9. 最高速の通信インタフェースの選択

物理通信インタフェースの選択に影響する要因はたくさんあります。この章では、速度という1つのパラメータだけに注目します。

通信ユニットの速度を考慮する際には、一般的な用語である速度を、2つの異なるパラメータ、すなわちレイテンシー帯域幅に分けて考える必要があります。以下ではこれらの意味を、水を通す管に例えて説明します。

管の長さはそのレイテンシーを定義します。すなわち、少量の水をA点からB点まで運ぶのにかかる時間です。したがって、レイテンシーは秒単位で測定されます。

管の直径はその帯域幅を定義します。すなわち、その断面を通って1秒間に流れることができる水の量です。したがって、帯域幅は体積/秒単位で測定されます。

この例えからわかるように、少量の水(少量のデータ)を運ぶには、短い管(小さいレイテンシー)のほうが高速です。直径(帯域幅)はそれほど重要な役割を果たしません。これに対して、直径が大きい(帯域幅が大きい)管は、大量の水(大量のデータ)を高速に運ぶために役立ちます。たとえ長さが長く(レイテンシーが大きく)なってもです。一般的な通信インタフェースのレイテンシーと帯域幅について見てみましょう。

上の図から次の一般的規則が導かれます:

リモート制御アプリケーションが、制御PCと測定器の間で少量のデータ交換を多数行う場合、例えば多数のオシロスコープ振幅測定を問い合わせる場合には、レイテンシーの小さいGPIBまたはUSBインタフェースが最適な選択です。

大量のデータ、例えば何万個ものサンプルからなるオシロスコープ波形全体を転送する場合には、帯域幅の大きい1GB LANまたはUSBインタフェースを使うことで、転送時間を最小にできます。

なお、リモート制御アプリケーションの全体的性能は、通信インタフェースの速度以外のさまざまな他の要因にも影響されることに注意してください。実際には、他の要因による遅延のほうが、通信インタフェースから生じる遅延よりも影響が大きい場合も多いのです(第8章:速度の最適化を参照)。この章の目的は、単にさまざまなデータ量条件の下で各種インタフェースが速度に関してどのように振る舞うかを一般的に解説することにあります。

注記

*注記1 - レイテンシーの値:

上の表に記されているレイテンシーは、測定器の内部アーキテクチャーによって大きく異なる可能性があります。表に記されているのは、純粋にインタフェースによるレイテンシーの値です。測定セットアップのレイテンシーを知る唯一の方法は、VISAトレースツールなどを使用して評価を行うことです。レイテンシー測定に適した手順としては、測定器の*IDN?文字列の問い合わせがあります。コマンドの処理時間が短いからです。

LAN VXI-11とHiSLIP:

HiSLIPプロトコルはVXI-11に比べてレイテンシーが小さくなります。HiSLIPの方がVXI-11よりも有利なので、測定器でサポートされていれば常にそちらを使用するようにしてください。詳細な説明と、HiSLIPをサポートするローデ・シュワルツ測定器のリストはこちらにあります:1MA208: Fast Remote Instrument Control with HiSLIP

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