Installation and maintenance

DOCSISアップストリーム信号の正確な品質解析

ブロードバンド・ケーブル・ネットワークでインタラクティブサービスを実装する場合に、DOCSISはリターンチャネルの確立された規格となっています。これらの信号の品質は、ネットワークの効率にとって極めて重要です。解析には、ダウンストリームで実績のある高精度のR&S®ETL、R&S®EFA、R&S®FSH3-TV TVテストレシーバーを使用することができます。これらの電子計測器は、アップストリーム測定用に非常に簡単に構成できます。

DOCSISアップストリーム信号の正確な品質解析
DOCSISアップストリーム信号の正確な品質解析

課題

ケーブルのヘッドエンドとユーザーの機器間のリターンチャネルで高速データレートを実現するためには、ケーブルモデムのメーカーは、開発や製造の段階で、Euro-DOCSISアップストリーム信号の品質をテストする必要があります。ケーブルネットワーク事業者もまた、システムや機器の運用を開始する場合や、メンテナンスを実施する際に、信号品質をテストする必要があります。これには、コンスタレーションダイアグラムのMER値を、40 dBを超える場合でも正確に測定できる高精度の電子計測器が必要です。根本原因を解析するための追加測定(周波数応答、チャネルインパルス応答など)についても、同様に高いレベルの確度が求められます。

アップストリーム測定
アップストリーム測定
ライトボックスを開く

電子計測ソリューション

R&S®ETL、R&S®EFA、R&S®FSH3‑TV TVテストレシーバーは、TV番組や加入者データなどあらゆるタイプのダウンストリーム信号の品質を正確に解析できることで知られています。これらの測定器は、関連するすべてのパラメータを測定し、事前に定義されたリミット値と自動的に比較します。これらの測定器では、結果を保存してアーカイブしたり、より詳細に解析することができます。ダウンストリーム信号とは対照的に、アップストリーム信号は、J.83/A(DVB-C)、J.83/BまたはJ.83/C(SDB‑C)規格に準拠していません。しかし、アップストリーム信号を同じ精度で測定するために必要な設定はほんのわずかです。これらの特別な構成では(次のページを参照)、フル性能のテストレシーバーとして、測定器をDOCSISアップストリーム信号の測定に使用することができます。

オプションおよび設定
オプションおよび設定
ライトボックスを開く

アプリケーション

構成

ローデ・シュワルツのテストレシーバーには、ダウンストリーム関連の規格に対応するオプション(表を参照)が用意されています。R&S®ETLやR&S®FSH3-TVでは、スペクトラムアナライザ機能をゼロ・スパン・モードで使用して、アップストリームバースト信号のパワーを測定することができます。他の測定ではすべて、DOCSISアップストリーム信号を連続的に送信する必要があります。このためには、ケーブルモデムのバーストモードを無効にする必要があります。

テストレシーバーのロールオフ係数は0.18に設定され、シンボルレートとQAM次数はアップストリームパラメータに応じて設定されます。シンボルレートについては、テストレシーバーの設定範囲を考慮する必要があります(表を参照)。表に示されている同期設定を使用して、測定器がダウンストリーム信号のMPEG-2フレーム・アライメント・ワード0x47を誤って検索するのを防ぐ必要があります。

結果

このソリューションを使用すれば、Euro-DOCSISアップストリーム信号とそれらの伝送チャネルの品質(パワー、コンスタレーションダイアグラム、MER、周波数応答、MER(f)、イングレス(f)など)を正確に測定することができます。直接測定することができない唯一のパラメータであるビット・エラー・レートも、DVB-C信号を使って測定できます。

ロールオフ係数を0.18に設定してもDOCSISアップストリーム仕様(0.25)に正確に適合しませんが、ローデ・シュワルツのテストレシーバーは、非常に高性能なイコライザーを備えているので、これを十分に補正することができます。わずかな偏差が周波数応答測定範囲の外縁でのみ発生します(スクリーンショットを参照)。

(EURO)DOCSISアップストリーム信号に加えて、ここで説明する構成を使用することにより、任意のタイプの成分(既知または未知)を含む一般的なQAM信号を測定することもできます。

ETLの測定結果
ETLの測定結果

このスクリーンショットは、DOCSISアップストリーム信号の周波数応答のR&S®ETLによる正確な測定結果を示します。MERが46.6 dBと大きいことに注目してください(下部のステータスバー)。MPEGインジケーターが赤になっているのは、DOCSISアップストリーム信号にMPEG-2のフレーム・アライメント・ワード0x47が含まれていないからです。ロールオフ係数が信号(r=0.25)とテストレシーバー(r=0.18)で異なっているため、チャネルの外縁では振幅がわずかに低下しています(黄色のトレース、<0.2 dB)。これは他の測定の確度には影響しません。

関連ソリューション