極寒の北極圏。過酷な環境で真価を発揮!

R&Sストーリー

EMC

極寒の北極圏。過酷な環境で真価を発揮!

ローデ・シュワルツの環境テストラボは、過酷な環境における製品機能を検証しています。

マガジン概要に戻る
Updated on 3月 14, 2024 🛈
Originally published on 11月 30, 2022

北西航路を通る船舶は、氷に覆われたグリーンランド西岸沿いを数百海里にわたり航行する必要があります。こうした環境でも、ローデ・シュワルツは信頼性の高い無線通信を確保します。北大西洋沿岸などの過酷な環境下ですべての製品を確実に作動させるために、ローデ・シュワルツは専門性の高い環境テストラボを独自に開設しました。低温、高温、湿度、水、振動。こうした標準的な環境要因に加え、当ラボは電磁両立性(EMC)についても当社の高度な専門知識を活用しています。当ラボは幅広いテストに対応できるため、さまざまな利点を得ることができます。

グリーンランドは、約200万平方キロメートルもの面積を持つ世界最大の島です。人口わずか57,000人という、地球上で最も人口密度の低い地域でもあります。気候区分は北極圏に属し、最も温暖な夏季の間でも平均気温が摂氏10度を上回ることはありません。冬季の気温は0度をはるかに下回ります。しかし雪と氷に包まれた世界でも、ローデ・シュワルツの短波テクノロジーは信頼性の高い無線通信を確保するために役立っています。ハイテク企業である当社は、独自の環境テストラボですべての機器とシステムに詳細なテストを実施し、過酷な環境下ですべてが正しく機能することを確認しています。

環境テストラボ所長、Johann Fuchs
"

通常の業務では、法的要件および規格との適合を確認しています。しかし製品開発に関わったり、お客様が普段とは異なるテスト要求でいらっしゃったときには胸が高鳴ります。その瞬間、私たちはパイオニアや発明者へと変貌します。

"

環境テストラボ所長、Johann Fuchs

過酷な環境に求められる究極のソリューション

気候チャンバーでの極端な温度によるテストから、シェーカーによる振動テスト、未来的な電波暗室での電磁両立性(EMC)テストに至るまで、ローデ・シュワルツは幅広いテスト機能を提供しています。当ラボでは、当社の機器の可用性とフェイルセーフ性能を確実に予測できるように、品質管理の専門家が現実的な環境条件をシミュレートします。

温度と湿度、それらの急激な変化は、電子機器の機能と寿命に深刻な影響を与える可能性があります。これは作動中の場合だけではありません。気候帯をまたぐ国際的なルートで輸送中の場合はもちろん、きちんと梱包され、倉庫で出荷を待つ間も、気候条件の変動に無縁ではありません。

量子テクノロジー2.0:期待できること

コロンビアのタタコア砂漠

氷に覆われたグリーンランドの冬とは対照的に、コロンビアの岩がちなタタコア砂漠は赤道付近にあります。通常、夏季の気温は摂氏45度に達します。この砂漠は二重の雨陰状態にあり、雨季でも雨はほとんど見られません。ローデ・シュワルツのアンテナシステムはこうした最も過酷な気象条件に耐えうるのでしょうか。もちろん耐えられますし、実際に耐えています。

気候チャンバー

環境テストラボでは、摂氏-70度から+180度に対応する気候チャンバーや温度衝撃チャンバーでさまざまなテストを実行できます。しかし目玉はウォークイン式の気候チャンバーです。サイズが大きいため、世界各地の空港で使用されるセキュリティースキャナーのような大型の製品やシステムも十分に収容できます。

「ステアではなくシェイクで」

高水準の品質管理を視察するためにローデ・シュワルツ本社を訪れるお客様から特に大きな関心を寄せられるのがシェーカー(加振器)です。この動電式振動システムは、輸送時や極端な動作環境で機器やシステムに加えられる物理的な力をシミュレートします。

グリーンランドの凍結した道路での輸送や、コロンビアの砂漠へのアンテナ設置、 ニューヨーク中心部のワンワールドトレードセンターの屋上にある高性能TV送信機、災害で破壊された道路、橋、鉄道など、さまざまな状況を想定しています。

量子テクノロジー2.0:期待できること

アフリカのサバンナの道路

ローデ・シュワルツは、アフリカの国々で、農村部のネットワークカバレッジの強化を支援するために測定を行っています。しかしこの写真に見られるように、アフリカのサバンナ奥地の厳しい道路事情は、性能の優れたオフロード車にとっても過酷です。では、モバイルネットワークの品質測定とネットワーク解析に使用される高感度機器がこの状況に対応できるように、当社はどのように取り組んでいるでしょうか。

振動テスト

環境テストラボのシェーカーは、さまざまなタイプの振動をシミュレートできます。重量は約8トンで、大人のアフリカゾウの雄を上回ります。見た目と同様に印象的なのが、テスト中の音です。周波数最大2,500ヘルツという大音量のため、ラボのドア付近にはイヤープロテクターが掛かっています。

EMCに関する高度な専門知識

スマートウォッチ、スマートホーム、スマートシティ。荒野の真っ只中や人気のないグリーンランドの氷の大地でない限り、私たちの暮らす世界でデジタル化が進んでいるのは確かです。周囲にある無数の電子製品や無線製品が互いに干渉しないのは、EMC対策がとられているためです。私たちの社会、産業、行政機関がデジタル化の恩恵を受けられるのは、それが前提です。

これは、ローデ・シュワルツの製品ポートフォリオにも該当します。信号発生器、ハンドヘルドオシロスコープ、セキュリティースキャナーのいずれであっても、EMCが不可欠です。そしてローデ・シュワルツ(ミュンヘン)の電子計測スペシャリストには、2つの点でホームアドバンテージがあります。まず、当社はEMCの世界的リーダーです。次に、社内のテストラボは研究開発部門と緊密に連携し、開発プロセスの早期の段階で調整の必要性を検出するため、製品開発の効率が高まります。柔軟なプランニング、短い距離、社内に集中するテストの専門知識が、さらなる相乗効果を生み出します。

量子テクノロジー2.0:期待できること

夜のホンコン

都市空間では、相互にやり取りをするコネクテッドデバイスが増えています。未来のモビリティーでは、自動運転車がスマートインフラと無線で通信するようになります。このようにスマート化が進む中で、ローデ・シュワルツのEMCテストソリューションは、他のデバイスのEMCを確保しています。テストソリューション自体の電子機器にも、適切なEMC規格が適用されています。

EMCチャンバー

EMCの測定は、電磁的にシールドされた電波暗室(シールドチャンバー)で行われます。チャンバーの内壁、天井、床の吸収材が未来的な雰囲気を醸し出しています。これらの吸収材によって、テスト対象機器からのエミッションのみが測定されます。ラボの移動には、大変な根気と忍耐が必要でした。それぞれ約40万個もの部品を持つ4つのEMCテストチャンバーを完全に解体し、本社の新しい部屋で元の状態に戻す必要がありました。

過去、現在、未来

ローデ・シュワルツは1960年代から、過酷な環境条件で製品やシステムをテストしてきました。気象条件テストで始まったラボの活動には、現在、法的に求められるEMCテストと電気安全規格テストが含まれています。

現在のサービス範囲には、音響測定と、電気モジュールの熱分布を確認するサーモグラフィーも含まれています。当社は、CE適合宣言に必要なすべてのテストを社内で実行しています。社外の専用ラボは、塩水噴霧、砂漠砂、菌類侵入への暴露といった複雑なテストにのみ利用しています。

"自動運転、量子、6Gのいずれであろうと、新しいテクノロジーには新しい規格とテスト要件が付いて回ります。環境テストラボの私たちにとって、それはいかなる厳しい要件にも対応していくという課題への取り組みを意味します。50年以上にわたり培ってきたテストに関する専門知識によって、弊社の製品開発力をさらに高め、すべてのお客様に貢献すると同時に当社のサステナブルな成長を実現します。"
環境テストラボ所長、Johann Fuchs

その他の記事

妨害しないで。

R&Sストーリー

EMC

妨害しないで。

EMC対策による安全性の向上。

記事全文を読む
北の呼び声

テクノロジーの実用化

北の呼び声

北西航路を通る船は、すべてグリーンランドの西岸を何百海里にも渡って航行する必要があります。ローデ・シュワルツの短波テクノロジーは、高緯度地域でも信頼性の高い無線通信を確保するために役立っています。

記事全文を読む
EMCテストがeMobilityへの道を拓く

ナレッジナゲット

EMCテストがeMobilityへの道を拓く

電気自動車は、EMCテストの世界を変えつつあります。また、EMCテストも電気自動車の世界に影響を与えつつあります。

記事全文を読む