ブロッキングテストによるRFデバイスの性能の検証

ブロッキングテストによるRFデバイスの性能の検証

ブロッキングテストで判明する内容

無線インタフェースソリューションを使用するデバイス、マシン、システム、車両の高密度化が進む中、干渉信号の存在が新しいWi-Fiモジュールにとって大きな課題となっています。干渉信号の存在下で無線レシーバーが必要な信号を受信する能力は、ブロッキング特性で表します。これらの特性は、レシーバーの感度に大きな影響を及ぼすことから、感度低下特性とも呼ばれます。そのため、レシーバーが本来の機能を実行できるかどうかを見極めるには、ブロッキングテストが不可欠です。

ブロッキングテストでは、必要信号のリンクを一定のパワーレベルと周波数で維持します。信号発生器は、被試験デバイスが必要信号と干渉信号を同時に入力として認識できるように干渉信号を提供します。

ブロッキングテストは、無線機器指令Article 3.2に基づくEN規格の大半で規定されています。強力な干渉信号が小さい周波数オフセットで存在する場合でも、信頼性の高いレシーバーであれば、通信リンクを処理し、高い性能レベルを維持することができます。

EN規格の問題点

現行のEN規格は、無線機器に不可欠な規格要件を理解するための出発点にはなりますが、 各EN規格のブロッキングテストの要件を見ると、共通のガイドラインに従っていないことがわかります。例えば、2.4 GHzのISMバンドに規定されたブロッキングテストはかなり単純で、レシーバーの信頼性を十分に確認できません。このテストで使用される不要信号のレベルは常に一定です。あまりにも単純なため、重要な目的で使用される実環境のシナリオとはかけ離れています。

大半のEN規格は複数のタイプの不要信号を要求していませんが、例外もあります。例えば、DVB-TおよびDVB-T2の放送受信機に適用されるEN 303 340 Ver. 1.1.2規格は、 フルロードのLTE基地局信号のシミュレーションなど、複数のタイプの干渉信号を要求しています。つまり、あるモジュールがEN規定のパラメータを使用したテストに合格し、CEマークを取得できる状態であっても、そのモジュールが特定の要件に実際にどの程度適しているかを正確に評価するのは困難です。ローデ・シュワルツは、このテストをカスタマイズして、Wi-Fiモジュールが特定環境の特定用途に適しているかどうかを確認する方法を開発しました。

カスタマイズされたブロッキングテスト
カスタマイズされたブロッキングテスト

カスタマイズされたブロッキングテストのセットアップと実行

干渉信号の影響をモニターする最も簡単な方法は、被試験デバイスがパケット・エラー・レートまたはスループット低下をフィードバックできた時点でこれらのパラメータを確認することです。一定の性能パラメータしきい値が適用されている場合、カスタマイズされたブロッキングテストの作業は、必要信号からさまざまな周波数オフセットにある干渉信号のレベルを見つけることです。干渉信号をレベル対周波数オフセットのプロットで表したとき、小さいオフセットで傾きが急であるほど、強力なレシーバーといえます。

5 GHzのWi-Fiモジュールに適用されるEN規格では、2.4 GHzのWi-FiモジュールのEN規格に似たブロッキングテストが規定されています。ブロッキング信号のレベルは、「カスタマイズされたブロッキングテスト」ダイアグラムに示すように、ステップごとに増やすことができます。不要信号のレベルは、レシーバーが特定の性能しきい値に達するまで調整されます。

カスタマイズされたブロッキングテストは、各Wi-Fiモジュールを性能に基づいて差別化するのに便利です(「性能限界」ダイアグラムを参照)。ブロッキングテストのカスタマイズによって、EN規格で一般に指定されているブロッキングテストよりも実際のRF環境に近いテストシナリオを作成できる可能性が高まります。大半のEN規格では基本的なブロッキングテストしか求められていませんが、十分にカスタマイズしたブロッキングテストであれば、不要信号が存在するときのレシーバーの信頼性を検証できます。システム内の干渉源も確認できます。

干渉信号のタイプを選択することで、ブロッキングテストの品質をさらに高めることができます。標準的なCW信号ではなく、ノイズ信号(例:AWGN)または変調信号(例:OFDM)を提供すると、より正確な性能測定の結果が得られます。

カスタマイズされたブロッキングテストの結果を示す性能限界
カスタマイズされたブロッキングテストの結果を示す性能限界

まとめ

無線の共存を考慮すると、CEマークはレシーバー機能の最小限の信頼性しか示していません。最小限のEU規格は実環境に対応していないため、より信頼性の高いテストシナリオが必要です。そのためには、RED/ETSI規格などのさまざまな方法と他の方法を組み合わせ、経験から得られた見解も盛り込む必要があります。

この方法により、RFレシーバーの信頼性について、より正確な見解を得ることができます。そのためのソリューションが、周波数位置、レベル、帯域幅、動作条件、信号タイプなどのパラメータを調整したブロッキングテストのカスタマイズです。

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