R&S®Essentials | デジタルオシロスコープの基礎
パッシブプローブから差動プローブまで
著者:Paul Denisowski、プロダクトマネジメントエンジニア
市場ではさまざまなプローブを入手できるため、アプリケーションに最適なものを選択することが困難な場合があります。この記事では、4種類の主なプローブタイプ(パッシブ、アクティブ、差動、電流)を紹介し、その特長について解説します。記事をお読みになり、お客様の測定に必要なプローブをご検討ください。
R&S®Essentials | デジタルオシロスコープの基礎
著者:Paul Denisowski、プロダクトマネジメントエンジニア
市場ではさまざまなプローブを入手できるため、アプリケーションに最適なものを選択することが困難な場合があります。この記事では、4種類の主なプローブタイプ(パッシブ、アクティブ、差動、電流)を紹介し、その特長について解説します。記事をお読みになり、お客様の測定に必要なプローブをご検討ください。
パッシブプローブの特長は、その簡素性とアクティブコンポーネントがないことです。このようなプローブは動作するための外部電源が不要なので、多くのオシロスコープに標準で付属しており、多くの場合、異なるモデルやメーカー間で互換性があります。安価で堅牢なパッシブプローブは、使いやすく、複雑な設定も必要ありません。その使いやすさは、基本電圧測定に最適です。プローブをオシロスコープに接続してグランドリードを取り付けるだけですぐにプロービングできます。

R&S®RT-ZP10 パッシブプローブ
主な特長
パッシブプローブで測定を実行する前に、補正することが重要です。プローブ補正は校正プロセスです。キャパシタンス比の微調整を、プローブとオシロスコープ入力の両方で行います。プローブを補正しないと、測定の不正確さにつながり、振幅などのパラメータやパルス形状に影響を与える可能性があります。そのため、プローブとオシロスコープを初めての組み合わせで使用する場合やクリティカルな測定を実行する際には、プローブ補正を実行することがきわめて重要です。
補正手順は簡単です。
これにより、プローブが入力信号の特性を正確に表すようになり、精密で再現性の高い測定が可能になります。
さらに詳しく知りたい場合は、 次の解説記事も併せてご覧ください。 オシロスコープのパッシブプローブの理解 および プローブ補正について 。
アクティブプローブはその名前のとおり、アクティブコンポーネント(電源駆動コンポーネント)がプローブチップに組み込まれているものです。アクティブコンポーネントは、通常電界効果トランジスタ(FET)です。アクティブプローブの際立った利点は、広い周波数レンジ全体で最小の負荷を実現できることです。これは、低い入力キャパシタンスが高い入力インピーダンスに変換される効果です。これにより、正確な測定を、観測対象の回路に影響を与えずに行うことができます。
アクティブプローブには、さらに別の利点があります。それは、高い入力オフセットです。すなわち、アクティブプローブでは、中心が0 Vでない信号に対応することができます。この機能が便利なのは、扱う信号にDC(直流)成分が含まれている場合、すなわち、ベースラインがゼロではない場合です。
アクティブプローブには通常、専用コネクタが付いているので、オシロスコープはプローブを自動的に検出して校正できます。電源は、この特殊なインタフェースを通じて供給することも、外部から供給することもできます。ほとんどのアクティブプローブでは、オシロスコープのチャネルに50 Ωの終端設定が必要なことに注意してください。

R&S®RT-ZS20 シングルエンドFETプローブ
主な特長
差動プローブは、回路内の2点間の電圧差を測定するように設計されています。回路内のさまざまなポイントに接続できる2つの入力を備え、位置ごとのグランド基準は不要です。このプローブは、内蔵差動アンプを使用することで、選択された測定ポイント間の差を反映した電圧を出力します。これは、多くの場合、ユーザーが定義した減衰比によりスケーリングされます。
差動プローブの重要な特性は、「コモンモード」信号に対するイミュニティーです。コモンモード信号は、両方の測定ポイントに同時に存在する信号です。このような特性が威力を発揮するのは、ノイズの多い環境における低レベル信号の測定です。このプローブはシングルエンド測定にも使用可能で、その場合は一方のリード線をグランド接続するだけで測定を実行できます。

R&S®RT-ZD003 差動プローブ
主な特長
これまでに紹介したすべてのプローブ(パッシブ、アクティブ、差動)は、オシロスコープ入力で電圧を出力します。これは、オシロスコープが時間関数として電圧を測定するためです。しかし、電流を測定したい場合はどうすれば良いでしょうか?この場合は、一貫した予測可能な方法で電流に相当する電圧を出力する方法が必要です。すなわち、測定電圧の電流値への「変換」が必要です。例えば、オシロスコープ入力における1 Vを、1 Aの測定電流を表すために使用できます。
この変換を実現する方法が電流プローブです。動作原理は、導体を流れる電流により発生する電磁界を捕捉して、既知の電圧対電流比を使用して電流を電圧に変換します。このプローブは、電流の向きを示す矢印マークに従って、電流が流れる導体を囲むように配置(「クランプ」)します。
多くの電流プローブはアクティブデバイスなので、動作のために外部電源が必要です。すべての電流プローブはACの検出と測定が可能ですが、中にはDC電流を測定できるものもあります。AC電流測定を左右するのは、電流トランスです。一方、DCや非常に周波数の低いACの測定には、ホール効果センサが使用されます。
通常の電流プローブは一般的に、大電流に対応できません。ここで必要になるのが大電流プローブです。このプローブの特長はその特殊な構造で、大電流を測定できるように低抵抗を備えています。大電流プローブは、多くの場合、特殊なセンサを使用して、電流により発生する磁界を測定します。これにより、非接触測定が可能になり、これは、大電流に対応するために不可欠です。さらに、大電流プローブは一般的に、通常の電流プローブと比較して確度と分解能が優れています。これが必要になるアプリケーションは、例えば、パワーエレクトロニクスやエネルギーシステムで、電流のわずかな変化が大きな影響を与える可能性のあるものです。

電流プローブは多くの場合、電圧と電流の両方が必要とされる電力測定に使用されます。場合によっては、タイムオフセット(「スキュー」)のような問題が生じる可能性があります。その原因は、プローブリード内の伝搬時間の変動です。このスキューにより、電力結果が不正確になる可能性があります。
デスキューフィクスチャを使用することで、この問題を解決できます。これは、スキューを識別して補正する特殊なツールとして機能します。フィクスチャが時間調整された電圧/電流パルスを生成し、接続されている電流/電圧プローブによってこれを同時に測定します。テスト波形にスキューがある場合は、適切なデスキュー値をオシロスコープに入力することができます。この補正により、電流/電圧波形の位相が一致した状態に戻り、この後に続く測定に対するスキューの影響が軽減され、確度を維持したままで電力を計算できます。
まとめ
測定ニーズに最適なオシロスコーププローブの選択について、 弊社のエキスパートがお答えします。