加速器物理学用のR&S®RTO/RTP

加速器物理学では、パルスド信号の測定が必要になることがよくあります。R&S®RTO/RTP デジタル・オシロスコープでは、デジタルトリガと低雑音のフロントエンドにより、実験セットアップの評価に欠かせない高精度の測定が行えます。加速器物理学ラボ向けに開発されたいくつかの測定機能は、詳細な信号解析をサポートしています。

© Soleil
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課題

加速器物理学ラボ(シンクロトロンラボなど)における実験では、多くの場合、パルスパラメータや、2つの信号間のジッタを正確に測定する必要があります。このデータは、実験セットアップの起動時や評価時、連続モニタリングのための動作中に測定する必要があります。モニタリングのために、例えば、100 Hzで動作する自由電子レーザーのすべてのパルスを捕捉するためには、データを高速な更新レートで保存/ダウンロードする必要があります。

ローデ・シュワルツのソリューション

研究者は、R&S®RTO/RTPの優れた確度を高く評価しています。R&S®RTO/RTPは、低雑音のフロントエンドおよび10 GSa/sのシングルコアのモノリシックA/Dコンバーターにより、ENOBが7ビットを超える実効分解能が得られ、正確な測定データを提供します。また、100 ps のサンプリング分解能により、高周波の信号成分を検出できます。さらに、R&S®RTO/RTPのデジタルトリガ・アーキテクチャーにより1 ps (RMS) の低トリガジッタを実現しています。R&S®RTO-B4 オーブン制御発振器(OCXO)オプションは、タイムベース確度を0.2 ppmに高めます。これは、長期ドリフトを最小限に抑えるためには重要です。R&S®RTO/RTPは、高速測定が可能です。600,000回/秒のマスクテストにより、信号の偏差を従来よりも速く検出できます。R&S®RTO/RTPは、シンクロトロンや自由電子レーザーなど、多くの加速器物理学ラボのアプリケーションにおいて正確な測定を実現するのに最適です。

アプリケーション

安全なインターロックシステム

シンクロトロン光源の連続トップアップ運転の導入により、入射プロセスを完全に自動化する必要があります。このため、制御システムの大幅な変更が必要です。また、シンクロトロンなどへの損傷を防ぐ新しい安全インターロックシステムの必要性が高まっています。R&S®RTO/RTPは、このような安全インターロックシステムに最適なツールです。高速マスクテストでは、シンクロトロンの入射キッカーをドライブするパルスをモニターします。R&S®RTORTO/RTPは、キッカーパルスが正確でなく、マスク違反がある場合には、入射プロセスを停止して、シンクロトロンの損傷を防ぎます。さらに、R&S®RTO/RTPにフルにアクセスしながら、専門技術者がリモートからトラブルシューティングをサポートすることができるので、完全な遠隔操作が可能なことも大きな利点です。

波形は、最高100 Hzの速度で波形を収集してダウンロードすることができます。
波形は、最高100 Hzの速度で波形を収集してダウンロードすることができます。
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自由電子レーザーの加速経路内に存在するRFパルスのモニタリング

自由電子レーザー(FEL)では、加速器の損傷を防ぐために、RFパルスのパルス形状が連続的にモニターされます。このため、1つ1つのパルスが捕捉され、データが連続的に記録される必要があります。最新世代のFELでは、パルス繰り返し周波数が100 Hzと高くなっています。R&S®RTO/RTPを使用すれば、最高100 Hzの速度で波形を収集してPCにダウンロードし、「1つ1つのパルス」を捕捉することができます。

2つの信号間のジッタをps以下の確度で測定できます。
2つの信号間のジッタをps以下の確度で測定できます。
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レーザーパルスとシンクロトロン間のジッタ

多くの実験で、複数の異なるパルスド信号源を同期させる必要があります。1つの例が、遅延測定に基づいたレーザーパルスとシンクトロン光源の位置調整です。2つの間のジッタを最小限に抑えることは、高い測定確度を得るために極めて重要です。ps以下の確度を実現して2つのパルス間の時間相関を取るための唯一の方法が、R&S®RTO/RTPとOCXOオプションの組み合わせによる正確なデジタルトリガです。ユーザーは、測定統計の遅延測定結果、ヒストグラムの分布、長期にわたるトレンドを解析できます。

トリガ分配確度の測定

シンクロトロンやFELのトリガ信号は、すべての時間分解実験にとって極めて重要です。トリガ信号(通常は制御室で使用可能)は、研究機関全体に分配する必要があります。ps以下の確度を実現するには、熱変動などの信号変動を補正する必要があります。このようなトリガ分配システムの特性を評価する方法があります。R&S®RTO/RTP+R&S®RTO-B4 OCXOオプションのデジタルトリガ・アーキテクチャーでは、数μs間隔で発生するパルスに対して1 ps未満の優れた確度を実現できます。

トリガジッタの比較:アナログトリガ(左)とデジタルトリガ(右)
トリガジッタの比較:アナログトリガ(左)とデジタルトリガ(右)