と見なされることがありません。