DC-DCコンバーターの効率の検証
最高精度で効率を測定する
最高精度で効率を測定する
多くのアプリケーションにおいて、エネルギーを効率的に使用することは重要なファクターです。多くの場合、コンバーターのデザインでは90 %を超える効率が求められます。そして、コンバーターを最適化するために高精度のパワー測定が必要です。本番環境にリリースできる高効率コンバーターのデザインを開発するためには、デザインプロセスにおいてコンバーターの効率を改善できる、こうした機能が必要です。
パワーコンバーターでは多くの場合、効率が重要なファクターになります。これは、バッテリー駆動のIoTデバイスでバッテリー性能を最大にする場合や、DCレールによって供給される小型DCDCコンバーターに当てはまります。効率改善によってバッテリーが小型化できるだけでなく、コンバーターサイズの縮小や全体のシステムコストが削減できるようになります。このことから、デザインプロセスにおいてコンバーターの効率を測定することは大きなメリットにつながります。コンバーターの効率を測定するには、高精度で入出力パワーを測定する必要があります。デザイナーなら、デザインの効率を向上させるために、インクリメンタル処理を行うことができます。インクリメンタル処理プロセスはいくつものステップからなり、デザイナーは各デザイン変更の後に効率の改善を評価する必要があります。いくつもの比較的小さいデザイン変更を積み重ねることで効率が改善されるため、効率値の評価は難しい作業です。コンバーター効率を改善するプロセスを補助するために、パワー測定において小さい変化を検出できる必要があります。パワー測定のために、最高精度の機器を準備しておくことが重要です。
R&S®NGM202およびR&S®NGL202 電源は、難しい小型パワーコンバーターのアプリケーションに最適です。2象限アーキテクチャーの採用によりソースとシンクの両方として機能でき、最高の柔軟性を提供します。入出力における電圧と電流のための高精度リードバック測定機能により、効率の測定に必要なデバイスが1台で済む非常にシンプルなソリューションです。R&S®NGM202とR&S®NGL202 電源は、単一の測定器内にすべてが搭載されているため、DC電源や追加のデジタルマルチメータ、電子負荷を用意する必要がありません。
測定セットアップは、R&S®NGM202/R&S®NGL202と、2つのチャネルに接続された被試験デバイス(DUT)で構成されます。オプションのリモートセンシング接続によって、大電流での精度が向上します。
デバイス設定
チャネル1は、コンバーターに必要な電圧と電流を供給する定電圧源として動作するように構成されています。2つ目のチャネルは、コンバーター仕様に基づく有効な動作電流をコンバーターに印加するために定電流モードにおける負荷として動作するように構成されています。入出力における電圧と電流は内部で測定されるため、入出力パワーを計算して画面に表示することができます。
デバイス構成手順
ケーススタディ – 5 WのDC-DCステップダウンコンバーターの効率測定
上の表に示した、異なる負荷条件における効率測定は、コンバーターがすでに効率最適化されたコンバーターであることを示しています。通常、メーカーが提供するDC-DCコンバーターのデータシートには、理想的な配線のための仕様のみが記載されています。R&S®NGM202/R&S®NGL202を使用すれば、個別の回路やレイアウトの効率を測定することができます。これらの値は、データシートに記載された値から大きくずれていることがあります。
これはつまり、効率の改善のためには、前述の最適化プロセスの実施に加えて、あらゆる状況下で効率を検証するために複数測定を行う必要があることを意味しています。R&S®NGM202/R&S®NGL202のリモート制御機能を使用すれば、この手間を大幅に削減することができます。例えば、外部スクリプトやソフトウェアによって効率トレースを自動的に作成できます。この自動化アプローチでデザイナーの時間が節約され、手動実施プロセスにおいてよく発生するヒューマンエラーも予防できます。
R&S®NGM202/R&S®NGL202 電源ソリューションは、たった1台の測定器で重要なDCDCコンバーター効率を測定、評価、最適化するための優れた機能と性能をデザイナーに提供します。この高度な測定能力は、高効率な製品デザインを開発する助けになります。また、開発サイクルにおける時間と労力も削減することができます。