実環境のRF信号のラボでの再現

実環境の信号の記録、変換、再生

ARBToolbox Plus
R&S®ARBToolbox Plusは、ローデ・シュワルツのベクトル信号発生器やベースバンドI/Q変調発生器用の波形を作成/処理するための強力で使いやすいツールセットです。

課題

無線モニタリングの分野の各種アプリケーションおよびシナリオには、実環境のRF信号の存在が欠かせません。例えば、適切なRF環境がなければ、信号分類装置の評価や無線通信士の効率的なトレーニングは非常に困難です。変調方式、暗号化方式、伝送方式の多くは人工的にシミュレートしたり、作成することができないので、アンテナで信号を受けて取得する必要があります。これらの信号の発生時間を制御するためには、ユーザーがこれらの信号を記録として使用できる必要があります。

モニタリングソリューション

ここで説明するローデ・シュワルツのソリューションは、個別に独立して実行することが可能な3つのステップ(目的の信号の記録、変換、再生)から構成されています。

ベースバンド信号の記録

この信号処理の概念は現在入手可能なローデ・シュワルツのすべてのレシーバーで採用され、IF信号はデジタルI/Qベースバンドで得られます。このため、生のベースバンドデータをI/Qフォーマットで利用でき、空中に存在する事実上すべてのRF信号をハードディスクドライブに記録できます。

R&S®PR100 ポータブル・レシーバは、移動無線モニタリングアプリケーションに最適です。最大32 GバイトのSDカードによって、内部記憶装置を拡張することができます。R&S®PR100-IR 内部記録オプションにより、音声データ、スペクトラムデータ、I/Qデータを内部記憶装置または取り付けたSDカードに直接記録することができます。ただし、信号を正確に再現するために必要な情報がすべて含まれているのは、I/Qデータだけです。

I/Qデータの記録を実行するためには、R&S®PR100が固定周波数モード(FFM)で動作している必要があります。受信機を目的の周波数に同調させ、復調帯域幅を目的の信号の帯域幅に設定します。復調帯域幅は、I/Qベースバンドの帯域幅記録の制限要因となります(R&S®PR100では500 kHz)。次に、フロントパネルの "REC" ボタンを押して記録メニューにアクセスし、"IQ data" 記録モードを選択します。[F2]キーを押して、記録を開始/停止します。記録ファイルの大きさは、4 Gバイトに制限されます。最大500 kHzの帯域幅では、1つのファイルに最大約26分の記録が可能です。受信機からSDカードを取り外す前に、SDカードにファイルが正しく保存されていることを確認してください。

記録されたファイルの変換

記録後は、生のベースバンドデータは2つのチャネルの*.riqファイルにあります。このファイルは、1つのチャネルの”I”データ、1つのチャネルの”Q”データ、特定のヘッダー情報(中心周波数と帯域幅)から構成されています。信号発生器が読み取るためには、この情報を適切な波形タグに変換する必要があります。これには、R&S®ARBToolbox Plusソフトウェアを使用します。このソフトウェアは、ローデ・シュワルツのウェブサイトから無料で入手できます。

R&S®ARBToolbox Plusソフトウェアのレイアウトはファイルブラウザーと類似しています。記録されたファイルをブラウザーで検索します。ファイルを変換するには、ファイルを右クリックして、ドロップダウンメニューから “Import RIQ“ を選択します。変換を終了するには、このプロセスのすべての手順に従ってください。変換後のファイルは、任意波形発生器を備えた信号発生器で再生できる、*.wvファイルになります。

記録されたファイルと変換後のファイルの再生

以前に記録した信号を「再生」するには、R&S®SMBV100Aなどの任意波形発生器(ARB)を備えた信号発生器が必要です。ARBは信号を再現するために必要です。

変換後のファイルは、信号発生器の内部記憶装置に保存してください。信号を再生する場合は、信号発生器が送出した信号が既存のサービスを妨害しないようにする必要があります。

R&S®PR100は最大500 kHzのI/Q帯域幅を備えているので、ほとんどの信号タイプに対応できます。この軽量(3.5 kg)の受信機は、1つのバッテリーで最大4時間動作するので、ほとんどどこでも信号を記録できます。

生のベースバンドデータをI/Qフォーマットで記録すれば、信号をフルに制御できます。データはすべて記録に残されます。

プロセスの概要
プロセスの概要