エレクトロニック・デザイン・オートメーション(EDA)からハードウェア実装まで

EDAデザインシミュレーションとハードウェアテストをリンクすることで、簡単でわかりやすいプロセスフローおよびファーストパス設計を実現します。

R&S®VSESIM-VSS ソフトウェアプラグイン搭載のCadence® VSSソフトウェア。
R&S®VSESIM-VSS ソフトウェアプラグイン搭載のCadence® VSSソフトウェア。
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課題

5Gアプリケーションまたは広帯域衛星リンク向けの複雑な最新のRFフロントエンドやRFシステム全体を設計する場合、通常は最初にエレクトロニック・デザイン・オートメーション(EDA)ツールを使用してシミュレーションを実行します。当然のことながら、設計の反復回数を最小限に抑えることに努め、ファーストパス設計を目指します。

最新のテクノロジーは複雑化し、より広い帯域幅に対応しているため、シミュレーション段階から現実的なターゲットアプリケーションの信号を使用することが有益です。予想される信号を使用して実際のアプリケーションで高いデータスループットを実現するためには、エラーベクトル振幅(EVM)などの主要性能指標(KPI)を使用して、シミュレーション段階で得られるシステムレベルの性能を確認できれば理想的です。

これまでは、EDAツールで得られた結果と、実環境の信号や規格に準拠した波形(5GやWi-Fi用など)、または衛生リンク用のユーザー定義の広帯域デジタル変調方式を使用したハードウェアでの実際の測定値を結び付けることが課題でした。

ソリューション

ここで紹介するソリューションでは、シミュレートした環境と実環境を結び付けます。Cadence® AWR® Visual System Simulator™(VSS)通信およびレーダーシステム設計ソフトウェアなどのデザインツールは、RFシステムの計画および設計に使用します。定義したターゲットシステムの特性を実現するプロセスでは、Cadence VSSソフトウェアを使用することにより、機能ブロックやサブモジュール(パワーアンプ段、フィルター、アンテナ整合など)の必要な性能を詳しく調べることができます。

Cadence VSSソフトウェアと、R&S®WinIQSIM2 シミュレーションソフトウェアの信号発生機能およびR&S®VSE ベクトル信号解析ソフトウェアの解析機能を組み合わせて使用すれば、デザインシミュレーションとその後のハードウェアテストを直接結び付けることができます。Cadence VSSソフトウェアでは、5Gから最新のWi-FiおよびUWBまで関連するすべてのデジタルシステムにアクセスできるので、効率が大幅に向上します。さらに、シミュレーションと実際のハードウェア測定にまったく同じアルゴリズムが使用されるので、シミュレーション結果と実際の結果を直接比較することができます。

Cadence VSSソフトウェアと、R&S®WinIQSIM2およびR&S®VSEの組み合わせによる、ソフトウェア統合の流れ。
Cadence VSSソフトウェアと、R&S®WinIQSIM2およびR&S®VSEの組み合わせによる、ソフトウェア統合の流れ。
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アプリケーション

R&S®VSESIM-VSSでは、EDA環境にリンクできます。R&S®WinIQSIM2およびR&S®VSEのすべての必要な規格およびモジュールと、Cadence VSSソフトウェアを接続します。R&S®VSESIM-VSSには、このソフトウェア用のプラグインが組み込まれています。R&S®WinIQSIM2とR&S®VSEは、EDA環境では2つの機能ブロックで表され、データソースとデータシンクの役割を果たします。Cadence VSSソフトウェアでは、この機能ブロックは、ローデ・シュワルツのソフトウェアへのインタフェースの役割を果たします。

R&S®VSESIM-VSSでは、規格に準拠したユーザー定義の信号の発生と解析に加えて、デジタルプリディストーション(DPD)手法を用いることができます。このため、アクティブリニアリゼーションを用いて、パワーアンプなどの非線形デバイスの性能をシミュレーション段階から予測することができます。ローデ・シュワルツのシグナル・アナライザのR&S®FSx-K18 増幅器特性評価ツール(オプション)を、EDA環境で使用できるようになりました。ダイレクトDPDを使用して、高度な線形化を適用することによってRFアンプの性能をどのように改善できるかを予測することができます。

線形化された信号に基づいて、ユーザー定義のメモリ長と多項式次数の組み合わせで、R&S®VSEでメモリ多項式モデルを導出することができます。このモデルは、ターゲットシステム上へのその後のリアルタイム実装に使用することができます。

Cadence VSSソフトウェアは、さまざまな規模のシステムレベルのデザインに対応するように作られています。一部のハードウェア実装は、他の実装より早く利用できるようになる場合があります。システムレベルの性能テストでは、R&S®VSEブロックをCadence VSSソフトウェアでシンクとして使用して、信号チェーン内の任意の場所の信号を捕捉します。抽出された波形をR&S®SMW200Aなどのベクトル信号発生器に転送することにより、実際のRF信号をすでに利用可能なハードウェア実装で使用することができます。

Cadence環境への接続

Cadence環境に接続すれば、ローデ・シュワルツのツールを、Cadence Microwave Office®回路設計ソフトウェアやCadence Virtuoso® RFIC/RFモジュール設計ソリューションなどの他の接続されているCadence製品と組み合わせて使用することもできるので、複数のCadenceツールで規格に準拠した信号を使用することができます。

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