GBAS信号の信頼性の高い検証

R&S®EVSG1000およびR&S®EVSF1000は、信号レベル・アナライザおよびモジュレーション・アナライザであり、オプションのR&S®EVSG-K4と組み合わせて用いることで地上検査および飛行検査においてGBASシステムを高い信頼性で解析します。

GBAS信号の信頼性の高い検証

課題

地上型補強システム(GBAS)は、差分GNSS補正データをリアルタイムで提供することにより、航空機の高精度の進入と着陸を支援します。GBAS地上局(コントロールセンター)は、空港周辺に配置された2~4台のGNSSリファレンスレシーバーからのデータを使用して、補正メッセージを作成します。補正データは、VHFデータ放送(VDB、108.025 MHz~117.95 MHz)を通じて、進入中の航空機のレシーバーに送信され、受信GNSS信号の補正に使用されます。D8PSK変調されたVDBデータは、8タイムスロットずつのバーストで送信されます。各スロットは、1つ以上のメッセージタイプ(MT)に属するアプリケーションデータを伝送します。

GBASコンポーネントと信号(簡略化した図)
GBASコンポーネントと信号(簡略化した図)
ライトボックスを開く

GBASは、最も厳格な安全要件を満たす必要があります。正確な動作と全世界での互換性を保証するために、国際民間航空機関(ICAO)によって重要なGBASパラメータが標準化されています。サービスプロバイダーや航空検査機関は、GBASナビゲーションシステムを定期的に監視、検査、校正、認証することにより、仕様への適合性を保証しています。これは、公共の安全にとって重要なプロセスです。このような作業には、堅牢で信頼性の高いテスト機器が必要です。これらの機器は、ラボとフィールドでの校正から設置、保守までのすべての関連要件を満たす必要があります。

VDBのデータタイミング構造
VDBのデータタイミング構造

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®EVSG1000およびR&S®EVSF1000は、ILS、GBAS、VOR、マーカービーコン地上局の試運転およびサービスでの使用を想定し、航空管制通信(ATC COM)の信号解析に特化して設計されています。R&S®EVSG1000は、バッテリー駆動型のポータブルデバイスです。地上検査および測定車両内の設置向けに設計されています。R&S®EVSF1000は、卓越した機械的・電気的設計、および高感度性能により、最先端の飛行検査に最適です。

R&S®EVSG-K4 オプションは、両方のデバイスにGBASテスト機能を追加して、GBAS地上局による差分補正メッセージの送信に使用されるVHFデータリンク(VDL)の検証と解析を高い信頼性で行えます。GBASメッセージバーストのフレームの同期は、外部GNSS装置のPPS出力をR&S®EVSG1000/R&S®EVSF1000のPPS/トリガ入力に接続するだけで簡単に実現できます。アナライザは、8個のGBASタイムスロットを捕捉して、その内容をデコードします。

GBASフレームのタイムドメインでの解析
GBASフレームのタイムドメインでの解析

それぞれのタイムスロット(A~H)について、これらの測定器がGBASの重要なパラメータをすべて解析します。分割ビューで利用可能な機能:

  • GBASメッセージを時間順に視覚化
  • GBASフレーム全体の解析(タイムドメインのオーバービューおよび各タイムスロットの測定結果)
  • タイムドメインでの詳細なシングルバーストの測定
  • コンスタレーションダイアグラムを用いた信号の解析
  • データコンテンツのメッセージビュー内での閲覧
バーストビュー
バーストビュー
ライトボックスを開く

R&S®EVS-K9オプションは、GBAS信号のタイムスロットのデコード結果をさまざまなビューに表示します。GBASメインビューには、VDBメッセージの8個のタイムスロットの概要が示され、各スロットのレベル/周波数オフセットなどの最も重要なパラメータの一覧が表示されます。これにより、オペレーターや技術者は、GBASの機能を一目で検証できます。

コンスタレーションダイアグラムによる解析
コンスタレーションダイアグラムによる解析
ライトボックスを開く

解析の次のステップを安定な条件にするために、メッセージのシーケンスは休止可能で、シングルフレームまたはシングルバーストが選択できます。解析をオフラインで行うことで、バックグランドで進行中のデータ記録やストリーミングを中断せずにすみます。将来のメッセージタイプの仕様変更に向けて、すべてのMTはXML記述ファイルで定義されています。そのデリバリー範囲には、MT1(衛星情報補正および疑似距離補正からなるGPS補正データを含む)、MT2、MT4(ファイナル・アプローチ・セグメント・データ・ブロック(FASDB)を含む)、およびMT11のための標準XMLファイルが含まれています。必要であれば、ユーザーは既存のMTファイルを変更するか、新しいMTデスクリプションファイルを作成することができます。すべての測定値とデータコンテンツのストリーム、記録、保存、エクスポートが、測定器のデータレコーダーを使用し、USBフラッシュドライブを使って行えます。

メッセージタイプ1(MT1)のデータコンテンツ
メッセージタイプ1(MT1)のデータコンテンツ
ライトボックスを開く

R&S®EVSG-K5オプションは、RTCA DO-217規格に基づいて、SCAT-1信号に対して同様の機能を提供します。

まとめ

R&S®EVSG1000にはGBAS機能が搭載されており、GBASシステムの解析には理想的な選択肢です。R&S®EVSF1000を用いると、飛行検査またはドローン検査において同じ測定を行うことができます。どちらの測定器もNavAidシステムや類似の規格をすべてサポートしており、ATC組織、飛行検査士やサービス技術者にとって最適なツールです。