ローデ・シュワルツ製オシロスコープのトリガを柔軟に使用して正確なレーダー信号解析を実行

オシロスコープは、レーダー信号などのパルスド信号の解析のために、航空宇宙・防衛分野だけでなく、車載用アプリケーションでも使用される機会が増えています。解析帯域幅が広く、さまざまなトリガ機能を持つオシロスコープは、これらのアプリケーションでニーズが高まっている広帯域幅と正確な信号検出に適しています。R&S®VSE ベクトル信号解析ソフトウェアは、ローデ・シュワルツ製オシロスコープの高度なトリガシステムをすべてサポートし、さまざまな信号を包括的に解析できる強力なツールです。トリガ設定を調整することで、パルスとパルスシーケンスをアイソレートし、R&S®VSE ベクトル信号解析ソフトウェアを使用してすべてのパルスを解析することができます。

課題

最新式の車載用レーダーモジュールは、周波数変調連続波(FMCW)信号またはチャープシーケンスを使用します。これらの信号を解析するには、個々のチャープを解析する前にチャープシーケンス全体を捕捉する必要があります。FMCW信号のオフ時間は、一般にチャープシーケンスよりかなり長いため、チャープシーケンスの開始を正確に検出することは、解析対象を必要な信号部分に絞り、解析速度を改善するうえで不可欠です。このアプリケーションカードでは、実環境の車載用レーダー信号のチャープシーケンス開始時にトリガを正確にかけるために、R&S®VSEソフトウェアを設定してローデ・シュワルツ製オシロスコープのトリガ機能をフル活用する方法について説明します。

図1:R&S®VSE-K60 トランジェント解析オプションでの手動トリガモードの設定。
図1:R&S®VSE-K60 トランジェント解析オプションでの手動トリガモードの設定。
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ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®VSE ベクトル信号解析ソフトウェアは、ローデ・シュワルツ製オシロスコープをすべてサポートしています。ユーザーはオシロスコープの高度なトリガシステムを活用し、最適なトリガタイプを設定して、必要な信号を正確に検出することができます。R&S®VSEソフトウェアでオシロスコープのトリガサポートをアクティブにするには、"Input & Output" > "Trigger" の下でアクティブな測定チャネルのトリガ設定を開き、トリガソースを "Manual" に変更します(図1を参照)。

図2:オシロスコープを制御するローカルモードに切り替えて、トリガ設定を調整します。
図2:オシロスコープを制御するローカルモードに切り替えて、トリガ設定を調整します。
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R&S®VSEソフトウェアでトリガモードを "Manual" に切り替えた後、オシロスコープのオンボードツールでトリガ設定を調整して、解析するパルスをアイソレートすることもできます。オシロスコープのメイン画面にある "Local" ボタンを押すと、オシロスコープのユーザーインタフェースが表示され、目的の変更を行うことができます(図2を参照)。

例えば、最適なトリガタイプ(例:エッジ、幅、ウィンドウ)を選択することも、オシロスコープ専用の複雑なトリガセットアップ(例:A-B-Rトリガ)を設定することもできます。R&S®VSEで新たに収集を行うとき、ユーザーによる新しいトリガ設定が引き継がれます。

図3:車載用レーダー信号収集のための測定セットアップ。信号をR&S®FS-Z90 高調波ミキサーでダウンコンバートし、R&S®RTP164 ハイパフォーマンス・オシロスコープで解析します。
図3:車載用レーダー信号収集のための測定セットアップ。信号をR&S®FS-Z90 高調波ミキサーでダウンコンバートし、R&S®RTP164 ハイパフォーマンス・オシロスコープで解析します。
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アプリケーション

実環境の車載用レーダー信号に使用できるこのソフトウェアの機能を例で説明します。図3に測定セットアップを示します。短距離レーダー(SRR)として設計されたレーダートランシーバー(77 GHz~81 GHzバンド)で、帯域幅3.9 GHzの車載用レーダー信号を生成します。各チャープシーケンスのチャープ数は32です。この信号を無線で送信し、R&S®FS-Z90 高調波ミキサーでオシロスコープの解析帯域幅の中間周波数レンジにダウンコンバートします。

測定セットアップ

この信号を解析するには、まず、R&S®VSEソフトウェアのR&S®VSE-K60 トランジェント解析オプションを使用して、チャープシーケンス全体の解析に適したトリガ設定を選択します。

図4:カーソルを使用してチャープシーケンスとオフ時間を測定します。
図4:カーソルを使用してチャープシーケンスとオフ時間を測定します。
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チャープシーケンスとオフ時間の長さは不明と仮定されるため、測定が必要になります。そのため、収集した信号を意図的にアンダーサンプリングします。そこから少なくとも2つのチャープシーケンスを捕捉し、その間のオフ時間を予測できます。図4は、オフ時間の値が約73 ms、各チャープシーケンスの持続時間が約26 msであることを示しています。

図5:チャープシーケンスの最初のチャープの開始時にトリガをかける幅トリガ。
図5:チャープシーケンスの最初のチャープの開始時にトリガをかける幅トリガ。
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測定したオフ時間と同じ範囲に負の極性を持つ幅トリガを設定します。この方法により、シーケンスの最初のチャープの開始時にトリガを簡単にかけることができます。

トリガは次のように設定します。

  • R&S®VSEを起動し、新しいトランジェント解析測定チャネルをオープンします。
  • 適切な中心周波数(この例ではダウンコンバート後の3 GHz)を設定します。
  • 必要な解析帯域幅(この例では4 GHz)を設定します。
  • チャープシーケンス全体を捕捉する測定時間(この例では30 ms)を設定します。
  • R&S®VSEでトリガモードを "Manual" に設定します(1ページを参照)。
  • オシロスコープの制御画面の "Local" ボタンを押し、トリガ設定を開き、トリガを図5のように設定します。
  • R&S®VSEに戻り、収集を開始します。

図6に示すように、パルスシーケンスが正しく捕捉されます。32個のチャープがすべて検出され、チャープ結果のテーブルにチャープの特性のサマリーが表示されます。特定のパルスの詳しい測定値を表示するには、サマリーテーブルからそのチャープを選択します。

図6:R&S®VSE-K60を使用した測定結果。
図6:R&S®VSE-K60を使用した測定結果。
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