R&S®CMWcardsによるNB-IoTのField-to-Labテスト

R&S®CMWcardsは、直感的で使いやすいソフトウェアアプリケーションで、フィールドテストをラボ環境で再現するために使用できます。

R&S®CMW500 プロトコル・テスタをR&S®CMW-CUおよびR&S®CMWcardsツールと併用

課題

NB-IoT(Narrowband IoT)は、低消費電力ワイド・エリア・ネットワーク(LPWAN)無線テクノロジーの1つで、3GPPのリリース13で最初に標準化されました。200 kHzという小さい帯域幅で動作し、スタンドアロン、ガードバンド、インバンドの3つの動作モードで配備できます。NB-IoTは、ロジスティクス追跡、スマートホーム、スマートシティといったさまざまな分野にわたるサービスを提供します。

NB-IoTモジュールの主要な性能指標としては、不利な無線条件でも発揮される優れた屋内カバレージ、信頼性の高いモビリティ性能、最小限の消費電力などがあります。

製品の発売前に、NB-IoTモジュールの性能を、さまざまなモバイル通信プロバイダーのネットワークで徹底的に検証しておくことが重要です。場合によっては、製品が市場で優位にあることを確認するため、ベンチマークテストが必要になることもあります。このような状況では、フィールドテストが非常に重要な役割を果たします。

フィールドテストを行えば、実際のネットワーク環境でモジュールをテストすることで、NB-IoT製品の機能と信頼性に関して必要な信頼度レベルを実現できます。フィールドテストの際に発見される問題は、実環境の動的な性質のために、再現が難しいのが普通です。このため、修正の検証には困難が伴います。

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®CMWcardsは、R&S®CMW500で動作するグラフィック・テストスクリプト作成ツールであり、プログラミングの知識がなくても使用できます。カードの配列をセットアップするだけで、さまざまなテストシナリオをシミュレートするシグナリング・テストスクリプトを作成して、デバイスのプロトコル動作を検証できます。各カードは定義済みのプロトコル手順を表していますが、シグナリングパラメータはユーザーが柔軟に調整できます。各カードに内蔵されたエラーチェック機能により、シグナリングフローが規格に準拠することが保証されます。

Field-to-Lab(F2L)アプリケーションとR&S®CMWcardsを組み合わせることで、実際のネットワークのシナリオをラボ環境で再現できます。これにより、フィールド関連の問題のほとんどを、制御可能、再現可能、デターミニスティックな方法で調査できます。

R&S®CMWcardsとF2Lの組み合わせは、フィールドでの動作を検証するための強力なツールです。フィールドログからネットワーク構成が抽出され、R&S®CMWcardsにインポートされることで、セル情報、RRC、NASメッセージを含むライブネットワーク構成でテストシナリオがシミュレートされます。

テストスクリプト内の特定のレイヤー3(L3)メッセージをフィールドログからのメッセージに置き換えることで、このL3メッセージコンテンツがモジュールの動作に与える影響を容易にテストできます。

オプションのダウンリンクメッセージとの同期によって、RFパワーや品質といったフィールドのRF条件を抽出し、テストスクリプトで再現することもできます。将来的には、可変無線条件を拡張して、フェージング条件をシミュレートすることも可能になる予定です。

アプリケーションのワークフロー

下の図は、NB-IoTアプリケーションでのR&S®CMWcardsのF2L機能の代表的な使用例を示します。

1. フィールドテストの問題をデバッグするには、まずフィールド・テスト・ログ・ファイルが必要です。この種のログファイルは、ローデ・シュワルツのネットワークスキャナーを使用して入手するか、UEトレースを通じてキャプチャーできます。

2. フィールドログをF2Lアプリケーションウィザードの入力として指定します。ウィザードはログファイルを自動的に解析します。ユーザーは、解析出力に基づいて、詳細な調査が必要なネットワークパラメータとL3メッセージコンテンツを判定します。

3. F2Lウィザードは、フィールドログから抽出されたネットワーク構成、レイヤー3メッセージ、RFパラメータを含むネットワークプロファイルを作成します。ネットワークプロファイルはカードの集合で、各カードのパラメータは実際のネットワークに一致するように設定されています。

4. フィールドテストのテストシーケンスを反映したR&S®CMWcardsテストスクリプトを作成します。例えば、以下のスクリプトでは、ユーザープレーンのセルラーIoT(cIoT)EPS最適化に登録されたNB-IoT DUTが、無線リンク障害の発生後に、別のNB-IoTセルに対してデータ接続を回復します。

5. ステップ3で作成されたネットワークプロファイルを選択します。ネットワークプロファイルは、ステップ4で作成したテストスクリプトのカードを自動的に置き換えます。

ステップ5が終わると、R&S®CMWcardsのテストシナリオは、ライブネットワーク条件をラボ環境(R&S®CMW500)でシミュレートします。

R&S®CMWcardsとF2Lの組み合わせは、NB-IoTのフィールドテストの問題をラボで再現して解決するためのユニークで強力な方法です。このアプローチにより、デバッグの効率が大幅に向上し、OPEXを最適化できます。

NB-IoT Field-to-Labテストのコンセプトの概要
NB-IoT Field-to-Labテストのコンセプトの概要