ロードプルを使用した増幅器の特性評価

ロードプルは、インピーダンスの変動を通してRFパワーアンプを特性評価する強力な方法です。ロードプルにより、モデルの抽出と検証、および性能、堅牢性、効率のテストが可能になります。

ベクトルレシーバー・ロードプルのアプリケーション
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課題

本質的には50 Ωのデバイスではないパワーアンプをデザインしています。しかし、対象の環境が一般的に50 Ωであるため、適切な整合回路が必要です。増幅器の性能は、負荷インピーダンスに大きく依存します。さまざまなソースインピーダンスや負荷インピーダンスを用いて増幅器を特性評価し、ゲイン、出力パワー(Pout)、電力付加効率(PAE)に向けて最適化します。これが、適切な整合回路のデザインに役立ちます。増幅器は一般的に、効率を最大にするために圧縮に近い状態で動作させます。典型的な小信号Sパラメータでは、被試験デバイス(DUT)の特性が十分に得られません。DUTの非線形特性を評価するために、50 Ωの整合なしでの大信号印加と負荷インピーダンスが必要です。ベクトル波形測定値(a1、b1、a2、b2)は、DUTの特性を表しており、増幅器のモデルの作成と検証が可能になります。

電力付加効率(PAE)の%と出力パワー(Pout)のdBmの等高線
電力付加効率(PAE)の%と出力パワー(Pout)のdBmの等高線
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電子計測ソリューション

ロードプルは、増幅器に作用しているインピーダンスの柔軟な変動を用います。測定中に変更される主なパラメータは、周波数でも、レベル電圧またはバイアス電圧でもなく、基本波周波数と高調波周波数でDUTの入力と出力に提示されるインピーダンスです。ロードプルでは、変動する負荷インピーダンスの関数としてDUTを特性評価することができます。

今日におけるロードプルの測定セットアップには、一般的にR&S®ZNAなどのベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)と、ソースインピーダンスと負荷インピーダンスのチューナーが含まれます。VNAのダイレクト・レシーバー・アクセスにより、外部低損失カップラーを介してDUTとの間を行き来するa波とb波のベクトルを測定することができます。VNAによってDUTの基準面での校正が可能になり、a波とb波の波形測定値測定の安定性と精度が向上します。

アプリケーション

増幅器の入出力における反射係数Γ、入力パワー、出力パワー、ゲイン、効率、電力付加効率など、必要なすべてのパラメータ値を、測定された波形測定値(振幅と位相)から導出することができます。このセットアップでは、DUTに提示されたそれぞれのインピーダンスを正確に測定し、制御するためにチューナーの値を見ることもできます。

このセットアップは、簡単に拡張してアクティブ/ハイブリッドロードプルシステムまたはアクティブロードプルとパッシブロードプルの組み合わせのシステムにすることができます。追加の位相コヒーレント信号を注入することによって、DUTの基準面におけるチューニングレンジを拡大できます。これにより、さまざまなインピーダンスにわたる非常にインピーダンスの低いデバイスの特性評価が可能になります。この手法は、高度なデバイス特性評価や、複雑なDUTモデルを抽出するために高調波のロードプルが必要な場合にも用いることができます。

サポートされる信号の種類には、多くの場合、CWやパルスCWが含まれます。パルスド信号は、デバイスの自己発熱によるテスト中の温度変動を回避するための生のダイでの測定およびオンウエハー測定に不可欠です。

ローデ・シュワルツは、業界をリードするパートナーであるFocus MicrowavesとMaury Microwaveと協力し、ターンキーロードプルシステムのソリューションを提供しています。

以下も参照してください。www.rohde-schwarz.com/product/zna

ベクトルレシーバー・ロードプルの測定セットアップ
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