Radar / EW testing

信頼性の高いホッピング無線機のテスト

R&S®FSW シグナル・スペクトラム・アナライザにR&S R&S®FSW-K160R リアルタイム・オプションを組み合わせることにより、広帯域信号解析と高い捕捉率が可能になります。

FSW シグナル・スペクトラム・アナライザ

課題

今日の高度な戦術無線機の多くは、周波数ホッピングを利用することにより、クリティカルな運用での干渉や妨害電波の影響を軽減しています。これらの無線の性能試験は、多くの場合、静的モード(非ホッピング)で行われますが、運用時のあらゆるホッピングモードでの無線性能を検証し、隣接する信号バンドやバンド内通信テクノロジーとの干渉が起きないことを確認することも重要です。意図しない信号は、これらのネットワーク内で他の無線機の妨げとなるだけでなく、同一スペクトラム内に存在する他の無線システムと干渉する可能性があります。不要なスプリアス放射は、過渡現象や変調誤差、デジタルRF結合、非線形効果、パワーグリッチ、ハードウェア調整やクロック同期によるタイミング誤差によって生じます。これらの一時的なスプリアス信号は、非常に短時間であるため、従来のテストソリューションでは検出が困難です。

タクティカル無線通信の最も重要なバンドの1つは、ARNS(航空無線航行業務)周波数バンド(960 MHz~1215 MHz)です。これは、特に機上無線プラットフォームでは、戦術無線通信用の一般的な周波数バンドですが、航行および通信インフラ用の重要な周波数バンドでもあります。

ARNS(航空無線航行業務)バンド
ARNS(航空無線航行業務)バンド:GNSSなどの重要な航行業務の妨害を防ぐためのARNSスペクトラムおよびバンド。

上の図は、IFFインタロゲータ/トランスポンダ周波数(1030 MHzおよび1090 MHz)やGNSS L5/E5aバンド(1176.45 MHz)などの重要な無線テクノロジーがARNSバンド内に存在していることを示しています。適切に制御されていない無線機からの意図しないスプリアス放射が周波数ガードバンドに影響を与えると、これらの重要な航行テクノロジーや無線測位テクノロジーの性能を損なう可能性があります。

高速ホッピング無線信号の比較
R&S®FSWでの高速ホッピング無線信号の表示の比較:通常のスペクトラム・アナライザ・モードで数秒後に最大値ホールドトレースを使用した場合(上側)、およびリアルタイムモードの場合(下側)。
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電子計測ソリューション

これまで、バンド内やバンド外の不要なスプリアス信号を探索するために、通常のスペクトラム・アナライザが用いられてきました。しかし、R&S®FSWのように市販のスペクトラム・アナライザの中で最高レベルのダイナミックレンジと掃引速度を備えたスペクトラム・アナライザであっても、従来の掃引解析の設計上の制限により、急速に現れる過渡信号では信号捕捉率(POI)が低くなります。

高速でホッピングする無線信号エミュレーションのシグナルコンディショニングについて考えます(上のスクリーンショットを参照)。意図しない信号がIFFバンド(1090 MHz)に侵入していないことを検証するために、アナライザを掃引モードに設定し、最大値ホールドで信号を数秒間捕捉します(上記スクリーンショットの上側を参照)。50 kHzの分解能帯域幅で160 MHzに渡る掃引時間は6.4 msです。下側の表示は、同じ周波数レンジに対するR&S®FSW-K160Rのリアルタイム・スペクトラム・モードでの残光スペクトラムのカラー・グラデーション・スケールを示しています。このモードでは、最大600,000 FFT/sで信号を解析でき、同じ160 MHzのバンドで1.87 μsの短い時間で100 %の信号捕捉率を実現できます。残光スペクトラム表示で信号は捕捉されていますが、この信号を通常のスペクトラム・アナライザで最大値ホールドトレースを使用して表示することはできません。スプリアス信号が繰り返し発生する場合は、最大値ホールド表示を使ってある程度の振幅でスプリアス信号を捕捉することができますが、 信号の発生率を考慮して、信号を捕捉するのにどの程度の持続時間が必要かを判断する必要があります。

リアルタイムモードで残光スペクトラム表示にFMTを追加
リアルタイムモードで残光スペクトラム表示に周波数マスクトリガ(FMT)を追加することにより、1090 MHzでの信号違反の捕捉とアイソレーションが可能になります。
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リアルタイム・スペクトラム・モードは、最新のデジタル設計や周波数ホッピングの問題を扱う場合や、過渡信号などの捕捉率の低い信号の検出に不可欠です。また、周波数マスクトリガやリアルタイム・スペクトログラム表示などのリアルタイム機能では、信号のアイソレーションや時間相関解析を使用して、無線設計のトラブルシューティングを行うこともできます。信号が検出されると、下のスクリーンショットに示すように、複数の解析ウィンドウを使用して根本原因の解析を容易に行うことができます。リアルタイムモードの周波数マスクトリガ(FMT)では、信号のアイソレーションを即座に行うことができます。スペクトログラム表示と組み合わせた場合は、信号を時間に関連付けて解析することにより、関連イベントの発生時および前後の無線信号の状況のトラブルシューティングを行うのに役立ちます。

捕捉したI/Qデータは、R&S®FSWの解析帯域幅全体で解析できます。また、信号のスペクトラム、タイミング、変調、統計的な特性に関する時間相関表示の解析も行えます。

まとめ

R&S®FSW-K160Rオプションは、ローデ・シュワルツのリアルタイム解析ポートフォリオの最新の製品です。最高レベルの性能を備えたR&S®FSW シグナル・スペクトラム・アナライザと組み合わせることにより、表示平均雑音レベル(DANL)、位相雑音、および測定帯域幅(320 MHzの解析帯域幅)の業界最高レベルの性能を実現できます。

拡張性を考慮した設計になっているため、新しいリアルタイム機能はR&S®FSWのソフトウェアオプションとして使用できます。約600,000 FFT/sおよび160 MHzでの1.87 μsの100 %の信号捕捉率は、業界の新たな基準性能になります。

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