電力網の完全性の検証
IEC 61000-3-2高調波テストおよびIEC 61000-3-3フリッカー測定
高調波とは、主電源の基本波周波数(一般的に50/60 Hz)の整数倍の周波数を持つ電流または電圧のことです。これらは、負荷が非線形の場合に発生するもので、スイッチングモード電源(SMPS)に多く見られ、さまざまなパワー品質の問題を引き起こします。そのために、高調波解析が重要になります。これは、どのような高調波が存在し、どの程度の大きさで、動作状態によってどのように変化するかを調べるものです。これらの詳細情報から、高調波の根本原因と主電源へのリスクの両方を判定できます。
フリッカーとは、電圧や電流の短時間の変動です。これは多くの場合、デバイスの消費電力が高速に変動することを表します。高調波が周期波形の歪みを表すのに対し、フリッカーは主電源に対する負荷の需要の時間変動を表します。フリッカーが重要なのは、主電源と接続された機器の両方で、安定した電源が想定されているからです。デバイスから急激な電圧低下や急速な負荷変動が繰り返し発生した場合、同じ送電網上の他のデバイスに悪影響を与える可能性があります。
高調波およびフリッカーテストの主な目的は、デバイスが意図された機能を果たすことの実証ではなく、デバイスが電力網の完全性に悪影響を与えないことの確認です。デバイスが「正常に動作」したとしても、周囲のエコシステムとの相互作用で問題を引き起こす可能性はあります。
高調波およびフリッカーコンプライアンステストは、一般的に、安定化されたAC電源と校正済みの測定ツールを使用して、制御された環境内で実行されます。
製品がコンプライアンステストで不合格になる一般的な理由としては、以下のものが挙げられます。
- 非線形消費電流:スイッチングモード電源は、短いバーストで電流を消費するため、高調波歪みが生じやすくなります。これを回避するには、入力フィルタリングやパッシブ補正を使用します。
- PFC動作による補正の不足:ハイパワーデバイス(75 W超)には、力率補正機能(PFC)が必要です。PFCの実装が不適切であると、低次高調波の発生やクレストファクターの増大を通じて、許容範囲外のエミッションが生じることがあります。
- 起動時の突入電流:デバイスの電源をオンにしたときには、短時間の電流スパイクが発生することがあります。定常状態が許容範囲内であっても、このようなスパイクによって高調波電流リミットの超過が生じることがあります。
- パワー状態遷移:多くのエンベディッドシステムでは、動作状態が変化します。このような遷移によって高調波やフリッカーが生じる場合があります。
パワーアナライザ と オシロスコープ は、不要な高調波やフリッカーを発見するために役立ちます。パワーアナライザの高調波モードは、高速フーリエ変換(FFT)を実行して、実効値(RMS)と位相角を計算します。ZES Zimmerの LMG など、一部のパワーアナライザでは、この計算を最初の200の高調波に対して行うことができます。電流高調波の測定には、オシロスコープと適切なプローブが最も多く用いられます。結果は一般的にグラフ形式と数値形式の両方で表示されます。一部のオシロスコープでは、 自動テスト によって1つ以上の高調波規格へのコンプライアンスを検証できます。検証とコンプライアンスの段階では、パワーアナライザを使用して、レポートを生成し、規格で指定された最大制限値を超える高調波を特定します。