基板レベルでのEMIデバッグ

R&S®SpectrumRider FPHとR&S®HZ-15 近磁界プローブで、ボードとモジュールの近傍界信号を解析し、電磁波障害(EMI)を削減。

R&S®Spectrum Rider FPHとR&S®HZ-15 近磁界プローブは、磁界と電界の場所の特定に最適なソリューションです。
R&S®Spectrum Rider FPHとR&S®HZ-15 近磁界プローブは、磁界と電界の場所の特定に最適なソリューションです。
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課題

シールドが不十分なためにEMI放射やクロストークが発生し、電子RFデバイスの信号品質と性能を低下させる場合があります。このようなことを含め、電子機器のEMI全体を最小限に抑えるために、集積回路のボードとモジュール上で放射源となっている場所を、十分に把握しておかなければいけません。RFデザイナーは、電磁波妨害が該当のEMC規格に準拠しているかどうかを確認するため、モジュールレベルで近傍界測定を行い、早い段階での修正作業が行えるように備える必要があります。

電子計測ソリューション

R&S®SpectrumRider FPHハンドヘルド・スペクトラム・アナライザとR&S®HZ-15 近磁界プローブは、ボードとモジュールのEMI問題の場所を設計時に短時間で特定して解析できる、コストパフォーマンスの高い使いやすいソリューションです。このアナライザは極めて高感度(3 GHz以下で、DANLの代表値が-163 dBm未満)なので、微量のエミッションも測定することができます。

簡単なセットアップ

EMIデバッグセッションは、以下のように簡単な手順で行うことができます。

  • 適切な近傍界プローブをアナライザのRF入力に接続
  • 被試験ボードまたはモジュールの上にプローブを移動

デザイナーは、過去の電磁界強度の測定値から、被試験ボードまたはモジュールの重要な周波数を把握しているので、それに基づいて、R&S®SpectrumRiderに周波数とスパンを設定します。

環境ノイズを抑えるトレース演算機能

シールドチャンバーを使用しない環境では、環境のノイズと干渉が測定に影響し、測定結果に誤りが生じる場合があります。R&S®SpectrumRiderトレース演算機能を使用すると、環境ノイズを抑える(実際のトレースからノイズを取り除く)ことができます。

トレース演算機能は、以下のような手順で行うことができます。

  • テスト要件に従って、周波数、帯域幅、レベルを設定
  • 被試験デバイス(DUT)がオフであることを確認
  • 環境から放射を含む掃引を1回行い、結果をR&S®SpectrumRiderのトレースメモリに記録
  • DUTをオン
  • DUTと環境から放射を含む掃引をもう1回行う
  • トレース演算を起動して環境への影響を取り除く

トレース演算機能は、最後に測定したスペクトラムトレースからメモリの内容(環境電磁波障害)を取り除きます。

R&S®SpectrumRiderのトレース演算機能の使用例

DUTオフ時。干渉源37.538 MHzの環境EMIスペクトラムが測定され、トレースメモリに記録されています。

DUTオン時。R&S®Spectrum RiderがDUTと環境のEMIスペクトラムを測定します。

干渉源が取り除かれたDUTのEMIスペクトラム。前回の測定で記録された環境EMIがトレース演算機能によって取り除かれ、DUTのEMIの結果がR&S®Spectrum Riderに表示されています。

ディスプレイ上での合否判定指標として、リミットラインを使用することができます。リミットラインによって、EMIデザインを最適化した後の改善状況を簡単にモニターすることができます。

磁界/電界測定用R&S®HZ-15 近磁界プローブ

R&S®HZ-15は、5種のパッシブプローブからなるセットです。ボードとモジュールの高周波の磁界/電界を測定でき、EMIデバッグに最適です。磁界プローブのチップには、特殊な電気的シールドが施されています。各種の近傍界測定作業向けにさまざまな形状のプローブチップが用意されています。

  • 磁界プローブ(最大3 GHz、プローブ1、2、5)
  • 電界プローブ(プローブ3、4)

小さい電極を持つプローブ3では、幅わずか0.2 mmの導体トラックも1本単位で選択することができます。プローブ4は、バス構造、大型コンポーネント、電源構造の表面から放出される電界を検出します。

近傍界プローブとスペクトラム・アナライザとの間にR&S®HZ-16プリアンプを挿入すると、感度が高まり、3 GHzまでの微弱な高周波電磁界を測定することができます。

R&S®Spectrum Riderのトレース演算機能と近傍界プローブの併用は、開発者がベンチでDUTのEMI性能を事前に調査するのに最適です。ただし、ラボは必然的にノイズが大きくなり、電気環境が絶えず変化しているので、正確かつ再現性のあるデバイスのEMI性能を求めるには、シールドチャンバーが必要になります。

各種の近傍界測定作業向けに用意されたパッシブプローブ
各種の近傍界測定作業向けに用意されたパッシブプローブ:幅わずか0.2 mmの導体トラックも1本単位で選択できるプローブ3など、パッシブプローブはさまざまな近傍界測定作業に対応できるように設計されています。