電源ソフトスタート解析
最新のスイッチングモード電源では、デジタルコントローラーの使用増加により、ソフトスタート検証が主要な課題となりつつあります。R&S®RTM3000およびR&S®RTA4000 オシロスコープは、パルス幅変調(PMW)トラッキング解析機能を備えています。この機能は、開発段階での検証や最適化に欠かせない重要な機能です。
最新のスイッチングモード電源では、デジタルコントローラーの使用増加により、ソフトスタート検証が主要な課題となりつつあります。R&S®RTM3000およびR&S®RTA4000 オシロスコープは、パルス幅変調(PMW)トラッキング解析機能を備えています。この機能は、開発段階での検証や最適化に欠かせない重要な機能です。
最新のスイッチングモード電源には、電源が定常状態に入ったときに、動力伝動部にかかる応力を制限し、オーバーシュートを防ぐ、ソフトスタート機能があります。バッテリーアプリケーションとそれに続くスイッチングモード電源(SMPS)コンバーターでは、ソフトスタートによって入力電流が制限されないと、バッテリーの寿命が短くなる可能性があります。ソフトスタート機能は通常、コントローラーICに内蔵され、いくつかの外部コンポーネントによって設定できます。今日のより革新的な電源の設計はデジタル制御回路をベースとしているため、ユーザーはソフトスタート機能を開発する必要があります。そのため、デザイナーにとっては、ソフトスタートの検証が重要な要素となります。
PWMトラッキング用の測定セットアップ
R&S®RTM3000およびR&S®RTA4000 オシロスコープには、電源起動中のデューティーサイクル情報をトラッキングするために、PWMトラッキング解析機能が搭載されています。そのため、サイクルごとにスイッチデバイスの制御信号に関する詳細な情報が得られます。このトラッキング機能があれば、ソフトスタートアルゴリズムを実装および検証するために、パワーステージを接続する必要はありません。このため、ソフトウェア部分を、特にパワーステージの設計とは別に、非常に簡単に開発およびテストできます。PWM信号をトラッキングすることにより、実装したソフトスタートアルゴリズムに自信を持ってパワーステージの接続に進むことができます。場合によっては、この方法によってパワーステージのコンポーネントの過剰なストレスを回避できます。
電源のスイッチング素子に電圧プローブを使用するだけで、ソフトスタート測定をセットアップできます。シンプルなデザインの降圧コンバーターでは、スイッチング素子のゲートが最適です。
デバイス設定
プローブを被試験回路に接続したら、以下の手順で測定を開始できます。
測定結果
チャネル1には、接続されているPWM制御信号が表示されます。MATHチャネルには、制御信号のデューティーサイクルが表示されます。チャネル2にはコンバーターの出力電圧が表示されますが、出力電圧を演算信号と比較するためにだけ測定されます。
注目すべきことは、出力電圧曲線の立ち上がり時間がトラッキンググラフのタイミングに非常に近いことです。
ただし、このトラッキング測定の大きな利点は、各スイッチのオン/オフサイクルのトラッキング曲線に、デューティーサイクルが現れることです。コントローラーのソフトスタートアルゴリズムによって、デューティー・サイクル・グラフの立ち上がり時間が制限されます。出力電流はデューティー・サイクル・グラフに追従します。ただし、出力電圧の直接測定とは異なり、ユーザーは、誤って生成された1つのデューティーサイクルを簡単にモニターすることができます。出力電圧グラフでは、出力フィルターによって短いイベントが抑制される可能性があるため、スロープで発生するスパイクをモニターすることは難しい場合があります。
R&S®RTM3000およびR&S®RTA4000 オシロスコープのトラッキング機能を使用すれば、起動プロセスの電源コンバーターのソフトスタートを検証できます。各サイクルのPWM信号の詳細情報が得られるので、スパイクなどの異常を簡単に見つけることができます。ソフトスタート機能はデジタル設計をベースとしているため、トラッキング機能はパワーステージの開発前のデザインプロセスに有効です。成熟したアルゴリズムはまた、パワーステージの構成要素が損傷を受けるのを防ぎます。
トラッキング機能は、さまざまなパワー・エレクトロニクス・アプリケーションの時間変化するPWM変調信号を表示するのに最適な機能です。