6Gの世界に革新をもたらす統合型センシングおよび通信(ISAC)技術

統合型センシングおよび通信(ISAC)は6Gの柱です。通信と環境センシングという異なりながらも類似する2つの世界を統合することで、6G時代の未来をもたらします。ISACの主要な原動力は、MIMOアレイによるビームフォーミング、人工知能(AI)、最新の変調方式、高密度のネットワークインフラです。R&S®AREG800A 車載用レーダーエコー発生器は、ISACコミュニティーにおける汎用性の高い研究開発テストソリューションの中心となる要素です。

FE44SでのAREG800Aの使用
R&S®AREG800AとFE44S
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課題

ISACセンサは、正確に環境をセンシングするのと同時に、同じ波形での通信もサポートする必要があります。ISACテクノロジーでは、通信リンクの確立と同時に物体の正確な位置探査が可能です。これを通じて、通信や自動車安全性などの従来のアプリケーションに加えて、スマートファクトリー、健康状態のモニタリング、高度な交通監視、侵入者探知、プライバシー保護、ターゲットの位置特定などの新しいアプリケーションへの扉を開きます。
ISAC向けに新しい波形を設計する必要があります。レーダー中心または通信中心の開発アプローチが可能な系統的信号から着手しますが、真の目標は、完全に統一された波形でレーダーセンシングと通信の両方を統合して最善のソリューションを実現することです。

セルの概要 - 基地局(ISAC BS)のカバレッジ領域
セルの概要の代表的な例 - (基地局(ISAC BS)のカバレッジ領域)
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通信と車載用レーダーは一見まったく異なる領域に属すると思われますが、詳しく調査すると、これら2つのテクノロジーには共通の要素があり、両者ともがISACを導入および採用するための堅固な基盤を形成しています。

  • 両方のテクノロジーにビームフォーミングが使われている
  • 両方のテクノロジーでフェーズド・アレイ・アンテナが使われている
  • 通信におけるチャネル予測とレーダーにおける物体(オブジェクト)パラメータ予測
  • 通信におけるシンボル検出とレーダーにおける物体(オブジェクト)検出
R&S®AREG800Aによって生成された人工的物体を用いた測定例
R&S®AREG800Aによって生成された人工的物体を用いた測定例
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ローデ・シュワルツのソリューション

ローデ・シュワルツは、6Gコミュニティーの成長と活性化を促進するために、信頼性と再現性に優れたテストソリューションを提供しています。R&S®AREG800A 車載用レーダーエコー発生器にR&S®FE44S 外部フロントエンドを組み合わせれば、FR2バンドの周波数変換が可能になります。この測定ソリューションは、24 GHz~44 GHzの周波数バンドで人工的物体を生成するのに適しています。両方のR&S®FE44Sは、ベース測定器に低いIF周波数で接続されます。

フロントエンドの周波数応答と振幅フラットネスは、最適な測定結果が得られるようにR&S®AREG800Aで自動的に補正されます。ISACのプロトタイプがまだ完成していない場合は、R&S®SMW200A ベクトル信号発生器とR&S®FSW85 シグナル・スペクトラム・アナライザを組み合わせれば、アプリケーション固有の波形と信号処理アルゴリズムを開発するための強力なツールになります。ISAC FR2 DUTを準備できる場合は、ローデ・シュワルツの測定器を使用して伝導性テストや無線(OTA)テストを実行することができます。

アプリケーション

フル装備のR&S®AREG800Aでは、距離、ドップラー効果、レーダー断面積(RCS)がそれぞれ異なる最大32個の人工的物体を生成することができます。ユーザーの観点からは、生成された物体を使用することで、関連する要件に応じて人口密度の高い現実的なシナリオのシミュレーションが可能になります。

まとめ

以下に要点をまとめます。

  • ISACは6Gの柱です。
  • 革新的なアプリケーションがISACテクノロジーの原動力です。
  • 受賞歴のあるローデ・シュワルツの一体型ソリューションにより、信頼性と再現性に優れたテスト環境を構築できます。
  • セットアップに外部フロントエンドを使用することで、DUTでの直接的なアップコンバージョン/ダウンコンバージョンが可能になり、低コストで適切なテストセットアップ性能を実現できます。
ISACテストセットアップの図
ISACテストセットアップの図