R&S®ZNAにおけるSパラメータの測定の不確かさ

ベクトル・ネットワーク・アナライザは、マイクロ波エンジニアのラボにおいて最も高精度な測定器です。R&S®ZNAは、その精度を新たなレベルに引き上げます。測定器がきわめて正確であるだけでなく、被試験デバイスを測定しながら画面上で測定の不確かさを計算し表示できるようになりました。

R&S®ZNA ベクトル・ネットワーク・アナライザ、4ポートモデル
R&S®ZNA ベクトル・ネットワーク・アナライザ、4ポートモデル
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課題

被測定デバイスのSパラメータを高精度で測定するには、 ベクトル・ネットワーク・アナライザを使用します。しかし、Sパラメータの結果に加え、リターンロスと挿入損失の結果について測定の不確かさを得る必要があります。

ローデ・シュワルツのソリューション

以前は、DUTのSパラメータの結果について測定の不確かさを計算することは計量ラボでしかできませんでした。現在では、新しいR&S®ZNA‑K50 測定の不確かさオプションにより、この計算は自動で行われ、不確かさの範囲が測定されたSパラメータとともに画面上に直接表示されるようになりました。

METAS VNA Toolsの計算エンジンのパワー

METASは、スイスのベルンにあるスイス連邦計量・認定局(Swiss Federal Institute of Metrology)です。METASは過去10年間にわたり、世界中の国家計量標準機関(NMI: National Metrology Institutes)および計量ラボにVNA Tools(Michael Wollensackによって開発されたパワフルな度量衡グレードのソフトウェアプログラム)を提供してきました。Sパラメータのトレーサビリティーに関するMETASの研究は、VNA測定における「不確かさ」の科学の最前線を切り開いてきました。その努力の直接的な結果として、VNA Toolsが世界中で採用されるようになりました。R&S®ZNA‑K50 測定の不確かさオプションの導入により、ローデ・シュワルツはMETASとパートナー契約を結び、VNA ToolsのパワーをR&S®ZNAに組み入れました。

R&S®ZNAの使いやすくシンプルなユーザーインタフェース

ローデ・シュワルツは、使いやすさに着目してこれを実現しました。過去数十年にわたり使用してきたプロセスのまま、シンプルにR&S®ZNAを校正します。追加のステップは不要です。次に、DUTを接続します。すると測定の不確かさのオーバーレイを含むSパラメータの測定結果を見ることができます。追加の工数は不要です。

検証テストを追加

検証テストも、歴史的に計量ラボでのみ行われてきた作業の1つです。現在では、パワフルなMETAS VNA Toolsの計算エンジンにより、校正と同じくらい実施しやすい内蔵の検証テストがR&S®ZNAで可能になりました。ベリフィケーションキットを使用すると、R&S®ZNAのガイドに従って検証テストを実行できます。その中で、VNA Toolsの測定の記録、測定セットアップの不確かさのデータベース、生の測定結果、校正済み測定結果、そして合否判定を含むテストアーカイブも作成されます。

R&S®ZNA内蔵の検証テスト。
R&S®ZNA内蔵の検証テスト。
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VNA Toolsへの無制限アクセス

R&S®ZNAでは、METAS VNA Toolsの計算エンジンが用いられるだけでなく、不確かさ計算と検証テストがわかりやすく容易になります。R&S®ZNA‑K50 オプションには、METAS VNA Toolsのソフトウェアの完全インストールも含まれています。つまり、METAS VNA Toolsで提供されるすべての機能がR&S®ZNAで直接使用できます。校正と検証の範囲がすべて、DUTの測定とともに、METAS VNA Toolsのプロジェクトディレクトリーを経由してVNA Toolsに入ります。あらゆる検査、レポートの生成、結果の精査が可能です。高度なユーザー向けには、生データに対して独自のベクトル補正アルゴリズムを適用してMETASの結果と比較することができます。制限はありません。

まとめ

度量衡グレードの不確かさ計算、検証テストおよび測定アーカイブが、METAS VNA Toolsを利用するR&S®ZNA‑K50 オプションで使用可能になりました。きわめて高精度なR&S®ZNAを完璧に補完することでその精度を証明しています。そのために、ローデ・シュワルツは、スイス連邦計量・認定局の測定の不確かさの代表的ソフトウェアであるMETAS VNA Toolsを使用しています。

40 dBアッテネータのSパラメータと測定の不確かさの範囲。
40 dBアッテネータのSパラメータと測定の不確かさの範囲。
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