1つのパワーセンサであらゆる車載用レーダーのニーズに対応

最近のレーダーテクノロジーの発達により、業界グレードのレーダー機器を商用価格で製造できるようになりました。自動車メーカーは、先進運転支援システム（ADAS）や自動運転（AD）などの機能を活用することで全体的な交通安全性の強化を図るとともに、最も直感的で先進の運転支援機能の実現に取り組んでいます。このようなアプリケーション向けに、自動車業界は長距離／短距離Eバンドレーダーを採用しています。これらのデバイスは車両を外部から保護するだけでなく、車室内レーダーにより運転手の健康を監視するなどして別の方向から同乗者の安全性を強化することにも役立ちます。

課題

高度な車載用レーダーセンサとレーダーベースのADAS/AD機能の発達は、開発／検証プロセスのティア2チップテストからティア1サプライヤーセンサの製造および自動車メーカーの最終検査テストに至るまでの各段階に大きな課題をもたらします。柔軟性と拡張性に優れたコストパフォーマンスの高いテストコンセプトおよび環境が必要になります。パワーセンサはこのような要件を満たすことができるので、開発中、またはコンフォーマンステスト中のチップセットやアンテナの検証といった、車載用レーダーの幅広い作業に最適です。これは、ブラインドスポット検出用の24 GHz ISM帯域センサ、60 GHzインキャビンレーダー、またはADAS/AD機能に使用される76 GHzから81 GHzで動作する機器などのすべてのレーダーシステムに当てはまります。後者のレーダーは、高速Eバンドのパワーセンサがないために、従来は対応が困難であることが実証されていました。

車載用レーダーセンサは安全性に関わるため、標準機関にとってますます重要なものになっており、特に、干渉に対する耐性とエミッション制限への準拠に関して重視されています。ETSI EN 303396やETSI EN 303091-1/-2などの無線機器指令（RED）および関連規格は、欧州のEバンド車載用レーダーセンサ向けに法的拘束力のある規格を確立しました。可能な限り高い確度をパワーレベル測定で実現することは、特にエミッション制限に対して非常に重要です。これは、最高のレーダー性能を追求するチップセットメーカーの焦点です。

すなわち、車載用レーダーセンサのためのアナログハードウェア開発でも、量産のための検証エンジニアリングでも、高速かつ正確で信頼性の高いパワー測定が最も重要になります。

ローデ・シュワルツのソリューション

さまざまなテクノロジータイプ、周波数バンド、開発段階に、デジタル接続などのRF以外の要件が組み合わさると、パワーセンサに対する要求が極めて厳しくなります。車載用レーダーは、将来の変化にも対応できるEバンドに向かうテクノロジーシフトを遂げようとしており、そのためには最大90 GHzに届くパワーセンサが求められます。R&S®NRP90Sは、このような作業に最適です。Eバンドの周波数範囲全体にわたるRFパワーで直接、正確かつ再現性の高い測定を初めて実現できるようになりました。

R&S®NRP90SおよびR&S®NRP90SNは、すべての条件を満たす、ユニークで新しいクラス最高のパワーセンサです。周波数範囲が50 MHzから90 GHzまでのEバンドまで、すべてのレーダータイプに使用可能で、周波数範囲全体にわたり90 dBの広いダイナミックレンジと－70 dBmの感度はそのまま維持されます。

R&S®NRPセンサシリーズは、3パスダイオードテクノロジーにより、最大50,000回／秒という非常に高速な速度を実現しています。そのため、テスト速度を加速して、テスト時間とコストを削減することができます。優れた確度と再現性により、信頼性の高いセンサ測定が可能です。さらに、高いレベルの確度を実現しているので、最初の1回で正しい測定値を取得します。

R&S®NRP90SやR&S®NRP90SNセンサと短時間で容易に接続できるように、1.35 mmおよび1.00 mm同軸コネクタ、導波管アダプターなどの幅広いRF接続オプションが用意されています。リモート制御用のデジタルインタフェースとしては、PCで使用するためのUSBモデルとUSB/LANモデル、ラックベースのテストセットアップに適するパワーセンサ・ベースユニット、製造クラウドで使用するためのLANインタフェースがあります。

レーダー伝導RFパワー測定