航空交通管制サービス向け5 kW HFハイパワートランスミッター

R&S®SK4105 HFハイパワートランスミッターは、グリーンランドなどの過酷な条件下で提供される航空交通管制サービスに最適です。

グリーンランド
グリーンランド沿岸の航空無線局の一部

グリーンランドは、200万平方キロメートル以上の面積を持つ世界最大の島です。人口は57,000人にすぎません。空域は広大であり、送信局は互いに離れています。デンマークの航空交通管制サービスプロバイダーであるNaviairは、グリーンランドの飛行情報センター(FIC)経由で低空域の航空管交通制を担っています。さらに、グリーンランド沿岸の戦略拠点で複数のHFおよびVHF無線システムを運用しています。通信は主に南西部の中心都市ヌークにあるFICを経由して行われます。現地のHFトランスミッターは、まもなく交換の時期を迎えます。2023年夏、ローデ・シュワルツはこうした過酷な環境に適した低メンテナンスでコンパクトなR&S®SK4105 短波トランスミッターを提供します。送信時の周波数レンジは1.5 MHz~30 MHz、伝送パワーは最大5 kWです。こうした高い伝送パワーにより、地上局から航空機までの長距離無線リンクを実現できます。

コンパクトで低メンテナンスな設計を実現する水冷式システム

このトランスミッターでは、信号源からダウンストリーム方向に水冷式ハイパワーアンプが接続されています。水冷式システムはこの数年、テレビ局や無線局のトランスミッターに広く使用されています。コンパクトで低メンテナンス、信頼性の高い水冷式システムは、航空管制(ATC)のトランスミッターとして独自のセールスポイントとなります。R&S®SK4105とポンプユニットは、19インチラックに収容できます。他社の空冷式トランスミッターは最大で4倍の設置面積が必要であり、機械的な摩耗や損傷に伴うメンテナンスも増えます。

冷却剤はアルミのブロックを流れるため、上部のトランスミッターモジュールの動作温度は最適な状態に保たれます。同時に、ハウジング内の他のコンポーネントに対する熱応力を軽減し、システム全体の信頼性を高めます。この点は、安全第一のタスクを実行するトランスミッターには非常に重要であり、アクセスの難しい雪深い遠隔地では、さらに重要性が増します。また、この動作条件では、トランスミッターハウジングからの廃熱をトランスミッターシェルターの保温に利用できます。

全体的な電源要件と運用コストは、空冷式のHFトランスミッターに比較して低くなります。グリーンランドの永久凍土以外の地域では、水冷式には別の利点があります。それは、外部の空気とは無関係に冷却が行われるため、空調の必要性がはるかに低いことです。

R&S®SK4105 HFハイパワートランスミッターは、150 Wから5 kWまで、さまざまな伝送パワーを構成できます。

ATCタスクの将来のニーズに対応したHFトランスミッター

R&S®GX4100 励振器はR&S®SK4105 HFハイパワートランスミッターの主要なコンポーネントであり、グリーンランドの海上交通のために設置された複数の1 kW HF海岸局ですでに使用されています。このソフトウェア定義励振器はEUROCAE ED-137C基準を満たすため、将来の無線規格に合わせて新しいトランスミッター機能を手軽に統合し、調整することができます。また、ローデ・シュワルツのCERTIUM®ポートフォリオの一部であるこのHFハイパワートランスミッターは、CERTIUM®シリーズの他のハードウェアおよびソフトウェアと互換性があり、任意のアプリケーションに合わせて拡張することができます。