R&S®RTOオシロスコープによる波形データの高速ダウンロード
波形データをダウンロードしてリモート処理するための選択肢の概要
波形データをダウンロードしてリモート処理するための選択肢の概要
多くのアプリケーションで、収集した波形データをリモートコンピューターで後処理する必要があります。高エネルギー物理学、原子物理学、分子生命科学、高電圧測定、レーダーアプリケーションが対象の分野です。
豊富な解析ソフトウェアを備えたオシロスコープでも、ユーザー固有の解析を実行できない場合があります。非常に専門的な波形解析、モニタリング作業やドキュメント作成作業、DUTを複数のオシロスコープで測定する場合など、波形データをダウンロードしてオフラインで処理しなければならない場合もあります。
R&S®RTOオシロスコープでは、波形データをさまざまな方法でダウンロードできます。最適な方法を選択するためには、ダウンロード機能を評価するための4つの主要なパラメータを決定する必要があります。
R&S®RTOオシロスコープには、以下の3種類のデータ保存モードがあります。
これら3種類のモードは、標準的な測定器の機能の一部です。ヒストリーモードでは、すべてのデータが捕捉メモリに保存されます。すべてのデータ収集が完了するか、捕捉メモリが一杯になったら、波形データをディスクに保存して、ネットワーク経由でファイルにアクセスしてダウンロードすることができます。保存とその後のダウンロードのどちらの操作によっても、遅延が長くなり、ヒストリーモードの平均スループットは低下します。
MATLAB®でのチャネル1のSCPIダウンロードの例。
データロギングでは、波形が捕捉され、すぐにローカルディスクに保存されます。オシロスコープは、最大捕捉回数または設定された捕捉回数までこの操作を繰り返し、捕捉した波形を1つのファイルに保存します。次に、リモートコンピューターはネットワーク経由でファイルにアクセスしてオシロスコープから波形データを読み取り、再び操作を開始します。
SCPIによってデータをダウンロードすることもできます。リモートコンピューターは、SCPIコマンドによって個々の波形の記録/ダウンロードを制御します。この方法は、遅延に関しては良好で、記憶容量に事実上制限がありません。
3種類すべてのモードで同等の結果を得るために、測定セットアップには、レコード長が1000サンプルの短いアクティブチャネルが4つあります。これは、高速ダウンロードが必要なアプリケーションにはよくあることです。サンプルは8ビットのネイティブフォーマットで保存され、ダウンロードは定常状態で実行されます。
最高のダウンロード性能を実現するためには、オシロスコープの自動測定や演算機能などの他の機能をオンにしないでください。
上の図は、最大遅延の各方法のトリガレートに対する依存性を示しています。遅延が短いほど、ダウンロードが高速になります。理想的なセットアップが破線で示されています。下の図は、平均スループットの各方法のトリガレートに対する依存性を示しています。数値が高いほど、性能が高いことを示しています。
低遅延測定アプリケーションには、SCPIダウンロードが最適です。平均スループットまたはトリガ・ブラインドタイムが重要なパラメータの場合は、ヒストリーモードが最適です。
R&S®RTOオシロスコープは、リモート処理がさらに必要な測定アプリケーションに最適なソリューションです。雑音、リニアリティー、トリガ感度などの優れたアナログ機能と低遅延または高スループットのリモート処理手法の組み合わせにより、ユーザーの測定要件を簡単に満たすことができます。