フェーズドアレイ・アンテナのビームフォーミングICの検証

集積化ビームフォーミングICによって、アンテナフィード電子製品のサイズが縮小しています。マルチポート・ネットワーク・アナライザにより、必要なテストセットアップを1台の測定器に集約できます。

課題

フェーズドアレイ・アンテナに使用されているビームフォーミングは、航空宇宙/防衛業界のレーダーおよび電子戦向けの一般的なテクノロジーです。衛星通信および5G NRでは、フェーズド・アレイ・ビームフォーミングは、既定のコンセプトになっています。

キャリア周波数の上昇に伴ってアンテナ素子のサイズが縮小しているため、フィード回路用の余地が減少してサイズを削減しなければならないプレッシャーがかかっています。ビーム幅を狭めるために、フェーズドアレイ・アンテナのアンテナ素子数は増加しています。素子フィード当たりのコストおよびサイズに、ますます注意が払われるようになっています。

集積化RFビームフォーミングICには、経路ごとのフェーズとゲインの調整機能と、TX/RX用の増幅機能が組み込まれています。

そのようなビームフォーミングICは、1つの入力信号を受ける4つ以上のアンテナ素子をサポートします。完全な特性評価と校正には、すべてのポートを同時に評価する必要があります。

ローデ・シュワルツのソリューション

真のマルチポート・ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)は、このような要件を満たすのに最適なツールです。ビームフォーミングICのすべてのRFポートをパラレル接続することで、ビームフォーミングICの個別チャネルと相対的な動作を高速かつダイレクトに評価できます。最大24ポートの同時測定によって、非常に詳細にビームフォーミングICを特性評価でき、すべてのアンテナ接続をモニタリングしながら相互相関の影響を確認できます。

R&S®ZNBT マルチポートVNAによる、ビームフォーミングIC全ポートの一覧表示
R&S®ZNBT マルチポートVNAによる、ビームフォーミングIC全ポートの一覧表示
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ビームフォーミングアプリケーションでは、各経路の位相を厳密に制御できます。DUTに高分解能の移相器を統合して、数度まで分解能を上げて正確なビームステアリングを実現できます。経路ごとのレベル調整により、作成されたビームのサイドローブを抑制できます。高性能VNAにより、極めて正確な絶対/相対位相とレベル測定が可能になります。ビームフォーミングICのアンテナに対するインピーダンス整合の確認は、VNAの標準機能です。

通常、TX/RX経路は別々にテストされます。両方に、ビームステアリングのフェーズとゲインのレベル調整が含まれます。RX経路にはローノイズアンプ(LNA)が含まれ、TX経路の出力RFパワー増幅器は、追加外部パワーアンプの最終ステージまたはドライバーとして機能する場合があります。2トーンを使用して線形範囲、圧縮ポイント、相互変調を定義する初期テストは、共通のテストプラットフォームを使用して実行するのが理想的です。

VNAにより、ビームフォーミングIC内部の各機能ブロック ‐ スイッチから増幅器まで ‐ を特性評価できます。フェーズとレベルのリニアリティーと安定度は、安定した信頼性の高いビームフォーミングを確立するために重要です。例えば温度変動のようなものを補正するには、条件を変化させながらDUTを評価して、最終アプリケーションでルックアップテーブルとして使用される校正データを作成します。

5G NRや衛星通信のような広帯域変調信号用の特殊なニーズ

適切なユーザー体感を確保するには、シグナルインテグリティーが規格に準拠した要件に適合していなければなりません。集積アンプは、低ビット・エラー・レートのデータ伝送に対応するためにEVMおよびACLRの要件に従う必要があります。

ローデ・シュワルツは、集積アンプを評価するために、ミリ波バンド(5Gバンドを含む)をカバーする高度な広帯域テストソリューションを提供しています。

ZNBT マルチポート・ベクトル・ネットワーク・アナライザによるビームフォーミングICのテスト
R&S®ZNBT マルチポート・ベクトル・ネットワーク・アナライザによるビームフォーミングICのテスト