LTE / LTE-Advanced

LTE eNBの性能試験

R&S®SMW200Aを使えば、LTE eNBのHARQフィードバックやULタイミング調整の信頼性の高いテストが可能になり、eNB性能試験を簡素化して、テストUEが不要になります。

R&S®SMW200Aを使えば、LTEアップリンクモードでのeNB性能試験が簡単になります。
R&S®SMW200Aを使えば、LTEアップリンクモードでのeNB性能試験が簡単になります。
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課題

LTE基地局(evolved NodeB、eNodeB、eNB)の開発時に、動作を検証するために何種類かのテストを実施する必要があります。トランスミッター/レシーバーブランチの検証が終わると、性能が評価され、3GPP技術仕様(TS)36.141のセクション8に記載された要件を満たすかどうかが確認されます。主な対象は、アップリンクの2つの物理チャネル、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)の、さまざまな伝搬条件での受信/復調機能です。伝搬条件には、さまざまなフェージングプロファイルとノイズレベルも含まれます。

PUSCHに関しては、2つの困難なテスト要件が定義されています。HARQフィードバックとアップリンク(UL)タイミング調整です。ハイブリッド自動繰り返し要求(HARQ)は、再送信を要求することによりデータパケットのエラーを訂正するために用いられます。データパケットが正しく受信された場合は、eNBから確認応答(ACK)が返されます。データパケットにエラーが含まれる場合、否定応答(NACK)により、別の冗長性バージョンによる再送信が要求されます。チャネル条件がよくない場合は、冗長性ビット数が増やされるか、低次の変調が用いられます。これにより、正しく受信できる確率は上がりますが、利用可能な正味データレートは低下します。

ULタイミング調整は、eNBが1つの無線セル内の複数のユーザー機器(UE)の伝送信号を整列させて、直交性を維持するために用いられます。これにより、連続するサブフレーム間および隣接サブキャリアに対する干渉が最小化されます。特に、TD-LTEの場合は、eNBが特定のサブフレームでしかデータを受信できないため、これが重要になります。ローデ・シュワルツでは、eNB性能試験を簡素化するために、強力で便利でコストパフォーマンスの高いワンボックスソリューションを提供しています。

電子計測ソリューション

R&S®SMW200Aベクトル信号発生器は、規格に準拠したLTE信号作成機能を備えています。相加性白色ガウシアン雑音(AWGN)およびフェージングオプションにより、さまざまなフェージングプロファイルやノイズレベルを使用して、eNBのUL性能試験のための実環境の伝送条件を高い信頼性でシミュレートできます。HARQフィードバックおよびULタイミング調整の規格に準拠したテストを行うには、被試験eNBと信号発生器の間にシリアル・フィードバック・ラインが必要です。HARQフィードバックのみをテストする場合は、バイナリACK/NACK情報を伝送するための単純なラインがあれば十分です。

HARQフィードバックの性能試験

3GPPコンフォーマンス仕様に従って、PUSCHは、指定されたS/N比(SNR)とフェージングプロファイルで、特定のスループット値を実現する必要があります。困難なマルチパスフェージング伝搬プロファイルと、いくつかの定義済みの信号設定を含む、さまざまなテストシナリオが指定されています。これらの固定基準チャネル(FRC)は、変調方式、チャネルコーディング情報、割り当てられるリソースブロック数を決定します。必要なFRCとフェージングプロファイルは、R&S®SMW200Aで実装されています。

さらに、R&S®SMW200Aは、UEのタスクをシミュレートして、eNBがチャネルコード化データパケットの伝送を制御できるようにします。eNBが伝送条件の不良などによりデータパケットの再送信を要求した場合、信号発生器は自動的に次の冗長性バージョンを使用するか、eNBのフィードバックコマンドにエンコードされたバージョンを使用します。

ULタイミング調整のテスト

3GPPでは、eNBのタイミング調整機能のテストも指定されています。3GPP TS36.141セクション8.2.2に基づくテストには、2台のUEのシミュレーションが必要です。1台は基準用の静止UEで、もう1台はeNBから時間調整される移動中のUEです。チャネル条件に関しては、2つの異なるシナリオが定義されています。

R&S®SMW200Aは、2パス方式により、タイミング調整テストを完全にサポートしています。移動中のUEは、定義済みのシナリオ1または2に基づいて、1つの発生器パスでシミュレートされ、静止UEはもう1つのパスでシミュレートされます。要求されている時間シフトに応じて、信号発生器は、シミュレートされたUEのUL信号をリアルタイムで遅らせるか進ませます。

必要なスループットを達成するには、被試験eNBが正しいULタイミングコマンドを送信する必要があります。これらのULタイミング調整テストでは、HARQ再送信が行われます。

フェージングを含む実環境のLTE信号をシミュレートし、HARQフィードバックおよびULタイミング調整コマンドを処理する機能を持つR&S®SMW200Aは、基地局テストのニーズに最適な使いやすいソリューションです。

R&S®SMW200AによるeNBのULタイミング調整機能テストのセットアップ
R&S®SMW200AによるeNBのULタイミング調整機能テストのセットアップ:2パスコンセプト、R&S®SMW-K55、R&S®SMW-K69 ソフトウェアオプションを備えたR&S®SMW200Aは、eNBの規格に準拠したULテストを、1台の電子計測器で3GPP TS 36.141セクション8.2.2に基づいて実行するのに最適です。
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