Application Notes

R&S®CMWcardsによる車載用デバイスのモビリティーテスト

R&S®CMWcardsはわかりやすく使いやすいソフトウェアアプリケーションで、モビリティーの検証がこれまでになく容易になります。

CMWcardsによる車載用デバイスのモビリティーテスト

課題

セルラー技術は自動車業界で広く採用され、車載用テレマティクス制御ユニットの重要な要素と考えられています。シームレスで信頼性の高いサービス(音声とデータ)を提供することは、ユーザー体感の向上には不可欠です。主要性能指標(KPI)として重要なのは、車両内のセルラーモデムのベンチマークです。自動車業界全体の新たな時代の到来を告げる自律運転の幕開けには、サービス品質を損なわないシームレスなモビリティーが必要です。

デバイスのモビリティー機能の検証は、検証段階でのフィールドテストにより、単調で高コストになる可能性があります。問題の発見が遅れれば、コストはさらに高くなります。

国境沿いの走行では、LTEやWCDMAなど、無線アクセス技術(RAT)の異なる複数のセルラー・ネットワーク・プロバイダーが国境を挟むため、一般にハンドオーバー手順が行われます。そのため、デバイスのモビリティーを確認する必要があり、以下の重要な領域のテストは必須です。

  • RRCアイドルモードでのセルの選択/再選択
  • ハンドオーバー
  • リダイレクション

デバイスの発売前に、これらのデバイスプロトコル手順をさまざまなネットワークシナリオで検証し、デバイスがモビリティー動作を円滑に処理できるかどうかを確認する必要があります。

カバレージ外のケースや各種障害状況を検証するために、さまざまな不利なシナリオのシミュレーションも必要になります。

デバイスの性能を評価するには、車両、歩行者、高速列車などのさまざまなフェージングプロファイルを追加して、実環境でのチャネル条件をシミュレートします。
実環境のIP条件もシミュレートできます。モビリティーシナリオにパッケージジッタ、遅延、損失などのネットワーク障害を追加して、IPデータ接続の信頼性を検証することができます。

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®CMWcardsは、R&S®CMW500 無線通信テスタで動作するグラフィック・テスト・スクリプト作成ツールです。プログラミングの知識がなくても使用できます。カードを組み合わせてセットアップするだけで、さまざまなシグナリング・テスト・スクリプトを作成できるため、モビリティーシナリオをシミュレートしてデバイスのプロトコル動作を検証することができます。各カードは定義済みのプロトコル手順を表していますが、シグナリングパラメータはユーザーが柔軟に調整できます。各カードに内蔵されたエラーチェック機能により、シグナリングフローが規格に準拠することが保証されます。

R&S®CMWcardsは、テストシナリオを簡単に組み合わせられる、再現性の高いデターミニステックなテスト環境を提供します。

アプリケーション

この例では、デバイスのハンドオーバー機能(LTEからWCDMAへのハンドオーバー)を検証するテストスクリプトをR&S®CMWcardsで作成します。このテストスクリプトは、以下の手順を実行します。

  • LTEとWCDMAのセルをセットアップし、アクティブにします("LTE and WCDMA cells" マクロカード)。
  • LTEセルのパワーレベルを上げ、WCDMAセルのパワーレベルを下げます("LTE Power Change" カードと "WCDMA Power Change" カード)。
  • LTEセルでDUTを起動し、登録します("Registration" カード)。
  • pingを使用してデータ伝送の検証を開始します("Start IP Data Service" カード)。
  • WCDMAセルのパワーレベルを上げます("WCDMA Power Change" カード)。
  • LTEセルからWCDMAセルへのハンドオーバーを実行します("Handover to WCDMA" カード)。
  • データ伝送の検証を停止します("Stop IP Data Service" カード)。
  • プライマリPDPコンテキストをオフにします("Deactivate Primary PDP Idle" カード)。

この単純なテストは、簡単に拡張できます。例えば、フェージングとIP障害のテストを追加するには、テストスクリプトにカードを2枚追加するだけです。

ハンドオーバー(LTEからWCDMA)テストのテストスクリプトの例
ハンドオーバー(LTEからWCDMA)テストのテストスクリプトの例