6Gに向けて

ナレッジナゲット

EMCテストがeMobilityへの道を拓く

電気自動車は、EMCテストの世界を変えつつあります。また、EMCテストも電気自動車の世界に影響を与えつつあります

マガジン概要に戻る
Updated on 3月 14, 2024 🛈
Originally published on 4月 01, 2023

電磁波は目に見えませんが、さまざまな問題を引き起こす原因となります。必要信号と同じ周波数に妨害電磁波があると、ガレージのドアが開かなくなったり、無線キーが動作しなくなったりする可能性があります。そのような事態を防ぐため、電気機器に対しては電磁両立性(EMC)のテストが行われます。

これは自動車産業では特に重要です。静止しているデバイスと異なり、自動車は広い範囲の環境内を移動するため、さまざまなソースからのさまざまな強度レベルの干渉に常にさらされます。オンボードエレクトロニクスは、エアバッグの制御といった安全にとって重要な作業を数多く担当しているので、強度の電磁干渉が存在する環境でも正常に動作する必要があります。そのため、自動車のEMCテストは法律で義務付けられており、自動車産業では日常の作業の一部になっています。

電気自動車の出現による新しい要件

自動車の電動化のトレンドによって、EMCテストの世界に新しい動きが生まれています。電気自動車のエンジンやバッテリーの制御に用いられるインバーターは、従来の内燃機関よりもはるかに強い電磁界を発生します。さらに、電磁界の強度は、自動車の走行速度や、加速中かブレーキ動作中かといった要因によって左右されます。

オンボードエレクトロニクスは、このようなまったく新しいEMC条件の下でも、いっさい問題を起こさないことが要求されます。また、最近の自動車では、UWBや5G接続による自動車へのアクセスなど、さまざまな無線サービスが利用されており、それらの障害も防ぐ必要があります。同じことが、レーダーやGNSSなど、自動運転用に用いられるセンサーについても言えます。

道路をラボ内で実現

もちろん、すべてのテストはラボ内で行う必要があります。実際の路上で行うテストは、費用がかかる上、再現性がないからです。ラボ内のテストでは、何らかの方法で現実的な運転条件をシミュレートする必要があります。そのため、開発ペースの上昇に伴い、新しいテストシステムやテストケースの必要性が増しています。それは自動車メーカーだけでなく、サプライヤー、テストハウス、そして検査機関にとっても同様です。

EMCテストのコスト上昇は、従来の内燃機関に関してもすでに見られていました。わかりやすい対策としては、テストの自動化があります。ローデ・シュワルツは、テストステーションソリューションで広く知られている有力メーカーと協力して、適切な方法を開発しています。

EMCの他に、車載用レーダーセンサーのテストも、ローデ・シュワルツにとって重要なアプリケーション領域の1つです。R&S®AREG100A 車載用レーダーエコー発生器は、こちらでご覧になれます。

ローデ・シュワルツの取り組み

ローデ・シュワルツは、EMCテスト/測定機器の分野の世界的リーダーです。その製品ポートフォリオには、メーカーやテストラボがEMCテストのために必要とするあらゆるものが含まれています。

eMobilityのための新しい要件に関しても、それは変わりません。わかりやすい例の1つが、R&S®ELEKTRA EMCテストソフトウェアです。このソフトウェアは、テストステーションのサプライヤーとの協力の下、現実的な運転シナリオのテストをラボで自動化できるように拡張されています。これにより、テスト時間を最適化し、ロードテストの高いコストを避けることができます。

ローデ・シュワルツの無線機テスタも、EMC測定用に用いられます。これらのテスタは、モバイルネットワークの基地局をエミュレートできます。例えば、法律で義務付けられている緊急通話を、EMC条件の下でテストできます。別の例としては、自動車内でビデオコンテンツを問題なくストリーミングできるかどうかを確認するための性能テストも実行できます。

当社はお客様と協力して、さまざまな新しいEMCテストや機能パフォーマンステストを段階的に開発する一方で、EMCチャンバー内のテスト環境の取り扱いの最適化を進めています。その目標は、電気自動車と自動運転という未来への次のステップを踏み出せるようにすることです。

その他の記事

妨害しないで。

R&Sストーリー

EMC

妨害しないで。

EMC対策による安全性の向上。

記事全文を読む
コネクテッドカーの時代がやってくる

R&Sストーリー

コネクテッドカーの時代がやってくる

安全に、効率的に、そして快適に目的地に到着

記事全文を読む
すべてがネットワークにつながる

テクノロジーの実用化

すべてがネットワークにつながる

6G - 将来の無線通信のビジョン

記事全文を読む