データ伝送レートの向上とネットワーク容量の拡大を目的として、リリース'98でEDGE（Enhanced Data for GSM Evolution）が導入されました。EDGEでは、8PSK（位相シフトキーイング）という新しい変調方式が採用されています。従来のGPRSではRF変調シンボル1個で1ビットを表していたのに対し、この方式ではシンボル1個で3ビットを表します。この技術的変更により、EDGEでは実効データレートが3倍になり、ピーク・データ・レートはタイムスロットあたり59.2 kbit/sに達しました。GPRSと同様、達成可能な最大データレートは、移動機でサポートされるマルチスロットクラスに依存します。商業的に運用されているネットワークのダウンリンクの平均データレートは、300 kbit/s前後です。EGPRSは、EDGEとGPRSの両方を含む表現です。
EDGE Evolutionは、3GPPリリース7で規定されている機能セットからなります。EDGEを拡張する最大の目的は、この主要な第2世代テクノロジーの競争力を将来にわたって維持することであり、具体的には、IMSのような進化したコアネットワークでサポートされるさまざまな無線テクノロジー（GERAN、UTRAN、LTE）との間でサービス継続性を実現することです。改良点としては、ダウンリンク・デュアル・キャリア（DL DC）動作、高次変調方式（16QAMおよび32QAMを使用するEGPRS2）とオプションの高いシンボルレート（レベルB）の組み合わせ、ダウンリンクのターボコーディング、遅延の改善、および移動機でのRxダイバーシティーの使用が挙げられます。DL DCとEGPRS2レベルBを組み合わせることで、ピーク・データ・レートはダウンリンクで最大1.9 Mbit/sに達しますが、現実的には1 Mbit/s程度が達成可能です。
VAMOSは、3GPPリリース9で追加されたもっとも重要な機能の1つです。これにより、GSMネットワークの音声容量を2倍にできる可能性があります。DLの新しいAQPSK変調方式により、I/Qフェーズに異なるパワーレベルを割り当てることができます。新しい直交トレーニングシーケンスとの組み合わせで、2人の音声ユーザーが同じ物理リソースを共有できます。
1989年に、Groupe Speciale MobileによってGSM規格が定義され、デジタル携帯電話規格として国際的に承認されました。GSMは後にETSI技術委員会に引き継がれ、現在も同委員会がGSM規格の定義を行っています。今日では、GSMとEDGEは3GPP（第3世代パートナーシッププロジェクト）で規定され、TSG GERANで調整されています。
ローデ・シュワルツのGSM/GPRS/EDGE Evo/VAMOS
ローデ・シュワルツは、GSM/GPRS/EDGEデジタル規格に関する幅広い製品ポートフォリオを提供しています。ベクトル信号発生器やシグナル・スペクトラム・アナライザといった汎用機器、通信テスター、包括的なコンフォーマンス・テスト・システムなどです。EDGE EvolutionやVAMOSといった最新の機能拡張がサポートされており、今後の実装には最新の3GPP機能拡張が反映されます。ローデ・シュワルツは、GSMの実用化が始まった当初から製品を提供し続けているので、この真にグローバルなテクノロジーの実装に関するあらゆる側面を理解しています。
