車載アプリケーション用電子制御ユニットの効率的なテスト

今日の自動車は、高集積化と一体化が進んでいます。車内の最大150個の埋め込み電子制御ユニット(ECU)が、ドライビングを快適で安全なものにしてくれます。ECUの例には、伝送制御モジュール、空調システム用のECU、そして自己更新型で5G対応のテレマティクス制御ユニットが含まれます。

CompactPCIおよびPXIベースのR&S®CompactTSVP テストシステム汎用プラットフォーム
CompactPCIおよびPXIベースのR&S®CompactTSVP テストシステム汎用プラットフォーム

課題

先進運転支援システム(ADAS)、車内インフォテインメントシステム、リモート診断、および電気パワートレインなどの機能に対する要求を満たすために、車両アーキテクチャーが進化しており、分散型シングルコアECUから高性能の小型マルチコア・デジタル・プラットフォームへと移行しています。CAN、LIN、FlexRayTMおよび車載イーサネットにより、ECUとセンサの間の高速データ通信が可能になります。

ECU機能のほとんどが安全性関連であるため、常時、あらゆる条件において最高水準の信頼性が要求されます。各機能の電気的信頼性は、開発から生産までの製品ライフサイクルにわたって検証される必要があります。

センサ信号は、定義済みの電圧、電流および周波数によってシミュレートされる必要があります。アクチュエーターは、例えばパワーウィンドウの駆動モーターをシミュレートするために特定の負荷(抵抗)を必要とします。

多様な信号発生器、アナライザおよび負荷ユニットを互いに、そして被試験デバイス(DUT)に接続し、効率的でコンパクトなテストセットアップを構成する必要があります。DUTのテスト仕様に基づいて、自動ソフトウェアプログラムのテストシステム(モジュール、インタフェース、DUTアダプター)を構成し、テストケースを作成できる必要があります。

テストシステム・ソリューションは、ハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、および異なる種類のECUに対して適応させやすい必要があります。システムは異なる測定タスクに柔軟に適応でき、高い信頼性を維持し動作できる必要があります。システムの信頼性を確実にするために、内蔵のセルフテスト機能およびシステム内校正が必要です。

ローデ・シュワルツのソリューション

PXIベースのR&S®CompactTSVP プラットフォームは、量産におけるファンクションテストおよびインサーキットテストのための自動テストシステムです。R&S®CompactTSVPは、前述の要件を単一のテストシステムで満たします。内蔵の複数スイッチ・マトリクス・カード(各4×90)と組み合わせた内蔵の信号バスコンセプトは、テスト機器、測定機器、スイッチングリレー、およびDUTの間をつなぐ、信頼性が高く柔軟で効率的な信号ルーティングを提供します。

高価でありながら信頼性の低い外部ケーブルは不要なため、信号ルーティングの追跡がはるかに容易になります。R&S®CompactTSVPは、追加の電源や負荷を接続するための背面I/Oコンセプトを採用しています。これらの電源ラインは、測定器の正面にあるフィクスチャインタフェースにハイパワー・スイッチング・カードを通してルーティングされており、計測セットアップがシンプルになります。

信号ルーティングライブラリに含まれている定義済み、またはユーザー設定可能な信号ルーティングモデルを使用して、測定モジュールとDUTの間の複雑な信号接続を容易にプログラムすることができます。ユーザーはテストプランに合わせてテストシステムを構築し、最大で14の測定モジュールとスイッチングモジュールを柔軟に構成することができます。

シングルスロット、デュアルチャネルでフローティング状態の任意波形発生器が、アナログ/デジタルコンバーター(ADC)および周波数/電圧コンバーター(FU)をテストするための、センサ信号をシミュレートするか、またはクロック信号もしくはパルス信号を発生します。アイソレートされた出力により、差動信号を直接発生させることができます。アクチュエーター側では、シングルスロット、8チャネルでフローティング状態のシグナル・アナライザが、シャント抵抗を通して動的消費電流(パルス)をモニターします。測定レンジを拡張して高い電流分解能を達成するために、シャントを直接接続するためのフローティング入力が必須です。

マルチメーターモジュール(R&S®TS-PSAM)は、ファンクションテスト(FCT)およびインサーキットテスト(ICT)のための電圧測定、電流測定、および抵抗測定をすべてカバーします。内蔵バスシステムは、電流測定のためにスイッチングカード上の電流センサをR&S®TS-PSAMに接続します。

ECUのアクチュエーター信号をテストするために、内部負荷と外部負荷が個別の制御信号に接続されています。内蔵の電流測定機能をもつ2 Aから50 Aの高電流スイッチングカードが、外部負荷をR&S®CompactTSVPの背面から正面にルーティングするため、セットアップが容易で効率的になります。

高い信頼性を確保するために、システムにはセルフテスト機能とシステム内校正ルーチンが内蔵されています。セルフテストでは、追加の配線や特別な接続をせずにすべてのスイッチングカードの接触抵抗を測定します。

システム内校正では外部マルチメータを使用して、R&S®CompactTSVPシャーシ内のすべての測定モジュールを校正することができます。

テストシステムのコアは、必要なテストすべてを生産内で自動的に実行するソフトウェアです。オープン・ソフトウェア・コンセプトのおかげで、C、C#、LabWindows/CVIなどのすべての一般的なプログラミング言語や、テスト管理ソフトウェアのTestStandを使用して、既存のテストシステム・ソフトウェアへの統合を容易に行えます。

デバッガーおよび自動テストジェネレーターを備え、インストールされたR&S®CompactTSVPのモジュール、測定器ドライバー、セルフテスト、システム内校正およびICTのためのユーザーインタフェースなどのすべてのソフトウェアコンポーネントは、R&S®GTSL 汎用テスト・ソフトウェア・ライブラリに含まれており、ソフトウェアライセンスは必要ありません。

ファンクションテストのための測定モジュールは、ICTのために再利用でき、真の意味で投資コストを保護することができます。Virginia Panel Corporation製の大量相互接続インタフェースの特定のバージョンでは、インタフェース用ケーブルを使用せずにR&S®CompactTSVPのシャーシとモジュールに直接接続できます。これにより、信号品質を落とさずに信頼性の高い信号接続が可能になります。

R&S®CompactTSVPによるECUテスト

R&S®CompactTSVP – 車載用ECUのためのICT、FCTおよびJTAG/バウンダリ・スキャン・テストのためのコンパクトなモジュール型テストソリューション

R&S®CompactTSVPによるECUテスト

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