1 GHzリファレンスの共有による位相コヒーレント信号の入手

時間軸上での位相安定度は、位相コヒーレント信号において重要な特性です。共通の1 GHzリファレンス信号を使用することで、複数のR&S®SGT100A SGMAベクトル信号発生器のRF出力の間で高い位相安定度を維持することができます。

課題

位相コヒーレント信号は、さまざまな分野における多くのアプリケーションで、デバイステストのために必要です。複数のテスト信号を発生するには、何台かの信号源を同期させて使用する必要があります。このような位相コヒーレント・システムで重要な特性は、位相安定度です。局部発振器(LO)信号を共有することは、マイクロ波周波数レンジまでの複数の信号源の間で高い位相安定度を実現するための優れた方法です。ただし、ほとんどの信号源にはLOインタフェースが標準装備されていないため、追加のハードウェアやソフトウェアのための費用が必要になります。一方で、信号発生器には、通常、同期のための10 MHzリファレンス入力/出力が標準装備されています。

この10 MHzリファレンス発振器信号を、複数の信号発生器の間で共有することもできます。ただし、実現可能な位相安定度では、位相コヒーレント・アプリケーションに対しては不十分な場合がほとんどです。

1 GHzリファレンスのカップリングと10 MHzのリファレンスのカップリングの比較
1 GHzリファレンスのカップリングと10 MHzリファレンスのカップリングの比較:1 GHzリファレンスのカップリングの位相安定度(青色)は、6 GHzのRF出力と一定温度では90分間にわたって、10 MHzカップリング(オレンジ色)よりも大幅に優れています。
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電子計測ソリューション

コンパクトなR&S®SGT100A SGMAベクトル信号発生器は、10 MHzリファレンスだけでなく、1 GHzリファレンスも標準装備しています。1 GHzリファレンス信号を使用すると、10 MHzリファレンス信号に比べて、2台の信号源の間で実現可能な位相安定度が大幅に向上します。同期が100倍向上するため、信号源の間の相対位相変動を減らすことができるのです。

1 GHzリファレンスとLOカップリングの比較
1 GHzリファレンスとLOカップリングの比較:1 GHzリファレンスのカップリングの位相安定度(青色)は、6 GHzのRF出力と一定温度では90分間にわたって、LOカップリング(緑色)に近くなります。
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1 GHzリファレンスを使用した場合に得られる結果は、特に短時間の測定の場合、LOカップリングで実現できる高い位相安定度にかなり近くなります。

1 GHzリファレンスは標準装備されているので、位相コヒーレント信号が必要な一部のアプリケーションに対して、コスト効率の高い代替手段となります。特に低いRF周波数の場合は、RF出力の周波数が低い場合に位相安定度性能が改善されるので適しています。例えば、500 MHzで得られる位相安定度は非常に優れています。

リファレンスカップリングは、異なるRF出力周波数での位相コヒーレント・システムの場合にも必要です。LOカップリングシステムでは、同一のRF周波数しかサポートされないからです。1 GHzリファレンス(R&S®SGT100A)を使用すれば、異なるRF周波数での位相コヒーレンスが必要なアプリケーションでも、優れた位相安定度を実現できます。

R&S®SGT100Aは、最高6 GHzの位相コヒーレント・システムのためのコンパクトでコスト効率の高いソリューションとなります。

カップリング 入力/出力 注記
10 MHzリファレンス 入力/出力 標準
13 MHzリファレンス
入力 標準
100 MHzリファレンス 入力 標準
1 GHzリファレンス 入力/出力 標準
LO 入力/出力 オプション
500 MHzのRF出力と一定温度での相対位相の時間変化
500 MHzのRF出力と一定温度での相対位相の時間変化

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