R&S®SMA100Bによる最高のレベル確度と再現性で高速パルス生成を実現

レーダー機器は、常に技術的に実現可能な限界で動作するように設計されています。このため、レーダー機器の真の性能を測定するには、最高の確度と信頼性のパルスド・テスト信号が必要です。R&S®SMA100B アナログRF/マイクロ波信号発生器と、その高品質パルス変調器を使用することにより、高速パルス変調を実現できます。強力なクローズドループ・レベル制御の概念を高速パルスにも適用することにより、最小100 nsのパルス幅に対して、優れたレベル確度と再現性が得られるようになりました。

課題

高速非変調パルスは、短距離のイメージングや、あいまいさのないドップラ推定のための高いパルス繰り返し周波数(PRF)のシナリオで用いられます。パルスド信号のデューティーサイクルはさまざまで、数%程度になることも珍しくありません。レーダー機器はパルスド動作に最適化されているので、あまり高い平均RFパワーには対応できず、その性質上、パワー・レベルの変化にきわめて敏感です。個々のレーダー・コンポーネントやモジュールの真の性能を測定するには、パルスド・テスト信号の品質が鍵となります。デューティーサイクルが小さいため、パルスはときどきしか発生しませんが、それでもレベル確度と再現性は高くなければなりません。テスト中に温度変化のために、パルス振幅が時間とともにドリフトすることは許されません。

高速パルス発生
外部から供給されたパルスに対するR&S®SMA100BのRF出力信号の過渡応答(11.2 GHz、100 nsパルス幅、1 %デューティーサイクル)

電子計測ソリューション

R&S®SMA100B アナログRF/マイクロ波信号発生器と、その高性能パルス変調器は、このようなアプリケーションに最適なソリューションです。R&S®SMA100Bが発生するパルスは、最新のデジタル自動レベル制御(ALC)により、クローズドループ・レベル制御されています。R&S®SMA100Bに実装されているALCは、パルスのデューティーサイクルがきわめて小さい場合でも、高速パルス(パルス幅≧100 ns)のレベルを制御できます。優れたレベル確度と、抜群のレベル再現性を実現できます。クローズドループ・レベル制御のパルス幅は、他社の同クラスの製品よりも10倍、R&S®SMF100Aに比べても5倍優れています。

サンプルシナリオのタイミング
サンプルシナリオのタイミング
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R&S®SMA100B 信号発生器のパルス変調器は、サンプル/ホールド・メカニズムなしで優れた性能を実現しているので、被試験デバイスの感度が高い場合でも安全な動作条件を実現できます。前のページの図は、外部から供給された高速パルス(100 nsパルス幅、1 %デューティーサイクル)に対するR&S®SMA100Bの過渡応答の例を示します。

パルスは、高いレベル確度と再現性で、RF出力で直接発生します。トップ・パワー・レベルのセトリング時間は120 μs未満です。最初のパルスのトップ・パワー・レベルのCWレベルからの偏移は1 dB未満です。

高速パルスのレベル再現性の測定結果
高速パルスのレベル再現性の測定結果、11.2 GHz、100 nsパルス幅、1 %デューティーサイクル、ALCモード「テーブル&オン」
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最後のトップ・パワー・レベルのCWからの残留偏移は0.3 dB未満です。最先端の信号発生器の過渡応答は数ミリ秒程度です。高速パルスに対する過渡応答が長くなるのを防ぐために、R&S®SMA100Bは、最初のパルスに対する内部アライメントプロセスからの補正データを、ALCの積分器にプリロードします。これは通常ベクトル信号発生器のみで使用される方式です。クローズドループ・レベル制御は、デューティーサイクルが小さい高速パルスに対しても、温度変動を効果的に除去することができます。

最小100 nsのパルス幅の高速パルスに対するレベル再現性

ALCモード「自動」では、R&S®SMA100Bが最適なALCモードを自動的に選択します。ALCループは、R&S®SMAB-K23 内部パルス発生オプションからの高速パルスまたは外部信号源からのパルスに対して動作します。高速パルスに対して最適なモードは「テーブル&オン」です。このモードでは、ALCエンジンに内部調整データがプリロードされ、最初のパルスより後では、制御ループが閉じられます。これにより、最短のセトリング時間と、最高の確度および再現性が得られます。左下のヒストグラムには、10分間にわたって測定されたトップ・パワー・レベルの分布が示されています。

制御ループは連続的に動作し、優れたパルス間再現性で、すべてのレベルドリフトを補正します。この例では、ほぼすべてのトップ・パワー・レベルが、0.015 dBの範囲内に収まっています。パルス幅は100 ns、デューティーサイクルは1 %です。

100 ns未満のパルス幅の高速パルスに対するレベル確度とレベル再現性

パルス幅が100 ns未満の場合、R&S®SMA100BではALCモード「テーブル」が使用できます。このモードでは、クローズド・フィードバック・ループは使用されません。オープンループのレベル制御が使用されます。補正値は内部調整テーブルから得られます。これは、内部発生パルスにも外部信号源からのパルスにも使用できます。

R&S®SMA100B(R&S®SMAB-K22オプションを装備)のパルス変調器性能
パラメータ 設定
最小パルス幅 < 20 ns
クローズドループ・レベル制御による最小パルス幅
100 ns
立ち上がり/立ち下がり時間
5 ns(代表値)
測定されたオン/オフ比 100 dB

主な利点

❙ 最小100 nsのパルス幅の高速パルスに対するクローズドループ・レベル制御

❙ きわめて高速な過渡応答を示すRFポートへの直接パルス出力

❙ 100 ns未満のパルス幅の高速パルスに対するオープンループ・レベル制御

❙ パルスド信号の優れた絶対レベル確度

❙ パルスド信号の優れたレベル再現性

❙ サンプル/ホールド・メカニズムが不要