マイクロ波信号による量子状態の制御
量子ビットのエネルギー状態は、外部のマイクロ波信号によって制御できます。このプロセスは、ブロッホ球を使って説明されます(右図)。1と0の論理状態は、ブロッホ球の北極と南極に位置します。球面上の他のすべての点は、重ね合わせ状態に対応します。現在の状態は、状態ベクトルというもので示されます。共振マイクロ波信号との相互作用により、ブロッホ球内での状態ベクトルの回転が起こります。
量子ビットによって信頼できるコンピューティング動作を行うには、パルスの長さ、マイクロ波信号の振幅、制御パルスのエンベロープに基づいて、この回転を高い精度で制御する必要があります。制御パルスの相対位相と呼ばれるものが、ブロッホ球内での量子状態の回転軸に影響します。同じ位相のパルスが量子ビットに適用された場合、状態は常に例えばX軸上で回転します。パルスの位相が90°ずれている場合、状態ベクトルはY軸上で回転します。
信号源の要件
任意波形発生器は、信頼性の高い柔軟な制御信号源です。マイクロ波信号源およびミキサーと組み合わせることで、適切なパルスを適切な量子ビット周波数で発生できます。制御パルスの位相をリアルタイムで精密に調整し、エンベロープを正確に制御することで、ブロッホ球上の任意の目標点に、任意の時点で任意の出発点から到達できます。
エラー耐性が高い従来のコンピューティング動作と異なり、量子コンピューターには制御パルスの精密な校正が不可欠です。回転のわずかな偏差(例えば量子状態の回転が1 %多い)でも、量子演算の結果を変化させる可能性があります。同様のエラーは、位相制御の誤差からも起こります。したがって、量子コンピューターの制御機器には、高い位相/振幅安定度が必要です。制御パルスの位相は、任意波形発生器に記憶されているパルスの同相成分と直交位相成分によって調整されます。