R&S®Scope Riderを用いた迅速かつ効率的なトラブルシューティング

信号の不良や異常により、電気/電子システムで不具合が発生する場合があります。特にフィールドでは、これらのエラーはシステムのダウンタイムを招き、コスト上昇の原因となります。そのため、エラーを短時間で効率的に見つけ出し、その原因を特定することが重要です。

R&S®Scope Riderは、ポータビリティまたはアイソレートされたチャネルが必要な、フィールドおよびラボ環境でのトラブルシューティングで、強力なデバッグ機能を提供します。
R&S®Scope Riderは、ポータビリティまたはアイソレートされたチャネルが必要な、フィールドおよびラボ環境でのトラブルシューティングで、強力なデバッグ機能を提供します。

課題

電子システムをデバッグする際の代表的な例は、低頻度の信号の不具合や信号異常の捕捉と解析です。散発的なセンサ信号異常や低頻度の電源グリッチなどのイベントは、複雑なシステム障害を引き起こす可能性があるだけでなく、その根本的な原因を明確につかめないことがあります。その性質は不明であるため、このような異常を検出することは困難です。グリッチ、スパイク、間欠的な干渉、振幅と周波数の変化、デューティーサイクルの変化などが該当するのではないでしょうか。

最新のベンチトップオシロスコープは、数多くのデバッグツールを備えていますが、 フィールドやラボ環境で、ポータビリティや高電圧電子機器の測定に対する安全性が求められる場合は、別のソリューションが必要となってきます。

電子計測ソリューション

R&S®Scope Riderハンドヘルドデジタルオシロスコープは、最大CAT IV600 Vのアイソレートされたチャネルの利点と、最新ベンチトップオシロスコープの高度な機能を、1つのポータブルデザインにまとめたオシロスコープです。

500 MHzの帯域幅まで使用可能で、5 Gサンプル/秒の最大リアルタイムサンプリングレートと、500 kサンプルの捕捉メモリ(ハンドヘルドオシロスコープとしては特筆すべき性能パラメータ)を備えています。

ハンドヘルド測定器で初めて実現された、50,000波形/秒の波形捕捉レートと、さまざまなアドバンスドトリガモードを提供する非常に正確なデジタルトリガシステムを使用すれば、間欠的な信号不良を短時間で見つけることができます。33の自動測定、ヒストリー機能、データロガーなどの解析機能は、エラーの原因の特定に役立ちます。

R&S®Scope Riderには、ロジック・アナライザ機能とプロトコル・アナライザ機能も備わっています。これらの機能は、8つのデジタルチャネル(MSO)と各種のプロトコルトリガ/デコードオプション(I2CまたはSPIなど)によって実現されています。危険な電圧信号を操作する際には、アイソレートされたチャネルを使用できるため、R&S®Scope Riderは、エンベディッドパワーデザインのデバッグにも最適です。

R&S®ScopeRiderは、捕捉レートが高いため、低頻度の信号の不具合を非常に短時間で検出します。
R&S®ScopeRiderは、捕捉レートが高いため、低頻度の信号の不具合を非常に短時間で検出します。

アプリケーション

低頻度の信号不良の迅速な検出

デジタルオシロスコープの捕捉サイクルは、2つのステップからなります。

  • オシロスコープが、信号をサンプリングし、サンプルをストア
  • オシロスコープが、これらのサンプルを処理し、波形を画面に表示。なお、この期間、オシロスコープは信号に対して「ブラインド」状態になります。このブラインド時間中に発生する信号不良は、ユーザーに隠されたままです。

最大50,000波形/秒の波形更新レート(従来のハンドヘルドオシロスコープの1,000倍以上)により、R&S®Scope Riderは、他のオシロスコープなら見逃してしまうような信号も検出することができます。信号の低頻度の不良を高い信頼性で捕捉して解析できるため、デバッグ時間を短縮できます。

強力なトリガシステムによる正確な不良検出

R&S®Scope Riderの高い捕捉レートは、信号異常の検出に威力を発揮します。エンジニアは、14種類の異なるトリガタイプを使用して関連する信号イベントを正確に分離し、さらに解析を行うことができます。

エッジやパルス幅などの単純なトリガ条件に加えて、ラントやビデオトリガなどの高度なモードもサポートされています。

さらに、R&S®Scope Riderは、ハンドヘルドオシロスコープで最高のトリガ感度を提供します。これを可能にしているのが、ローデ・シュワルツ独自のデジタルトリガシステムです。このシステムでは、デジタイズされた信号を直接解析して、トリガ条件が満たされているかどうかを決定します。

ヒストリー機能:時間を遡る機能

問題の真の原因を見つけるには、通常、信号シーケンスの過去を確認することが不可欠です。このオプションは、ヒストリーモードによって提供されます。R&S®Scope Riderは、最大5000波形を個別のヒストリーバッファーに自動的にストアします。捕捉は任意の時点で停止でき、すべてのオシロスコープ機能を使用して過去の測定データを素早く解析することができます。波形ごとにタイムスタンプが1個付くため、イベントの発生時刻が明確に特定できます。

信号の偏移を明らかにするマスク試験

信号異常のタイプは無数にあるため、適切なトリガ条件を定義することが困難な場合があります。こうしたケースのソリューションとして、マスクテストを実行します。マスクテストによって、特定の信号が定義された許容範囲内にあるかどうかをすぐに判定できます。被試験デバイスの品質と安定性の評価には、統計データによる合否判定が用いられます。信号の異常や予期しない結果は、マスクに違反した場合に測定を停止することにより容易に特定できます。

R&S®Scope Riderを使用すると、マスクを簡単に作成でき、柔軟性も高まります。数回のキーストロークで、基準信号からマスクを生成し、対応する許容範囲を定義することができます。

R&S®Scope Riderのデータロガーは、測定値の長期モニタリングに使用されます。
R&S®Scope Riderのデータロガーは、測定値の長期モニタリングに使用されます。
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データロガー:長期デバッグパワー

R&S®Scope Riderのデータロガー機能は、特に比較的長期のモニターが必要な場合に使用されます。最大4つの測定値を1、2、または5測定/秒の速度でモニターし、1時間に1回、または1週間に1回発生する間欠的な問題の原因を特定することができます。例えば、メインでの電圧変動や、低頻度の電源グリッチがこれに当たります。チャネルあたり2 Mサンプルの大容量メモリにより、最長23日間のログ作成が可能です。また、統計データを表示すれば、最小値と最大値、およびその正確なタイミング情報が追加で得られます。詳細ズーム機能を使用すると、記録データの選択したセグメントに対して詳細な解析を実行できます。

R&S®Scope Riderのデータロガーは、測定値の長期モニタリングに使用されます。

まとめ

R&S®Scope Riderは、最高の安全基準に基づく優れた性能を、ベンチトップオシロスコープのデバッグ機能と組み合わせたハンドヘルドオシロスコープです。

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