Digital bus and interface standards

DDR3/DDR4システムデザインでの効率的なアイダイアグラム・テスト

コンプライアンステストは、ダイナミック・ランダムアクセス・メモリ(DRAM)信号のタイミング、スルーレート、電圧レベルなどのパラメータがJEDEC仕様に適合していることを確認する上で不可欠です。システムの検証とデバッグでは、アイダイアグラム測定は、デジタル設計のシグナルインテグリティーを効率的に解析するための最も重要なツールです。DDRには固有の性質があるため、DDRデータバスで意味のあるアイダイアグラムを取得するには、強力なリード/ライト分離を備えた専用ソリューションが必要です。

DDR4システムテスト:リード/ライト分離とDQデータアイ
DDR4システムテスト:リード/ライト分離とDQデータアイ
ライトボックスを開く

課題

DDRインタフェースで信号品質をテストする場合、システムの潜在的なシグナルインテグリティー問題を明らかにしてトラブルシューティングするには、データ、コマンド/アドレス、制御信号でのアイダイアグラム測定が役立ちます。アイダイアグラム機能を利用すると、DDRインタフェースの性能をすばやく判定できるため、アイダイアグラム機能は多くのSIエンジニアの間で広く利用されています。コンプライアンステストは、DDR信号グループの信号特性をJEDEC仕様に従って検証しますが、シグナルインテグリティー問題を効率的に解析してデバッグするには柔軟性に欠けます。この場合の最適なツールは、アイダイアグラム測定です。単方向性コマンド/アドレスおよび制御信号グループの場合、リード/ライト分離は必要ありません。

ただし、データバスによってメモリコントローラーとメモリデバイス間の双方向のデータ転送が容易になるため、データアイを構築するには、強力なリード/ライト分離とデータバースト内での連続ビットの重ね合わせが必要です。

DQアイダイアグラムでのバースト長内でのUIの重ね合わせ
DQアイダイアグラムでのバースト長内でのUIの重ね合わせ
ライトボックスを開く

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®RTx-K91(DDR3、DDR3L、LPDDR3)およびR&S®RTx-K93(DDR4、LPDDR4)シグナルインテグリティーおよびコンプライアンステスト・ソフトウェア・オプションは、リード/ライトバーストを効率的に分離し、DDRのデータアイを測定するための追加機能を含む、包括的で自動化されたDDRおよびLPDDRコンプライアンステストを備えています。

DQS信号とDQ信号の位相調整
DQS信号とDQ信号の位相調整
ライトボックスを開く

DDRのデータアイ:リード/ライトバーストの分離

R&S®RTx-K91およびR&S®RTx-K93 オプションには、取得した波形内のすべてのリード/ライトサイクルを識別するのに役立つデコード機能が付属しています。

このデコード機能は、リード・データバーストとライト・データバーストを識別して分離し、測定されているデータバス上のDQ信号とDQS信号の位相調整と信号レベルを解析します。DQデータアイをDQSストローブ信号に同期させます。DDR3およびDDR4のリード/ライト・データバーストには、アイダイアグラムから除外する必要のあるプリアンブルも含まれています。R&S®RTx-K91およびR&S®RTx-K93オプションは、データバーストの前のプリアンブルをインテリジェントに検出して除去することで、テストに適したアイダイアグラムを作成します。

DDR3でのアイマスクの定義の例
DDR3でのアイマスクの定義の例
ライトボックスを開く

リード/ライトバーストの分離とデコードが、追加の制御信号を調べることなく、DQとDQSの位相の関係性としきい値ヒステリシスのみに基づいて行われます。ユーザーは持続時間の長いDQバーストを捕捉し、テスト用にライトのみ/リードのみのアイダイアグラムを作成できます。アイダイアグラムの作成が済んだら、マスクテスト、ヒストグラム、自動アイ測定などの解析ツールを利用することができます。

R&S®RTP-K93:リードおよびライト・データバーストの分離とデコード
R&S®RTP-K93:リードおよびライト・データバーストの分離とデコード
ライトボックスを開く

DDR3およびDDR4でのアイマスク

アイダイアグラムは、すべてのDDR仕様に含まれているわけではありませんが、DDR3およびDDR4システムデザインでのインタフェースの検証とデバッグに最適なツールです。DDR4ではDQデータ信号に対応したアイマスクのパラメータが規定されていますが、DDR3ではDQデータアイ用のマスクが指定されていません。ただし、DDR3のアイマスクは、データセットアップ(tDS)とホールドタイム(tDH)を使用して目の幅を定義する、JEDEC仕様から導出できます。垂直方向のアイの開きは、スルーレートと電圧レベル(VIHとVIL)によって定義されます。このマスク構築手法は、DDR3システムデザインでも、データバス上のシグナルインテグリティーをテストする際に効率的に使用できます。DDR3仕様では、信号のタイミング要件とレベル要件は、実際の信号のスルーレートと選択した基準レベルとデータレートに依存します。したがって、ユーザーは、デバイスの特性に応じてデータマスクを構成する必要があります。

R&S®RTP-K93:チップセレクト信号(CS)のDDR4アイダイアグラム
R&S®RTP-K93:チップセレクト信号(CS)のDDR4アイダイアグラム
ライトボックスを開く

R&S®RTPおよびR&S®RTO オシロスコープの標準的なマスクテスト機能は、R&S®RTx-K91およびR&S®RTx-K93のDDRデータ・アイダイアグラム・ツールと連携して動作します。ユーザーは必要なマスクプロファイルを定義し保存して、後でテストを行う際に使用することができます。マスクの違反は波形上に表示され(アイストライプ機能)、UIシーケンスに基づいて表形式にすることができます。ユーザーは個々のマスク違反をズームし、シグナルインテグリティーの問題を詳細に解析してデバッグできます。

R&S®RTP-K93:DDR4 DQデータアイおよびマスクテスト、違反領域の表示機能付き(リードサイクルの例)
R&S®RTP-K93:DDR4 DQデータアイおよびマスクテスト、違反領域の表示機能付き(リードサイクルの例)
ライトボックスを開く

DDRのその他のアイダイアグラム

双方向データバスとは対照的に、コマンド/アドレスおよび制御信号は単方向であり、リード/ライト分離を必要としません。これらの信号は、クロック信号CKに同期されています。アイマスクとマスクテストは、データバスの場合と同じ方法で構成できます。

R&S®RTP-K91:DDR3 DQデータアイおよびマスクテスト、違反領域の表示機能付き(ライトサイクルの例)
R&S®RTP-K91:DDR3 DQデータアイおよびマスクテスト、違反領域の表示機能付き(ライトサイクルの例)
ライトボックスを開く

まとめ

DDR3およびDDR4メモリ・インタフェーステストでは、コンプライアンステストでJEDEC規格に対する相互運用性を評価することができます。SI問題をデバッグする場合、解析作業を容易にするために、リード/ライト検出、アイダイアグラム、マスクテストなどの機能とツールが必要です。R&S®RTx-K91およびR&S®RTx-K93オプションは、コンプライアンステストと、DDR3およびDDR4システムデザインの検証/デバッグ用に、強力なツールボックスを提供します。

代表的な構成
関連ソリューション