ミキサーの重要な性能パラメータの有効な測定方法

3種類のRF計測器を1台に搭載したR&S®FPC1500スペクトラム・アナライザによる内部LOを備えたRFミキサーの特性評価。

課題

ミキサーは周波数変換コンポーネントなので、入力信号と出力信号の周波数が異なります。ミキサーには、RF(無線周波数)、LO(局部発振器)、IF(中間周波数)の3つのコネクタがあります。このため、ミキサーの特性評価には、4ポートのベクトル・ネットワーク・アナライザが通常必要になります。重要なテストパラメータは、変換損失、アイソレーション、反射です。その他のパラメータとしては、高調波、1 dB圧縮ポイント、インターセプトポイントがあります。個々の特性の相対的な重要性は、ミキサーのアプリケーションに応じて異なります。

低いパワーレベルで動作するレシーバーシステムのダウンコンバージョンミキサーの場合、高調波と圧縮ポイントの測定はそれほど重要ではありません。製造環境ではテストコストが重視されるので、ファンクションテスト中には重要なパラメータだけがチェックされます。

ローデ・シュワルツのソリューション

一部のミキサーは、エンベディッドLOを内蔵しているため、外部LOを必要としません。このようなミキサーには、RFとIFの2つのコネクタしかありません。このようなエンベディッドLOを備えるタイプのRFミキサーは、衛星や軍事などの産業で用いられます。2ポートミキサーのテストセットアップは単純になります。

図1:R&S®FPC1500によるテストセットアップ

R&S®FPC1500を使用すれば、重要な性能試験パラメータである変換損失、アイソレーション、反射(リターンロス)を測定できます。

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アプリケーション

変換損失

変換損失は、ミキサーがRFからIFに周波数を変換する際の効率の指標です。これは、入力RFパワーレベルと出力IFパワーレベルの間の差を測定します。

トラッキングジェネレーターを備えたスペクトラム・アナライザを使用すると、スカラー伝送測定が可能です。R&S®FPC1500のトラッキングジェネレーターは、周波数変換オプションを備えているため、ミキサーの測定に最適です。

図2は測定方法を示します。一方、図4の左側のスクリーンショットは、636.5 MHzの内部LOを備えたミキサーの測定結果を示します。

図2:測定の実行

トラッキングソース(RF)はLO周波数から掃引を開始し、アナライザはIFの下側波帯(青)を測定します。

図3:測定結果

636.5 MHzの内部LOを持つミキサーの測定結果

図4:R&S®FPC1500によるRFミキサー測定

アイソレーション

アイソレーションは、ミキサーのポート間の信号結合の指標です。RF-IFアイソレーションは、RFとIFの間の減衰値を表します。この値は、RF入力信号がIFとの間でどれだけ減衰されるかを示します。この測定は、アナライザをRF周波数に設定してIFポートを測定することで簡単に行うことができます。

反射

反射測定は、個々のポートのインピーダンス整合がどれだけ優れているかを示します。これまで、S11(RF入力端反射)のようなSパラメータ測定にはベクトル・ネットワーク・アナライザが必要でした。

R&S®FPC1500スペクトラム・アナライザは、VSWRブリッジを内蔵した独自のデザインにより、1ポートベクトル反射測定を実行できます。図4の中央のスクリーンショットは、ミキサーのS11(リターンロス)をdB単位で表します。図4の右側のスクリーンショットは、ミキサーの入力インピーダンスをスミスチャート形式で示します。