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HSPA+デザインの最適化

R&S®CMW500によるDLスループット検証とUL伝送テストの同時実行

CMW500 無線通信テスタはHSPA+端末開発のすべての段階をサポート
R&S®CMW500 無線通信テスタは、ファンクションテストからアプリケーションテストまで、HSPA+端末開発のすべての段階をサポートしています。
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課題

3GPPリリース7では、ダウンリンクの64QAM変調と、プロトコル(レイヤー2)の機能拡張により、21 Mbpsを超えるデータレートを規定しています。この2つの機能をモバイル端末に実装するために、デザインに課される要件はさらに厳しくなります。3GPP仕様に従ってプロトコルスタックを動作させながら、最大限のスループットを達成することが求められます。プロトコルテスト環境では、メッセージの作成と解析のためのテストシナリオを作成し、テストスイートを自動実行することにより、例えば連続テストを実現できます。

モバイル端末デザインのデータスループットは、エンドツーエンド(E2E)の環境で測定されます。これにより、特定のサービス(ビデオファイルのストリーミングなど)を実行することで、IPレイヤーで達成可能な最大データレートを判定できます。さらに、モバイル端末をデザインする際には、RFアップリンクの出力パワー、EVM、占有帯域幅といった基本的な特性が、3GPP仕様のリミット内にあるかどうかを検証することも必要です(ただし、64QAMとレイヤー2の機能拡張は、被試験デバイス(DUT)のUL伝送には直接影響を与えません)。

HSPA+デザインの機能を最大限に高めるには、プロトコルテスト環境でのHSPA+データコール、E2Eスループットテスト、RFアップリンク測定を含む包括的なテストが必要です。さらに、そのすべての測定を、1台のテストデバイスで行うことができれば理想的です。

電子計測ソリューション

R&S®CMW500 無線通信テスタは、独自の多目的テスタです。これを使用すれば、UEプロトコルスタックのデザインの際に、3GPP仕様に準拠したエアインタフェースのリファレンス実装が得られます。プログラミングインタフェースの包括的な機能と、解析ツールでのきわめて詳細な表現により、DUTプロトコルスタックの欠陥を短時間で検出できます。

64QAM変調とレイヤー2機能拡張の組み合わせをテストするためのサンプルシナリオが用意されています。R&S®CMW500は、DUTとの間に適切な64QAMラジオベアラーを確立した後で、内部任意データを発生します。テストケースの実行中には、RLCスループットモニターを起動するだけでスループットを評価できます。R&S®CMW500のロギング機能とメッセージ・アナライザを使用すれば、メッセージフローを詳細に調べることができます。これにより、例えば、不正確な動作による性能低下や、プロトコルエラーを検出できます。

デザインのE2E機能を調べるには、サンプルシナリオセットの中の別のテストシナリオが利用できます。このシナリオでも、64QAMラジオベアラーがセットアップされますが、内部データの供給はありません。IPデータは、適当なアプリケーションで作成する必要があります。例えば、IPアドレスを適切に設定したメディアプレーヤーを使用します。スループット性能を測定するには、RLCレイヤーでRLCスループットモニターを使用するか、IPレイヤーで適当なビットメータアプリケーションを使用します。

R&S®CMW500は強力なハードウェアを備え、高度にモジュール化されたソフトウェア方式を採用しています。同じハードウェアで2種類の異なるソフトウェアオプションを使用できるので、プロトコル環境で開始したメディアレベルAPI(MLAPI)テストシナリオと並列に、RF測定を実行できます。

RF測定は、マルチ評価モードで実行されます。概要画面には、UEパワー、エラーベクトル振幅(EVM)、実効値(RMS)パワー、搬送波周波数誤差、占有帯域幅(OBW)などの基本的な測定の測定結果とスカラー値がすべて表示されます。使用する測定データは1セットだけなので、個々の結果はそれぞれ他の結果と関連しており、トラブルシューティングやデバッグが容易になります。マルチ評価モードの概要表示は、個々のテストニーズに合わせて調整できます。すべての結果を参照して概要を把握したら、例えば特定の2つの測定に集中して詳細な解析を行うこともできます。

R&S®CMW500は、総合的なHSPA+テストに最適な選択肢であり、デザインから製造までのすべての段階で比較可能な詳細な結果を入手して、すべてのテストニーズを満たすことができます。今後の実装では、LTEを含む3GPPの最新の機能拡張が反映される予定です。

CMW500によるすべての関連パラメータのパラレル測定用のテストセットアップ
R&S®CMW500によるすべての関連パラメータのパラレル測定用のテストセットアップ:スループットモニターによってRLCレイヤーの性能を測定すると同時に、ビットメータアプリケーションによってIPレイヤーのE2E性能を測定できます。これに加えて、アップリンクRF測定を並列に開始することもできます。
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