安全性が重要視されるセルラーV2Xアプリケーションのラボ環境におけるシナリオベースのテスト

セルラーV2X(C-V2X)接続の検証用に詳細なトラフィック状況を設定してシミュレートできます。

課題

ここ数年、自動車メーカーと政府機関は、交通安全対策の強化、車両通行の管理の効率化、および将来的には快適性の向上を実現する方法を模索してきました。車両をあらゆるものに接続する新世代の情報通信テクノロジーとして登場したのが、V2X(Vehicle-to-Everything)です。V2Xは、今後のドライバー支援システムに新たな局面を加えることを目指して、低遅延のV2V(Vehicle-to-Vehicle、車車間)、V2I(Vehicle-to-Roadside Infrastructure、路車間)、およびV2P(Vehicle-to-Pedestrian、車歩行者間)通信を提供するように考案されています。セルラーV2X(C-V2X)は、リリース14で3GPPによって策定された1通信規格であり、通信の物理インタフェースとしてLTEテクノロジーを使用します。この規格では、2つのモードを記述しています。Uuインタフェース経由で通信を行うV2N(Vehicle-to-Network、車ネットワーク間)モードの場合、従来のセルラーリンクを使用して、クラウドサービスをエンドツーエンドのソリューションに統合できます。例えば、特定の地域の道路および交通情報を車両に配信することが可能になります。

2番目のモードはダイレクトモードまたはサイドリンクモード(V2V、V2I、V2P)と呼ばれ、PC5インタフェースを経由して通信が行われます。このモードでは、C-V2Xは必ずしもネットワークインフラを必要としません。SIMやネットワークの支援なしで動作でき、GNSSを時間同期の主要なソースとして使用します。

LTE 3GPPリリース14をベースとしたC-V2Xダイレクト通信の最初の民生用配備は、2020/21年までに中国で実施される予定です。この最初の試用では、包括的なテストが必要になります。システムの機能と性能を実環境でのフィールドテストだけで検証することは、時間的にもコスト的にも負担が大きく、非常に困難な場合があります。機能に関する要件は常に変化しており、その結果、必要な支援機能も常に変化しています。開発および導入段階では、規格への準拠を検証するためのテストソリューションが必要です。PC5ダイレクト通信モードは、時間的制約のある安全関連情報の、信頼性の高いやり取りを可能にします。モバイル通信テスタとC-V2Xシナリオのシミュレーションツールを併用すると、再現可能なテストシナリオが実現します。これは、信頼できる比較可能な結果が得られるようにC-V2Xの検証プロセスを標準化する上で不可欠です。また、異なるメーカーの2つのC-V2Xデバイス間のエンドツーエンド機能が適切に機能することを実証する際にも役立ちます。

AVT ACES award winner 2020

ローデ・シュワルツのソリューション

ローデ・シュワルツは車載用テストツールのプロバイダーであるVectorと連携し、安全性が重要視されるC-V2Xアプリケーションをラボ環境でテスト/検証するための、新しいテストアーキテクチャーを開発しました。ローデ・シュワルツのテストセットアップは、R&S®CMW500 ワイドバンド無線機テスタとR&S®SMBV100B GNSSシミュレータを、包括的なVector CANoe .Car2xシミュレーションツールと結合した構成となっています。R&S®CMW500は、C-V2Xソフトウェアパッケージを使用して物理層とMAC層をシミュレートし、PC5無線機インタフェースを経由してデータを送受信します。

GNSS信号発生器として機能するR&S®SMBV100Bからは、C-V2Xモードでの圏外通信用の正確な同期情報と、被試験デバイス(DUT)に対する非常に正確な位置情報が得られます。

この情報は、例えば、V2Xの基本安全メッセージ(BSM)に不可欠です。Vectorツール用のR&S®CMW-KAA550 C-V2Xアプリケーションアダプターによって、測定器をV2Xアプリケーションテスト用のCANoe .Car2xソフトウェア環境にリンクします。Vectorツールには、トラフィックシナリオの構成と実行に必要な、包括的な機能が備わっており、電子制御ユニット(ECU)の機能を徹底的にテストできます。ユーザーは、対象アプリケーションのセキュリティーおよび証明書管理を含めたC-V2X接続を検証する際、詳細なトラフィック状況を設定してシミュレーションを行うことができます。

扱いやすいグラフィカルなシナリオエディターが装備されているため、トラフィックシナリオの作成が容易です。CANoe .Car2xでシナリオが開始されると、ソフトウェアツールが、仕様に従ってターゲット市場(北米、ヨーロッパ、中国)向けの関連ITSスタックバリアントを使用し、構成されたテストシナリオに基づいて対応するITS通信メッセージを作成します。シナリオのメッセージとルート情報は、Vector用のR&S®CMW-KAA550 C-V2Xアプリケーションアダプターを介してR&S®CMW500とR&S®SMBV100Bに転送され、DUTに対する無線アクセスレイヤーを提供します。これにより、特定の状況に合わせてC‑V2X制御ユニットに信号を印加し、以下のような実装機能をテストできます。

  • 緊急電子ブレーキランプ
  • 左折アシスト(LTA)
  • 交差点移動アシスト(IMA)
  • 輻輳制御 – シミュレーション対象の自動車が複数台ある状況での信号印加
安全性が重要視されるセルラーV2Xアプリケーションのラボ環境におけるシナリオベースのテスト
テストシナリオの例 - 被試験デバイスをシミュレーション対象の自動車が複数台あるシナリオで検証し、デバイスが電子ブレーキの緊急ランプメッセージを受け取るようにします。または輻輳シナリオでテストします。
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アプリケーション

ここで紹介したテストソリューションを使用すると、安全性が重要視されるC-V2Xアプリケーションをラボ環境でテストすることができ、信頼性の高い、再現可能な結果が得られます。Vector CANoe .Car2xソフトウェアツールとローデ・シュワルツの測定器を組み合わせることにより、複雑で再現性の高いC-V2Xシナリオを作成し、設定された状況に従ってC‑V2X制御ユニットに信号を印加し、対象を定めた実装機能テストを実施できます。このテストソリューションは、将来を見据えた投資です。オプションの拡張により、R&S®CMX500 無線機テスタを使って5G New Radio(5G NR)を含む今後のC-V2Xリリースに対応できるようにすることで、C-V2Xの最新の開発に遅れをとらずについていくことができます。

セルラーV2X向けのエンドツーエンドのアプリケーションレイヤー・テスト・ソリューション
R&S®CMW500 ワイドバンド無線機テスタとR&S®SMBV100B GNSSシミュレータをベースとし、V2Xベースの通信アプリケーションのシミュレーション、開発、テスト用のVector CANoe .Car2xソフトウェアツールを組み合わせた、セルラーV2X向けのエンドツーエンドのアプリケーション・レイヤー・テスト・ソリューション。

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