Application Notes

R&S®CMWcardsによる自動車のField-to-Labテスト

R&S®CMWcardsは、直感的で使いやすいソフトウェアアプリケーションで、フィールドテストをラボ環境で再現するために使用できます。

R&S®CMW500 プロトコル・テスタをR&S®CMW-CUおよびR&S®CMWcardsツールと併用

課題

セルラー技術は自動車業界で広く採用され、車載用テレマティクス制御ユニットの重要な要素と考えられています。シームレスで信頼性の高いサービス(音声とデータ)を提供することは、ユーザー体感の向上には不可欠です。

製品の発売前に、各モバイル・ネットワーク・プロバイダーの通信プロトコルが正しく動作するかどうか、さらに、フェージングなどの不利な無線条件でもデバイスが優れた性能を発揮するかどうかを徹底的に検証しておく必要があります。

場合によっては、製品が市場で優位にあることを確認するため、ベンチマークテストが必要になることもあります。このような状況では、フィールドテストが非常に重要な役割を果たします。

フィールドテストを行えば、実際のネットワーク環境でモジュールをテストすることで、セルラーモジュールの機能と信頼性に関して必要な信頼度レベルを実現できます。フィールドテストの際に発見される問題は、実環境の動的な性質のために、一般に再現が難しく、修正の検証も困難です。

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®CMWcardsは、R&S®CMW500で動作するグラフィック・テスト・スクリプト作成ツールであり、プログラミングの知識がなくても使用できます。カードの配列をセットアップするだけで、さまざまなテストシナリオをシミュレートしてデバイスのプロトコル動作を検証できるシグナリング・テスト・スクリプトを作成できます。各カードは定義済みのプロトコル手順を表していますが、シグナリングパラメータはユーザーが柔軟に調整できます。各カードに内蔵されたエラーチェック機能により、シグナリングフローが規格に準拠することが保証されます。

Field-to-Lab(F2L)アプリケーションとR&S®CMWcardsを組み合わせることで、実際のネットワークのシナリオをラボで再現できます。これにより、フィールド関連の問題のほとんどを、制御可能、再現可能、デターミニスティックな方法で調査できます。

R&S®CMWcardsとF2Lの組み合わせは、フィールドでの動作を検証するための強力なツールです。フィールドログからネットワーク構成が抽出され、R&S®CMWcardsにインポートされることで、セル情報、RRC、NASメッセージを含むライブネットワーク構成でテストシナリオがシミュレートされます。

テストスクリプト内の特定のレイヤー3(L3)メッセージをフィールドログからのメッセージに置き換えることで、このL3メッセージコンテンツがモジュールの動作に与える影響を容易にテストできます。

オプションのダウンリンクメッセージとの同期によって、RFパワーや品質といったフィールドのRF条件を抽出し、テストスクリプトで再現することもできます。将来的には、可変無線条件を拡張して、フェージング条件をシミュレートすることも可能になる予定です。

アプリケーションのワークフロー

下の図は、R&S®CMWcardsのF2L機能の代表的な使用例を示します。

1. フィールドテストの問題をデバッグするには、まずフィールドテスト・ログ・ファイルが必要です。この種のログファイルは、ローデ・シュワルツのネットワークスキャナーを使用して入手するか、UEトレースを通じてキャプチャーできます。

2. フィールドログをF2Lアプリケーションウィザードの入力として指定します。ウィザードはログファイルを自動的に解析します。ユーザーは、解析出力に基づいて、詳細な調査が必要なネットワークパラメータとL3メッセージコンテンツを判定します。

3. F2Lウィザードは、フィールドログから抽出されたネットワーク構成、レイヤー3メッセージ、RFパラメータを含むネットワークプロファイルを作成します。ネットワークプロファイルはカードの集合で、各カードのパラメータは実際のネットワークに一致するように設定されています。

4. フィールドテストのテストシーケンスを反映したR&S®CMWcardsテストスクリプトを作成します。

5. ステップ3で作成されたネットワークプロファイルを選択します。ネットワークプロファイルは、ステップ4で作成したテストスクリプトのカードを自動的に置き換えます。

ステップ5が終わると、R&S®CMWcardsのテストシナリオは、ライブネットワーク条件をラボ環境(R&S®CMW500)でシミュレートします。

R&S®CMWcardsとF2Lの組み合わせは、自動車のフィールドテストの問題をラボで再現して解決するためのユニークで強力な方法です。このアプローチにより、デバッグの効率が大幅に向上し、OPEXを最適化できます。

Field-to-Labテストのコンセプトの概要
Field-to-Labテストのコンセプトの概要