R&S®CMWrun - バッテリー寿命測定
シーケンサ・ソフトウェア・ツール
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注目を集めているIoT(Internet of Things)のアプリケーションの中には、充電なしで10年以上のバッテリー動作を要求されるものが数多くあります。このため、バッテリー寿命のテストが今までよりも重要になっています。また、スマートフォンで動作するアプリの増加とともに、消費電力削減のための最新機能のテストが不可欠になっています。新しいIoTの超低消費電力要件に応えるために、3GPP規格の最新リリース(12と13)では、省電力モード(PSM)やエンハンスドDRX(eDRX)といった機能がさまざまなUEカテゴリで定義され、低消費電力化が図られています。
これらの機能の消費電力削減に関するパフォーマンスをテストし、解析するには、制御されたエミュレーションネットワーク環境が必要です。R&S®CMWrunを使えば、広く用いられているR&S®CMW500に基づいて、現実的かつ制御された条件で上記のようなテストを実行するための最適なソリューションが得られます。R&S®CMWrun CMW-KT051は、R&S®RT-ZVC02A/R&S®RT-ZVC04A マルチチャネル・パワー・プローブ(オートレンジ機能搭載)から高いサンプリングレートでサンプルを収集し、電流、電圧や、瞬時電力(W)の計算値の時間変化も表示できます。
さまざまなシグナリング・トリガ・イベント(LTEアタッチ、接続、アイドルシグナリング状態、IMS登録など)が実装されているので、さらに詳細な情報(多数のサンプル)が得られます。これらは、電力消費図に時間相関付きで表示されます。また、電力消費図は、IPトラフィック解析(R&S®CMW-KM051)を使用してIPレベルのイベントに関連付けられ、これによってどのアプリまたはIPフローが、スマートフォンやその他の無線機器のバッテリー寿命に影響しているかが示されます。
R&S ® RT-ZVC02A/R&S®RT-ZVC04A マルチチャネル・パワー・プローブ(オートレンジ機能搭載)とR&S®CMWrunを組み合わせると、搭載されたバッテリー、A/C電源アダプター、またはUSB接続によって給電中のIoTまたはM2Mデバイスで消費される電力(電流と電圧)を実環境シナリオでモニターできます。スマートフォンは搭載されたバッテリーを使うため、単なるダミーバッテリーとは異なります。複数のチャネルをモニターし、ボード上のパーツが消費する電力を比較することができます。例えば、アプリケーションプロセッサ、RFパワーステージ、さらには個々のコンポーネントが全消費電力に占める割合を、常に実環境のシグナリングシナリオで比較できます。R&S®CMW500とR&S®RT‑ZVC02A/R&S®RT‑ZVC04A マルチチャネル・パワープローブ(オートレンジ機能搭載)を制御するR&S®CMWrunセットアップは、研究開発テスト、性能テスト、連続テスト、受け入れテスト用の任意のシグナリング/ノンシグナリングシナリオにおいて、IoTデバイス、M2Mアプリケーション、自動車産業で使用される無線モジュール、RFコンポーネントのすべての電力テスト要件に対応します。
バッテリー寿命測定の最新仕様では、電流の時間変化だけでなく、電圧の時間変化も測定することにより、瞬時電力を高いサンプリングレートで計算することが要求されています。このようなテスト要件に対応するには、デバイスが消費する電力を、現実的なユースケースで、すなわち実際のバッテリーまたはUSBインタフェース、あるいはACアダプターからの給電によって測定できることが必要です。
また、ローデ・シュワルツの R&S®RT‑ZVC02A/R&S®RT-ZVC04A マルチチャネル・パワープローブ(オートレンジ機能搭載)は、まさにこのようなユースケースのために設計され、最大2つ(R&S®RT-ZVC02A使用時)または4つ(R&S®RT-ZVC04A使用時)の電圧/電流チャネルが使用できます。
各パワー測定グループは、電圧計と電流計から構成され、18ビットのA/D分解能と5 MSa/sのサンプリングレートを備えています。各グループで使用可能な内蔵乗算機能を使用すれば、電流サンプルと電圧サンプルを5 Mサンプル/秒のレートでサンプルごとに同期して乗算できます。内蔵デシメーションユニットにより、100、1,000、または10,000サンプルの平均による消費電力が積算されます。これにより、きわめて短い時間の消費電力のピークを捕捉できるとともに、データ転送レートをPCの処理能力の範囲内に抑えることができます。このデータに基づき、R&S®CMWrunは、バッテリー寿命を予測し、電流、電圧、瞬時電力などのすべてのパワーグループ測定をイベントグラフに表示します。
R&S®RT-ZVC02A/R&S®RT-ZVC04A マルチチャネル・パワープローブの電流計はシャントを内蔵していて、目的の測定レンジの1つに対して選択できます。また、被試験デバイスに直接取り付けられた外部シャントを使用して電流を測定することもできます。この場合、電流はこの外部基準シャントでの電圧降下に基づいて測定されます。大電流によって生じる接続ケーブルの損失を効果的に回避するため、内蔵電流計は高インピーダンスの電圧計となっています。
内部シャントまたは外部シャントを使用した電流測定には、オートレンジモードも使用可能です。電流読み値に基づいてスケールを自動的に変更することにより、電流測定の精度が最大限に高まります。オートレンジ機能を使用すると、最大50 kサンプル/秒のデータレートまで、シームレスな電流、電圧、パワー測定が可能です。
DUTに接続する場合、接続オプションとしては、4 mmプラグ、ピンコネクタ、はんだ付けピンなどが使用でき、あらゆる種類のアプリケーションシナリオに対応できます。
バッテリー寿命測定とIPスループット試験は、以下に示す規格固有のR&S®CMWrunパッケージで利用できます。
以下のオプションは必須です。
直感的なグラフィカル・ユーザーインタフェース
R&S®CMWプラットフォーム用の自動化ツール
R&S®CMWは、現在最も広く用いられているマルチスタンダードUEテスト用プラットフォームです。ネットワークプロバイダー、テストハウス、端末メーカー、チップセットメーカーなどに幅広く採用されています。R&S®CMWrun 自動化ソフトウェアは、R&S®CMWでリモート制御テストシーケンスを実行するためのすべての要件を満たし、現在と将来の無線機器の研究開発、品質保証、製造、サービスに利用できます。
このソフトウェアエンジンは、テストDLL(プラグインアセンブリ)の実行に基づいたものです。このアーキテクチャーにより、機器のリモート制御に関する特殊なプログラミングの知識がなくても、テストシーケンスを容易に構成できます。さらに、規格に準拠したR&S®CMWrun パッケージオプションで提供されるテスト項目に対しても、そのパラメータとリミットを柔軟に設定することができます。
使いやすく、直感的操作が可能
グラフィカル・ユーザーインタフェースはわかりやすく、無線機器が各種テクノロジーの3GPPプロトコルに準拠しているかどうかを簡単にテストすることができます。
アプリケーションには、さまざまなものがあります。例えば、複合ユーザー・エクスペリエンス・テストでは、同期マーカーにより、IPスループットと電流ドレインを一度に確認できます。解析時にイベントマーカーを使用して、IPスループットとバッテリー寿命を最適化できます。テストが終了すると、リミット、テスト結果、判定を記載した読みやすいテストレポートが作成されます。レポートは、csv、txt、xml、pdfフォーマットが利用できます。
主な特長