5G NR MIMO信号解析

5G NR信号を高速かつマルチチャネルで収集できる、セットアップが容易なテストソリューション

RTP/RTOとVSEを使用するテストソリューション
R&S®RTP/R&S®RTOとR&S®VSEを使用するテストソリューション
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課題

5G New Radio(NR)の最先端モバイル無線アクセステクノロジーは、高度拡張モバイルブロードバンド通信(eMBB)、超高信頼低遅延通信(URLLC)、Massive IoT(mIoT)接続を各産業分野に提供することを目的としています。5G NRによって促進される2つの画期的テクノロジーが、Massive MIMO(マルチ入力マルチ出力)アンテナシステムとビームフォーミングです。これらのテクノロジーは、5Gの展開の重要な鍵であり、基本的要素です。エンドユーザー体感、ネットワーク容量、カバレッジを改善し、最終的に高いスペクトラム効率を実現します。Massive MIMOテクノロジーを基盤にビームフォーミングを展開することで、目標ユーザーに向けてビームのパワーを上げ、近くにいる目標以外のユーザーにはビームのパワーを抑えることができます。

以上のテクノロジーがリンクバジェットと干渉回避/除去能力を高め、ネットワーク効率を新たなレベルへと引き上げます。信号を特定の方向に送信するには、ビームフォーミングが必要です。ビームフォーミングを行うには、入力信号ストリームごとに相対位相シフトを生成します。生成されたビームが常に目的の方向を指すようにするには、生成する位相シフト、つまり位相差が常に一定であることが必要です。生成されるビームフォーミングの品質ベンチマークを行うには、各MIMOレイヤーの入力信号の位相差を判別する必要があります。また、各MIMOレイヤーで、EVM、送信パワー、ACLRなど、5G送信信号の基本測定を行う必要があります。各MIMOレイヤーでこうした測定を一貫性のある形で行い、測定結果を相関させることができると便利です。5G信号をマルチチャネルで同時に一貫性のある形で収集できれば、測定効率も向上します。

ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®RTPまたはR&S®RTO オシロスコープとR&S®VSE ベクトル信号解析ソフトウェアを併用するテストソリューションを使用すると、容易なセットアップで5G NR MIMO信号解析を行うことができます。これを可能にするのが、R&S®RTP/R&S®RTOの高速信号収集フロントエンドとマルチチャネル機能です。R&S®RTPはハイエンドの4チャネルオシロスコープです。R&S®RTP-K11 I/Qソフトウェアインタフェースと併用すると、捕捉した5G MIMO FR1信号のダウンコンバートとダウンサンプリングを行うことができます。最大サンプリングレート40 Gサンプル/秒の高いサンプリング能力で、レコード長最大80 Mサンプルの長いI/Qデータを生成します。

R&S®RTP/R&S®RTOでサンプリングされた出力I/Qデータは、R&S®VSEに用意された解析ツール、R&S®VSE-K144 オプションとR&S®VSE-K146 オプションを使用して後処理を行うことができます。R&S®VSE-K144は単一チャネル測定に、R&S®VSE-K146はマルチチャネル測定に対応する測定パーソナリティです。R&S®VSEソフトウェアでこれらの測定パーソナリティを使用することで、各MIMOレイヤーの位相測定をはじめとするすべてのRFパラメトリック測定を簡単に行うことができます。また、各MIMOレイヤーのビームフォーミングのサマリーから、PBCH、PDSCH、CORESETのリソース割り当て、関連するアンテナポート(AP)、該当する位相測定の概要を知ることができます。さらに、R&S®RTOとR&S®RTO-K11 I/Qソフトウェアインタフェースの組み合わせも、サブ6までの5G周波数バンドをカバーできるコストパフォーマンスの高いソリューションです。

アプリケーション

R&S®RTP-K11/R&S®RTO-K11とR&S®VSE-K144 オプションを併用すると、5G NRのRF信号に関する従来のパラメトリック測定(EVM、周波数エラー、パワースペクトラム、信号フラットネス、信号コンスタレーションなど)を単一チャネルで行うことができます。

この組み合わせにR&S®VSE-K146を追加すると、マルチチャネルモードでの測定が可能になります。つまり、最大4つのMIMOレイヤーに対して同時に捕捉、ダウンコンバート、測定を行うことができます。

R&S®VSE-K146 オプションは、位相測定機能、基準アンテナとの位相差測定機能、ビームフォーミングサマリー機能をR&S®VSE-K144に追加します。

"RS Phase" は、各APの各種基準信号(PDSCH、PDCCHなど)によって占有されている搬送波の位相を測定します。

"RS Phase Difference" は、基準アンテナポートに対する各APの位相差を測定します。

"Beamforming Summary" は、UE固有の基準信号(PDSCH、CORESET、CSI-RSなど)によって使用されている各割り当ての位相特性を数値で示します。

R&S®VSE-K146によって追加される測定値の概要を下のスクリーンショットに示します。

まとめ

R&S®RTP/R&S®RTOとR&S®VSEは、5G NR MIMO信号の検証ニーズに応えます。R&S®RTP/R&S®RTOの持つ高速信号収集機能とマルチチャネル機能によって、MIMOレイヤーと、ビームフォーミングの信号特性を高速かつ一貫性のある形で解析できます。

VSE-K146 マルチチャネルMIMO測定
R&S®VSE-K146 マルチチャネルMIMO測定

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