R&S®ZNBによる高速デジタル信号ラインの正確な測定

データレートの高速化が続き、高速デジタル設計やそれに使用するコンポーネントのシグナルインテグリティーの側面は、ますます難しくなっています。とりわけ高いデータレートにおいて、コネクタ、ケーブル、PCBなどのパッシブコンポーネントを試験するためのタイムドメイン・レフレクトメトリ(TDR)のセットアップは、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)に置き換えられ始めています。ユーザーにとって、VNAの高い精度、速度やESDに対する堅牢性が得られるので、VNAはこの分野において最適な計測器になっています。

PCボードの高速差動信号ラインを20 GHzまで検証するZNB20セットアップ
PCボードの高速差動信号ラインを20 GHzまで検証するR&S®ZNB20セットアップ

課題

PCボードのデジタル高速信号構造の検証などの作業では、特定のレイヤーで測定を行う際に、プローブ、プローブパッド、ビア、リードイン、リードアウトの影響を受けないようにする必要があります。そのためには、正確なディエンベディングアルゴリズムを使用して、測定に対するこれらの影響を計算し、必要な領域の結果のみが残るように影響を取り除く必要があります。

テストソリューション

以下に示すセットアップ例では、PCボードの高速差動信号ラインを20 GHzまで検証します。テストセットアップのベースとして、R&S®ZNB20 4ポートVNAを使用します。対応するディエンベディングツール(Delta-L、Delta-L+、PacketMicro Smart Fixture Deembedding(SFD)、AtaiTec In-Situ Deembedding(ISD))をR&S®ZNB20上で直接実行するので、外部PCは不要です。

PCボードのテストクーポンには、通常、実際に測定する信号トレース以外に、このディエンベディングを容易にするための短い信号トレースが含まれています。R&S®ZNB20をこれらの信号トレースに接続するために、差動PCボードプローブ(PacketMicro製など)が使用されます。

テストセットアップ
テストセットアップ
テスト手順の各ステップ
テスト手順の各ステップ
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プロセスの自動化

オペレーターがテスト手順を簡単に実行できるように、テストは通常ソフトウェアで自動化されています。左のスクリーンショットは、テスト手順の3つのステップの例を示しています。

  • ディエンベディングのための2×スルー(ショート)構造の測定。結果は左のカラムに表示。
  • トータル(ロング)構造の測定。結果は中央のカラムに表示。
  • 選択したディエンベディング方法で必要な領域を計算。結果は右のカラムに表示。

トータル(ロング)測定と2×スルー(ショート)測定に対して、両方のプローブのインピーダンス対時間が挿入損失の上に表示されます。そのため、プローブの再調整の必要性がすぐにわかります。

周波数ドメインとタイムドメインでアイダイアグラムと測定を同時に表示した状態
周波数ドメインとタイムドメインでアイダイアグラムと測定を同時に表示した状態
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アイダイアグラム

さらなる評価のために、R&S®ZNB-K20のオプションを使用して必要な領域のアイダイアグラムを解析することができます。このオプションでは、エンファシス、ノイズ、ジッタ、イコライゼーションの効果をアイダイアグラムで検証することもできます。さらに、マスクテスト(合否判定と統計結果を含む)を行うこともできます。

まとめ

R&S®ZNBは、PCボードのデジタル高速信号構造をテストするために必要なすべての機能をワンボックスに搭載しています。プローブ、プローブパッド、ビア、リードイン、リードアウトの影響を取り除くために、追加のディエンベディングツールをインストールすることもできます。

オーダー情報
概要 数量 タイプ オーダー番号
ベクトル・ネットワーク・アナライザ
ベクトル・ネットワーク・アナライザ、4ポート100 kHz20 GHzPC 3.5コネクタ 1 R&S®ZNB20 1311.6010.64
タイムドメイン解析 1 R&S®ZNB-K2 1316.0156.02
拡張タイムドメイン解析 1 R&S®ZNB-K20 1326.8072.02
校正ユニットまたは校正キット
校正ユニット、10 MHz24 GHz4ポート3.5 mm(メス) 1 R&S®ZV-Z52 1164.0521.30
校正キット、50 Ω0 Hz24 GHz3.5 mm(オス/メス) 1 R&S®ZV-Z235 5011.6542.02

課題

PCボードのデジタル高速信号構造の検証などの作業では、特定のレイヤーで測定を行う際に、プローブ、プローブパッド、ビア、リードイン、リードアウトの影響を受けないようにする必要があります。そのためには、正確なディエンベディングアルゴリズムを使用して、測定に対するこれらの影響を計算し、必要な領域の結果のみが残るように影響を取り除く必要があります。

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