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R&S®Essentials | スペクトラム・アナライザの基礎

RFを理解する - RF電子計測器

著者:電子計測エキスパート、Paul Denisowski

以下では、RF電子計測器の概要について説明します。

RF電子計測器は、無線周波数デバイスの設計、テスト、製造、デバッグに必要です。テレビやラジオをはじめ、Wi-Fi、携帯電話、GPSまで、RFを使用するあらゆるデバイスの作成には、RF電子計測器が使用されています。

RF測定器には、以下の4つの基本的カテゴリーがあります。

RF電子計測器:スペクトラム・アナライザ

最初の測定器は、スペクトラム・アナライザです。スペクトラムという用語は、一般的にある範囲の周波数を表します。無線周波数スペクトラムに対しては、どの周波数にどのような種類の信号がどの程度のパワーで存在し、どのような変調が用いられているかを知るために、スペクトラム・アナライザという特別な測定器が使用されます。スペクトラム・アナライザの最も基本的な機能は、パワー対周波数表示です。これは、どの周波数にどれだけの大きさのRFが存在するかを測定するためのものです。パワーは他のパワーを基準として測定され、デシベル(dB)で表されます。

基本的なパワー対周波数表示に加えて、多くのスペクトラム・アナライザでは、さまざまな種類の信号の復調も可能です。これには、FMラジオで用いられているような基本的なアナログ信号から、LTEやWi-Fiで用いられている複雑なデジタル信号までが含まれます。復調とは信号から情報を抽出することであり、変調信号、すなわち情報を伝送する信号に、どの程度のエラーあるいは不正確さが含まれるかを知るためにも使用できます。スペクトラム・アナライザをこの方法で使用する場合には、シグナル・アナライザと呼ぶこともあります。

パワー対周波数の測定

RF電子計測器:信号発生器

RF信号は、携帯電話、自動車用リモコン、GPS衛星など、さまざまなデバイスから発信されます。信号発生器は、RFデバイス、特にレシーバーの設計とテストに必要なさまざまな種類のRF信号を作成するために用いられます。このような信号は、単純な非変調信号の場合も、多くの無線通信で用いられている複雑な変調信号の場合もあります。信号発生器を使用すれば、発生する信号のパワー、周波数、変調といったすべてのパラメータを制御できます。

電子計測器の一般的な組み合わせとしては、スペクトラム・アナライザと信号発生器があります。例えば、DUT(被試験デバイス)が増幅器の場合、信号発生器を使用して発生した信号をDUTに供給します。そこで増幅された信号を、スペクトラム・アナライザで測定して解析します。

信号発生器とスペクトラム・アナライザの組み合わせ

RF電子計測器:ネットワーク・アナライザ

RFの世界でのネットワークとは、1つ以上のポートを持つデバイスであり、各ポートが無線周波数エネルギーを伝送、反射、または吸収する能力を持っています。これらは通常、システムを構成するコンポーネントです。例えば、携帯電話に使用されているコンポーネントの多くは、「ネットワーク」と呼ぶことができます。これらのコンポーネントが正しく動作していることを確認して、システム全体の性能を保証するには、正確さ、信頼性、再現性を備えた測定方法が必要です。ネットワークをテストするには、ポートの1つにRFを入力し、そのポートで反射されるRFと、他のポートから出力されるRFの大きさを同時に測定します。また、ネットワークによって導入される遅延の大きさと、入力信号のその他の特性がネットワークによってどのように変化するかも測定されます。

ネットワークデバイス

ネットワーク・アナライザは、RFエネルギーの発生と測定の両方の機能を持つ測定器であり、信号発生器とスペクトラム・アナライザの組み合わせに似ています。ネットワーク・アナライザは、信号の小さい変動や変化を測定できるだけでなく、高度な校正ルーチンを使用することで、エラーを最小化したり除去したりすることもできます。ネットワーク・アナライザは主にラボで用いられ、ポータブル・ネットワーク・アナライザはフィールドでのケーブルやアンテナのテスト用に用いられます。ネットワーク・アナライザは、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)と呼ばれることもあります。

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RF電子計測器:パワーセンサ

パワーセンサは、受信パワーの単純な測定に使用されます。パワーセンサの基本的な機能は、パワーを数値で報告することです。例えば、10.92 dBmといった値です。パワーセンサはここで紹介する他の測定器ほど高度な機器ではありませんが、RFの世界ではきわめて用途が広く、ほとんどのRFラボで使用されています。

RF OTAテスト

ほとんどのRFテストでは、ケーブルを使用して、測定器とDUT(被試験デバイス)の間で信号を伝送します。この伝導RF法を使用すると、DUTが受信するパワーレベルなどを精密に制御できます。

一方、5Gなどの最近のテクノロジーでは、無線(OTA)テストが必要な場合があります。これは、DUTに向けて、あるいはDUTから信号を放射する方式です。この方式が用いられるのは、主に周波数が高い場合や、DUTに「RFコネクタ」がない場合です。この種のテストには、他のRF信号が侵入したり、テスト信号が外部に放射されたりするのを防ぐため、特殊なシールドされたボックスあるいはチャンバーが使用されます。

その他の種類のRF電子計測器

ここに示した4つのカテゴリー以外にも、さまざまな種類のRF電子計測器があります。

無線機テスターは、信号発生器とスペクトラム・アナライザまたはシグナル・アナライザの組み合わせであり、携帯電話、Wi-Fi/Bluetoothデバイスなどの無線通信デバイスのテスト用に設計されています。無線機器、アクセスポイント、または基地局のエミュレーションが可能で、音声とデータの両方をテストできます。

EMC(電磁両立性)に関しては、電気で動作するデバイスから、他のデバイスに干渉するRFの意図しない放射が生じていないかどうかがテストされます。例えば、洗濯機が携帯電話に干渉するかどうかです。

EMCテストに密接に関連するのは増幅器です。これは、RF信号パワーを増幅することで、一部のEMCテストに必要なハイパワーRF信号を発生するために用いられます。

オシロスコープもRF電子計測器のカテゴリーの1つであり、RFおよびそれ以外の電気的テストに使用されます。

まとめ

RF電子計測器は、RFデバイスに関する以下の作業に必要です。

  • デザイン
  • テスト
  • 製造
  • デバッグ

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