エンベロープ・トラッキング・システムの簡素化

R&S®SMW200A ベクトル信号発生器とR&S®FSW シグナル・スペクトラム・アナライザを組み合わせることにより、エンベロープトラッキングとデジタルプリディストーションを含む、高速でシンプルなパワーアンプのテストが可能になり、複雑なテストセットアップが不要になります。

RF信号とそれに対応するエンベロープ信号。
RF信号とそれに対応するエンベロープ信号。
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課題

スマートフォンや軍事用無線機などの効率向上と消費電力削減のために、エンベロープトラッキング(ET)テクノロジーをサポートするパワーアンプ(PA)の普及が進んでいます。PAを測定するための代表的なテストセットアップには、信号発生器とスペクトラム・アナライザが最小限必要です。エンベロープトラッキングが使用されている場合は、DC変調器にエンベロープ信号を供給するために、信号発生器がもう1台必要となります。エンベロープ信号を発生するには、RF信号との間のきわめて精密な時間調整、シェーピング機能、最高の信号純度性能が求められます。

PAの性能は、歪みを測定し、プリディストーションの影響を解析することによって評価されます。電力付加効率(PAE)を測定するには、PAの入力/出力パワーと、対応する消費電力の時間同期測定が必要です。鍵となるのはきわめて精密な同期であり、複数のテスト機器を使用する場合はこれが大きな課題となります。

R&S®SMW-K540オプション:実装されているシェーピングモード。
R&S®SMW-K540オプション:実装されているシェーピングモード。
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電子計測ソリューション

ローデ・シュワルツ のR&S®SMW200AとR&S®FSWを使用すれば、エンベロープトラッキング機能を持つパワーアンプの特性評価のためのコンパクトなソリューションを実現できます。R&S®SMW200AにR&S®SMW-K540 エンベロープ・トラッキング・オプションを搭載することで、RF信号と、それに対応するエンベロープ信号の両方を発生できます。エンベロープ信号はベースバンド信号からリアルタイムで発生されるので、ユーザー固有のI/Qファイルや、LTE、WCDMAなどの無線通信規格が使用できます。

RF信号とそれに関連するエンベロープ信号を1台の測定器で発生することにより、2つの信号の間の遅延を精密に調整できます。R&S®SMW200Aは、遅延を±1 μsの範囲内で1 ps刻みでリアルタイムで調整できるので、厳しい要件(20 MHz LTE信号の場合は1 ns未満)にも対応できます。エンベロープ信号のシェーピングによって、アンプの効率またはリニアリティーを最適化できます。R&S®SMW200Aでは、テーブル、多項式、デトラフィングなどのさまざまなシェーピング方法が利用できます。これらはリアルタイムで適用されます。

パワー掃引の場合は、発生器がエンベロープ信号の振幅を自動的に計算するので、時間のかかる手動での再計算は不要です。その他のパラメータ(DC変調器の利得やインピーダンスなど)も調整できます。

R&S®FSW-K18オプション:1回の測定でアンプのすべての特性評価を実行。
R&S®FSW-K18オプション:1回の測定でアンプのすべての特性評価を実行。
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R&S®FSWは、ETテストソリューションの解析部分を担当します。R&S®FSW-K18 アンプ測定オプションを使えば、あらゆるRFアンプの詳細な特性評価が可能です。解析可能なのは、利得圧縮、ACLR、EVM、AM/AM、AM/PM歪みといった代表的なRFパラメータです。さらに、R&S®FSWでは、RF入力でRF信号を測定するのと同時に、ベースバンド入力を使用して、PAの電源電圧と消費電流を測定することができます。同時に測定された結果は、詳細なテーブルとグラフに表示され、瞬時PAE(効率)がわかります。

エンベロープトラッキングを使用するアンプは、飽和領域の近くまたは内部で動作するため、アンプ出力に歪みが生じます。このため、歪みの影響を補正するために、デジタルプリディストーション(DPD)とETの組み合わせが多く用いられます。R&S®FSW-K18では、歪み測定からDPDモデルを作成できます。作成されたDPDテーブルは、LAN経由でR&S®SMW200Aに自動的に転送されます。

R&S®FSWは、測定されたDPDテーブルを、LAN経由でR&S®SMW200Aに自動的に転送します。
R&S®FSWは、測定されたDPDテーブルを、LAN経由でR&S®SMW200Aに自動的に転送します。
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R&S®SMW200AにR&S®SMW-K541 デジタル・プリディストーション・オプションを搭載すると、受信したDPDテーブルに合わせて、各I/Qサンプルに振幅補正と位相補正をリアルタイムで適用できます。これにより、異なるパワーレベルに対しても、元の波形ファイルを手動で再計算せずに、プリディストーションの効果を短時間で検証できます。R&S®SMW200AにR&S®SMW-K540 エンベロープ・トラッキング・オプションとR&S®SMW-K541 デジタル・プリディストーション・オプションを搭載したものと、R&S®FSWにR&S®FSW-K18 アンプ測定オプションを搭載したものを組み合わせれば、コンパクトなテストソリューションを実現して、パワーアンプのテストにエンベロープトラッキングを追加するためのセットアップを大幅に簡素化できます。

エンベロープトラッキングを使用したパワーアンプのテストのためのローデ・シュワルツのコンパクトなセットアップ。
エンベロープトラッキングを使用したパワーアンプのテストのためのローデ・シュワルツのコンパクトなセットアップ。

特長

R&S®SMW200A ベクトル信号発生器

  • RF信号とエンベロープ信号を標準装備
  • リアルタイムのシェーピングと遅延調整
  • リアルタイムのデジタルプリディストーション

R&S®FSW シグナル・スペクトラム・アナライザ

  • RF信号とエンベロープ信号を1台で解析
  • フル機能のRF/歪み解析
  • 広いダイナミックレンジによりテストセットアップを簡素化

関連ソリューション