GNSSレシーバーの共存テストと干渉テストを簡素化

R&S®SMW200A GNSSシミュレータでは、さまざまな干渉源やジャマーを使用してレシーバーデザインを簡単にテストすることができます。テストケースは、簡単な共存シミュレーションから、エミッターが特定の位置にとどまる複雑な干渉シナリオまで、広範囲に及びます。

AWGNと3つのCW干渉源を伴うGPS L1 C/A信号のスペクトラム
AWGNと3つのCW干渉源を伴うGPS L1 C/A信号のスペクトラム
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課題

今日、GNSSレシーバーは、カー・ナビゲーション・システム、ドローン、航空機の計器進入方式など、多くのアプリケーションで使用されています。そのため、これらのデバイスは、悪条件下であっても、高精度の位置情報と高可用性を提供する必要があります。LTEなどの他の多くのサービスも、GNSSバンドに近い周波数を利用しています。レシーバーを設計する際には、こうした信号との安全な共存が性能低下なしで行われることが求められます。また、意図しない干渉源(アマチュア無線からのバンド外の送信など)や意図的な干渉源(ジャミングやスプーフィングなど)への耐性も必要です。干渉源に対するロバスト性を証明するには、使用可能なすべてのGNSSコンスタレーションと周波数バンドに対するあらゆる干渉信号を使用して、GNSSレシーバーをテストする必要があります。再現性の高い、意味のあるテスト結果を得るには、コントロールされたラボ環境でGNSSシミュレータを使用します。

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®SMW200A GNSSシミュレータは、こうした複雑な干渉源シナリオを作成できるコンパクトで効率的なソリューションです。さまざまな周波数バンドを持つ多様なコンスタレーションから最大で144の衛星をシミュレートすることができます。R&S®SMW200Aは、優れたベクトル信号発生器の機能により、最大で4つの独立したベースバンドを設定して、GNSS信号や干渉信号をシミュレートできます。こうした柔軟な設定によって、LTEなどの複数のデジタル規格を使用して共存テストを素早く行うことができます。それ以外にも、R&S®SMW200Aではユーザー定義の任意波形を再生できます。このように、高度な干渉源テストにも対応可能です。
こうした波形は、例えばMatlabで作成できます。また、R&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアを使用すると、より簡単に作成できます。R&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアでは、移動するGNSSレシーバーの動的なシミュレーションも行うことができます。独立したAWGN/CW信号源をソフトウェアオプションで4つまで追加できるため、シミュレーションの干渉源の数は最大で7つになります。従来の方法では複数のデバイスを使用していましたが、R&S®SMW200A GNSSシミュレータには、干渉源テストに必要な機能がすべて1台の測定器にまとめられています。このコスト最適化ソリューションによって、複雑で現実的なテストシナリオを短時間で作成できます。GNSSシミュレータを2台のR&S®SGT100A RF拡張ユニットと併用すると、マルチアンテナシナリオやマルチ車両シナリオに適した4つのRF出力ポートを作成することができます。

AWGNおよびCW干渉源を追加したLTEの共存テスト
AWGNおよびCW干渉源を追加したLTEの共存テスト
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CWおよびAWGN干渉源右の図は、白色雑音干渉源と3つのCW干渉源を追加したGPSL1 C/A信号のスペクトラムです。R&S®SMW200Aは柔軟性が高いため、このセットアップにハードウェアを追加する必要はありません。CW信号とAWGNは、レシーバーが遭遇する最も一般的な干渉源です。CW干渉源の原因はさまざまです。意図しない干渉源は、一般に、増幅器やトランスミッターから出されるバンド外の高調波が原因です。最近広まりつつあるCOTS GNSSジャマーも、GNSS信号の受信を妨害するためにCW信号を使用します。また、アンテナと増幅器のノイズのシミュレーションや、ノイズジャマー下での性能評価にAWGNモジュールを使用することができます。

共存テスト

GNSSの周波数バンド自体は衛星ナビゲーション用に確保されていますが、Lバンドの残りは他の多くのサービスによって使用されています。例えば、LTEと衛星のアップリンクとダウンリンクはいずれもL1バンド付近を使用します。そのため、これらの信号が安全に共存できることを検証することが不可欠です。R&S®SMW200Aは、多くの最新通信規格をサポートするため、検証を容易に行うことができます。適切なモジュールを選択してシミュレーションを開始するのと同様に、GNSSバンド付近にLTE信号をセットアップすることも簡単に行えるため、レシーバーの性能への影響を素早く正確に評価することができます。もちろん、カスタムデジタル変調も使用できます。

特定の位置にとどまるGPSジャマーが、移動するレシーバーに与える影響
特定の位置にとどまるGPSジャマーが、移動するレシーバーに与える影響
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ジャマーシナリオの動的なシミュレーション

右のシナリオは、移動するGNSSと静的なジャマーのコ・シミュレーションを示します。このテストケースでは、干渉源付近のレシーバーの動作を調べ、レシーバーがいつ位置情報を失い、GNSS信号を再取得するまでにどのぐらいの時間がかかるかを確認します。

R&S®SMW200Aは、円形の軌跡を反時計回りで移動するレシーバーのGNSS信号を作成します。レシーバーは、右のマップの真南にあたる6時の位置から出発します。ジャマーは12時の位置、つまり、軌跡から100 m北にあります。軌跡の各位置でR&S®パルスシーケンサ・ソフトウェアを使用して、受信したジャマー信号を計算します。両信号を外部のコンバイナーで結合し、GNSSレシーバーに取り込みます。

レシーバーは、移動を開始するときに位置情報を示すことができます(軌跡の青い部分)。レシーバーがジャマーに近づくにつれ、ジャマー信号のパワーレベルが増加し、レシーバーはGNSS信号をロックオンできなくなります(軌跡の赤い部分)。レシーバーがジャマーから遠ざかると、ジャミング信号のパワーレベルは低下し、レシーバーはGNSS信号を再度取得できるようになります(オレンジ色の部分)。

利点

  • 複雑なGNSSシナリオの生成
  • 最大7つの干渉源を同時に発生
  • CW、AWGN、LTE、パルス波形など、幅広い干渉信号に対応
  • GNSS信号と干渉信号を統合したコ・シミュレーション