フィルターチューニングに最適な組み合わせ:CST Studio Suite®とR&S®ZNB

Dassault SystèmesのCST Studio Suite®シミュレーションソフトウェアの一部であるCST® Filter Designer 3Dは、フィルターとダイプレクサーのための総合シンセシスツールです。VNAベースのチューニング機能を使用して、結合共振器フィルターのデザインプロセスとそれ以降のプロセス全般にわたり、幅広いソリューションを提供します。CST Filter Designer 3Dは、フィルターハードウェアのチューニングに有用であるため、必要な仕様を満たすためにデバイスを最適化する時間を大幅に短縮することができます。リアルタイムのフィルターチューニングのためにデータを高速で読み取る魅力的な測定器が、ローデ・シュワルツのR&S®ZNB ベクトル・ネットワーク・アナライザです。

CST Filter Designer 3DとR&S®ZNBを使用するVNAのチューニングセットアップ
図1:CST Filter Designer 3DとR&S®ZNBを使用するVNAのチューニングセットアップ

課題

4G/5G基地局のフィルター/ダイプレクサーは、一般に難しいDUTです。バンド外の高ノイズ除去が必要となるためです。ヌルと呼ばれる伝送ノッチは、深さが80 dB以上になることもあります。R&S®ZNB ベクトル・ネットワーク・アナライザのダイナミックレンジおよび速度と、Dassault SystèmesのCST Studio Suite®は、このシナリオに最適な組み合わせです。

R&S®ZNBのダイナミックレンジ(10 Hz IF帯域幅)
図2:R&S®ZNBのダイナミックレンジ(10 Hz IF帯域幅)

ローデ・シュワルツのソリューション

CST Studio Suite®は、実環境でのチューニングのためにUSB、ソケット、イーサネット接続をサポートし、ローデ・シュワルツのさまざまなベクトル・ネットワーク・アナライザを使用できます。R&S®ZNBは、速度、ダイナミックレンジ、操作性を重視した、製造ライン向けの最先端のベクトル・ネットワーク・アナライザです。高い測定確度と、1ポイントあたり5 µs未満という優れた速度を兼ね備えています。例えば、401ポイントを4 msという短時間で掃引します。さらに、高いパワー処理能力、高い感度、小さいトレースノイズも特長です。R&S®ZNBのベースユニットのダイナミックレンジは代表値140 dB(10 Hz IF帯域幅)と広く、同クラスの他の市販製品を上回っています。オプションのダイナミックレンジ拡張を使用すれば、ダイナミックレンジを150 dBまで広げることができます(これは真のダイナミックレンジであり、伝送係数が小さい場合にレシーバーが圧縮領域に入ることはありません)。

完全一体型で使いやすいソリューション
フィルターのチューニングは、以下の4ステップで行います。

  • R&S®ZNB ベクトル・ネットワーク・アナライザを校正し、DUT上でSパラメータ測定を行います。
  • PCで実行中のCST Filter Designer 3DとR&S®ZNB ベクトル・ネットワーク・アナライザをリモート接続します。このソフトウェアが測定データをリアルタイムで自動的に読み取ります。
  • ソフトウェアは、選択されたフィルタートポロジーに基づき、測定されたSパラメータから結合マトリクスを抽出します。
  • エラーバーは、結合と自己共振との間でチューニングがどの程度ずれているかを示します。これは、ねじ、可変コンデンサ、バラクターダイオードなどのチューニングメカニズムによってフィルターハードウェアを最適化する際に必要な情報です。

このフィルターモデルは、CST Filter Designer 3Dでデザインされ、CST Studio Suite®でシミュレートされています。製造プロセスが正確であれば、シミュレートされた結合マトリクスに一致するようにハードウェアをチューニングした場合、R&S®ZNBによる実際の測定でも同じ結果が得られます。

CST Filter Designer 3D環境を下のスクリーンショットに示します。R&S®ZNBから読み取ったSパラメータの測定値が表示されています。エラーバーは、各マトリクス要素が最適なチューニングからどの程度ずれているかを示します。

共振器(番号部分)を持つフィルター
図3:共振器(番号部分)を持つフィルター

アプリケーション

同軸共振器フィルターの結合
このフィルターは6次応答を持ち、通過帯域のすぐ上に2つの伝送零点があります。フィルタートポロジーは、2つのカスケード接続されたトリプレットセクション(3段)で構成されています。図3は、共振器のチューニングねじ(赤の番号)を持つデバイスです。

結合マトリクスを示すCST Filter Designer 3Dのユーザーインタフェース
図4:結合マトリクスを示すCST Filter Designer 3Dのユーザーインタフェース
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商標/著作権表示
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