Test and measurement

正確な位相コヒーレントマルチチャネル収集のためのチャネル間アライメントの強化

オシロスコープはマルチチャネル機能を備えているので、MIMO信号(5G NR、WLANなど)、マルチアンテナレーダー信号、差動高速デジタル信号(USB 3.xなど)の解析といったマルチチャネルアプリケーションに最適です。これらのアプリケーションでは、オシロスコープのチャネルを厳密に調整する必要があります。つまり、チャネル間の残留スキューを正確に測定して、補正できるようにする必要があります。信頼性の高い測定結果を得るには、チャネル間の位相不整合を最小限に抑えることが非常に重要です。

図1:測定セットアップ
図1:測定セットアップ
ライトボックスを開く

課題

このアプリケーションカードでは、R&S®RTOおよびR&S®RTP オシロスコープで利用可能な高速差動パルスソースを使用する際に、チャネル間スキューを測定し、それを信号ソースとオシロスコープチャネル入力の間の信号経路全体で補正する方法を紹介します(R&S®RTO-B7/R&S®RTP-B7オプションが必要)。

図2:遅延測定の設定
図2:遅延測定の設定
ライトボックスを開く

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®RTO-B7/R&S®RTP-B7オプションは、マルチチャネル測定セットアップのスキュー補正を行うための正確なソースで、差動出力間のスキューは0.5 ps未満です。テストセットアップのスキューを補正するには、まず測定に使用するケーブルのセットをR&S®RTO-B7の出力に接続します。次に、その出力を両方のオシロスコープチャネルに供給し、チャネル間のスキューを測定します。図1に、測定セットアップを示します。

R&S®RTO-B7/R&S®RTP-B7オプションによって生成される信号は差動的性質を持つため、入力の1つを反転する必要があります。これで、対応する自動測定機能を使用して、入力信号の2つの立ち上がりエッジ間の遅延を測定できるようになります(図2)。別のアプローチとして、1つの信号の立ち上がりエッジと他の信号の立ち下がりエッジの間の遅延を測定するという方法もあります。この場合、反転は不要となります。ただし、同じ形状の2つのパルスを比較する方がより直感的であるため、上記で説明した最初のアプローチをお勧めします。測定中に統計をアクティブにすると、チャネル間スキューの平均値を取得できるので、この値をスキューオフセットとして使用してスキュー補正を行うことができます。

図3:ヒストグラムと主要な統計指標によって測定されたチャネル間スキュー
図3:ヒストグラムと主要な統計指標によって測定されたチャネル間スキュー
ライトボックスを開く

さらに、測定された遅延のヒストグラムをプロットして、その統計的分布を判定することができます。図3に、チャネルのスキュー補正前に取得された結果を示します。スキューの平均値が決定したら、図4に示すように、スキューオフセットとしてプローブ設定に適用できます。図5がその結果です。これは、チャネルが調整され、スキューの平均値が1 ps未満になったことを明確に示しています。

アライメントを行えば、長期間、再起動およびウォームアップ後も安定性を保ちます。これは、R&S®RTOおよびR&S®RTP オシロスコープの高度な温度管理によるものです。アライメントは、スキュー補正手順中に使用した同じケーブルを測定にも使用した場合にのみ有効であることに注意してください。

図4:チャネル2のスキュー補正設定
図4:チャネル2のスキュー補正設定
ライトボックスを開く

アプリケーション

以下の位相コヒーレントを取得:

  • RF MIMO信号(3GPP LTE/5G、IEEE 802.11acなど)
  • マルチアンテナレーダー信号

以下のチャネルを厳密に調整:

  • 差動高速デジタル信号(USB 3.xなど)
  • 並列高速インタフェース(DDR4など)
図5:スキュー補正後にヒストグラムと主要な統計指標によって測定されたチャネル間スキュー
図5:スキュー補正後にヒストグラムと主要な統計指標によって測定されたチャネル間スキュー
ライトボックスを開く
関連ソリューション