R&S®RadEsTで実現する、ロバスト性が高く簡素化されたEMCレーダーテスト

実際のEMC条件下における車載用レーダーテストの複雑さを軽減し、信頼性を高めることで、テスト期間を短縮

小型かつ軽量なR&S®RadEsT レーダーエッセンシャルテスタ
小型かつ軽量なR&S®RadEsT レーダーエッセンシャルテスタ。寸法(幅×高さ×奥行き):186.5 mm × 138.6 mm × 275 mm、重量:3.2 kg
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課題

現代の車載用レーダーセンサは、強い電磁界が存在する環境下でも高い信頼性が求められます。アダプティブクルーズコントロール(ACC)、自動緊急ブレーキ(AEB)、ブラインドスポット検出(BSD)といった先進運転支援システム(ADAS)の機能は、車両の安全性にとって極めて重要になっています。レーダーシステムは、外部からのRF妨害の影響を受けることなく、距離、角度、ドップラーを正確に測定し続ける必要があります。

ISO 11452は、車載用コンポーネントの電磁両立性(EMC)およびイミュニティーの要件を規定しており、電界強度のレベルは通常100 V/mまでです。しかし、EMCの制限値をクリアするだけでは、レーダー探知の精度を確保することはできません。RF電磁界が高い場合、感度低下、探知範囲の縮小、ゴーストターゲット、オブジェクトトラッキングの喪失などを引き起こし、ADASの性能に直接的な影響を与えます。

一般的な課題:100 V/mを超える電界強度では、EMCイミュニティーの限界を満たしているレーダーセンサであっても、一時的にターゲットを見失ったり、速度精度が低下したりする場合があります。そのため、電磁ストレス下での機能検証は不可欠ですが、最大200 V/mのEMSテストチャンバーに対応するテスト機器の調達は困難な場合があります。

目標:ISO 11452に準拠したEMCコンプライアンスを確保すると同時に、最大200 V/mの電磁ストレス条件下における真のレーダー探知性能を検証し、規定のEMC限界を超える環境においても信頼性の高い動作を確認することが目標です。

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®RadEsT レーダーエッセンシャルテスタは、小型でありながら、従来のEMCイミュニティーテストとADAS関連のレーダー性能評価とのギャップを埋めることができます。このテスタは、電磁界生成に影響を与えることなく、既存のEMCチャンバー、電波反射室、またはバルク電流注入(BCI)環境に直接組み込み可能です。

R&S®RadEsTの特長

  • 最大電界強度200 V/mのEMCテストセットアップに完全対応
  • 電磁界印加時のレーダーセンサ動作をリアルタイムに評価
  • EMCイミュニティーとレーダー性能を1つの統合ワークフローで評価
  • 電磁界生成に影響を与えることなく、レーダー性能を高精度かつ非侵襲的に測定
  • 車載用レーダーの周波数バンド(76 GHz~81 GHz)をサポート
  • Tier 1によるレーダーモジュールテストとOEMによる車両全体検証に対応したスケーラブルな構成

R&S®RadEsTの技術的利点

  • ロバスト(堅牢)性テストを強化:最大200 V/mのEMCシステムと共存可能
  • 高忠実度レーダー解析:距離、角度、ドップラー、オブジェクトトラッキング精度をシミュレート
  • リアルタイム相関:レーダー性能の低下と電界強度を関連付け
  • 非侵入性:レーダーハードウェアや電磁界分布に非干渉
  • 高い再現性:施設間で一貫性のあるトレーサブルな測定結果を提供
  • シナリオベースの評価:CARLAとの統合(オプション)により、仮想ADASイベントと実際のレーダー動作を相関解析

R&S®RadEsTの運用上の利点

  • 単一ワークフロー:EMCイミュニティーとレーダー機能の検証を1つの統合セットアップで実現
  • 複雑さの軽減:既存のEMCチャンバーにプラグインで接続
  • システム非依存:あらゆるEMCアンプ、アンテナ、チャンバー構成に対応
  • ビークルインザループ対応:システムレベルのOEMテストのためにビークルインザループ(VIL)ワークフローをサポート
  • 将来性:進化するADAS要件、より広いレーダー帯域幅、より高いセンサ統合密度に対応
  • 拡張性:コンポーネントレベルテストと車両全体のシステムレベルテストの両方に最適

アプリケーション

ISO 11452 – 車載用レーダーセンサのEMCテスト

ISO 11452は、乗用車と商用車のレーダーセンサをはじめとする車載用電子サブシステムのEMCイミュニティーテストについて規定しています。

注記:ISO 11452はEMCイミュニティーの検証に関する規定であり、レーダー測定精度の評価は対象ではありません。そのため、EMCコンプライアンスに加えて、レーダーの機能性能も評価する必要があります。

コンポーネントレベルのテスト(Tier 1)

  • ISO 11452の要件に基づきレーダーセンサモジュールを検証
  • レーダーターゲットシミュレーションによりレーダー性能を確保すると同時に、放射性および伝導性イミュニティーと感受性を評価
  • 電磁界印加状態でレーダー探知チェーン全体(距離、速度、角度、オブジェクトトラッキング)を監視
  • テスト対象レーダーセンサの送信電力とスペクトラムを正確に評価
  • 吸収体を備えたチャンバー、BCIセットアップ、電波反射室でテストを実施
  • EMCイミュニティーと熱または振動プロファイルを組み合わせることで、信頼性検証を強化

車両レベルテスト(OEM)

  • バンパー、グリル、フェンダー、または車両コーナー部の背後に組み込まれたレーダーをテスト
  • インフォテインメント、キーレスエントリー、電気自動車(EV)インバーター、ドメインコントローラーなど、他の車載電子機器との相互作用を解析
  • 電波反射室で車両全体のEMCテストを実施し、エミッション、イミュニティー、クロストークを評価
  • 現実的な電磁曝露環境下でADASシステム(ACC、AEB、BSD、センサフュージョン)の動作を検証
  • 電磁ストレス下でも、カメラおよび光検出/測距(LiDAR)との安定した相互作用を確保

まとめ

ADAS車両内のレーダーセンサは、強い電磁界でも完全に機能しなければなりません。ISO 11452への準拠だけでは不十分であり、エンジニアは安全性と信頼性を確保するために、電磁ストレス下における実際のレーダー探知性能を検証する必要があります。

R&S®RadEsTは、EMC環境で包括的なレーダー性能評価を実施できる強力なプラットフォームです。最大200 V/mの電界強度に対応し、レーダー探知動作のリアルタイム測定と既存のテストチャンバーへのシームレスな統合を実現することで、ロバスト性に優れ、かつ信頼性が高く、将来を見据えたレーダーシステムを実現します。

電磁イミュニティーテストの結果
テスト基準 周波数レンジ 公称電界強度
MIL-STD-461G、RS103 2 MHz~30 MHz 200 V/m
MIL-STD-461G、RS103 30 MHz~80 MHz 200 V/m
ISO 11452-2、Ed. 3.0 80 MHz~1 GHz 200 V/m
ISO 11452-2、Ed. 3.0 1 GHz~6 GHz 200 V/m
MIL-STD-461G、RS103 6 GHz~18 GHz 200 V/m