電子モジュールのバッテリー逆電圧テストと自動テスト機能

電子制御ユニット(ECU)などの電子システムが車載用として承認されるには、いくつかの厳しい品質テストに合格する必要があります。これらのテストには、ISO 16750‑2で指定された逆極性テストが含まれます。電子モジュールがこの規格に準拠するには、負の電源電圧に一定時間耐え、損傷を受けないことが条件となります。R&S®NGU401 ソース・メジャー・ユニット(SMU)は、この作業に最適であるだけでなく、自動テスト機能も備えています。

R&S®NGU401

課題

自動車の点検や修理では、バッテリーの切断と再接続を繰り返す必要があります。その際、バッテリーの極性を逆にして接続するリスクがあり、接続しているコンポーネントと回路に損傷を及ぼす可能性があります。そのため、各電子回路の品質テストでは、逆電圧に対するテストに合格する必要があります。ECUや照明制御ユニットなどの電子モジュールを少なくとも60秒間、負の電圧に接続し、テスト後、逆電圧の印加による損傷がないことが合格の条件です。このテストでは、電子モジュールに電源を供給し、負の電圧と電流を印加するために、象限IとIIIで動作する電源が必要です。さらに、電子モジュールを検証するために、適切な合否判定基準が必要です。

お勧めする方法は、負の電圧を除去した後で電子回路に損傷がないかどうかを確認するために、電源の電圧と電流を正確に測定する方法です。テスト前、テスト中、テスト後に電圧と電流を高い精度で測定することで、電子回路の動作不良や損傷をごく簡単に検出できます。電子モジュールの複雑なファンクションテストは不要です。さらに、製造環境で使用する場合は特に、自動テストを実行できることが推奨されます。

ISO 16750-2に準拠した逆電圧波形
ISO 16750-2に準拠した逆電圧波形
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ローデ・シュワルツのソリューション

R&S®NGU401 ソース・メジャー・ユニットは、象限IとIIIで動作可能なため、規格に準拠した逆電圧テストに最適です。通常動作時に電子モジュールに電源を投入し、60秒以上負の電圧と電流を印加した後、正の電圧に戻して通常動作に戻ることができます。このテストシーケンスは、例えば内蔵の任意波形発生器で定義することができるほか、外部でプログラミングしてリモート制御で適用することもできます。

電圧と電流の測定値は、外部のテストスクリプトで単純な合否判定基準に使用することができます。また、R&S®NGU401には高速ロギング機能があり、最大500 kサンプル/秒で電圧と電流を収集できます。この高いサンプリングレートにより、さらに詳細な解析が可能になります。外部のツールを使用すれば、電圧と電流を時系列で詳細にプロットできます。さらに、R&S®NGU401は完全リモート制御機能も備え、テストの自動化が可能になります。

NチャネルMOSFETとダイオードコントローラーに基づく保護回路を使用した逆電圧テストセットアップ
NチャネルMOSFETとダイオードコントローラーに基づく保護回路を使用した逆電圧テストセットアップ
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アプリケーション

基本的に、バッテリーの逆電圧テストは、半導体デバイスの逆電圧特性のテストに非常に似ています。

バッテリーの逆接続保護回路の一般的な実装

バッテリーの逆電圧テストを行うための保護回路は、さまざまな方法で実装できます。単純なダイオードを使用する方法や、PチャネルMOSFETを伴うディスクリートのソリューション、あるいはダイオードコントローラーとNチャネルMOSFETを併用する方法が一般的です。

ダイオードコントローラーとNチャネルMOSFETの併用は、逆電流の生成は最も少ないものの、逆接続モードの際、数nA未満の電流を計測する能力が必要です。

ケーススタディ

電圧と電流の測定による逆電圧テストを、Pythonスクリプトに基づく完全自動方式で実施しました。自動テスト機能は、開発プロセスに役立つだけでなく、製造プロセスでの使用にも適しています。ECUと保護回路の併用をシミュレートするために、ダイオードコントローラーに基づく逆接続保護回路評価ボードと印加後の降圧コンバーターを併用しました。

逆の電圧と電流の測定

  • 左の逆電圧テストセットアップの図に示すようにR&S®NGU401をDUTに接続
  • LANやUSBを使用してリモート接続を確立
  • DUTを保護するために、過電流保護に適した電流値を設定
  • Pythonスクリプトを実行

Pythonスクリプトを実行した後で、印加された電圧の波形と測定された電流を示すウィンドウが表示されます。結果から、負の電圧が印加されている間の電流は約3.6 µAであることがわかります。データシートの仕様によれば、この値は、MOSFETの逆電流としては許容範囲です。さらに、負の電圧を除去した後の動作電流は、負の電圧を印加する前の測定値に近い値です。DUTはテストに合格しました。

まとめ

R&S®NGU401 ソース・メジャー・ユニット(SMU)は、車載用アプリケーションのバッテリー逆電圧保護などの要件を検証するには最適です。4象限動作、非常に正確な電流/電圧測定機能、高速ロギング機能を特長とするR&S®NGU401を使用することで、ユーザーは最小限の労力で製品をテストすることができます。また、R&S®NGU401は完全リモート制御機能も備え、自動テストが可能です。

電圧と電流のタイムドメインの波形(Pythonスクリプト)
電圧と電流のタイムドメインの波形(Pythonスクリプト)
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